果糖は他の糖質に比べて中性脂肪がつきやすいのか?

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果糖は他の糖質に比べて中性脂肪がつきやすいのか?

果糖は他の糖質に比べて中性脂肪がつきやすいのか?

今回は「果糖って他の糖分よりも中性脂肪になりやすいの?」というお話です。
 
 
果糖はブドウ糖などと同じ単糖類の仲間で、例えば砂糖(ショ糖)は果糖1分子とブドウ糖1分子から成る二糖類です。そして文字通り果糖は果物に多く含まれます。
 
 
で「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される分、中性脂肪になりやすいんだ!」みたいな意見もあって、果物を健康に悪いと言う方が結構居ます。実際のところ本当にそうなんでしょうか?
 

果糖は本当に中性脂肪になりやすいのか?を調べたメタ分析

2018年にリオグランデ・ド・スル大学が発表したメタ分析(#1)では、12件の臨床試験から318名(17~64歳)を対象に、この問題についての総まとめをしてくれていました。
 
 
ここでは最低でも7日以上の期間で、子どもから大人までヒトを対象に、果糖摂取後4時間以内の中性脂肪への影響を検証した研究が対象になっていました。
 
 
実際に分析された研究は平均28日間(8~70日間)で行われて、糖尿病患者や肥満体型、健康な人まで色々な被験者が居た様子。実験内では、普通にバランスのとれた食事をしながら糖質の中身だけ変えて違いを見ていて、果糖の量は平均92.6g(50~182g)で、比較対象にはブドウ糖やスターチが使われたようですね。
 
 
そして食後4時間以内の中性脂肪の変化を調べたところ、こんな結果になりました。

 

  • 果糖による食後の中性脂肪蓄積は全体的に他の糖質源と比べて多かった(差:8.02 mg/dL)
  • 対象者別に見ると、健康な人や太り気味/肥満体型の人では果糖で食後中性脂肪が増えていた
  • 一方で糖尿病患者ではこの傾向は見られなかった

 

まとめると、果糖の中性脂肪への影響は人によってかなり違っていて、健康な人や太り気味/肥満体型の人だと脂肪が溜まりやすいかもよ!と。少なくともこの結果からは、中性脂肪になりやすいのかも?と解釈して良さそうですね。
 
 
ではどうして果糖は食後の中性脂肪を増やしてしまうんでしょう?これには代謝経路の違いが関わっていると考えられます。
 
 
人間の体は「ブドウ糖」をエネルギー源として使うことができますが、「果糖」は変換しないとそのままでは使えません。そこで変換作業を担当しているのが肝臓で、変換された物質を細胞のミトコンドリアに運ぶんですが、これらの物質もそのままでは貯蓄しておくことが出来ません。だから細胞が脂肪酸やグリセロールといった貯蓄可能な形に変えるんですね。こうした仕組みで、果糖を摂りすぎると中性脂肪が溜まりやすくなるのかも?と考えられています。
 

注意点・まとめ

ただし研究には注意点も幾つかあって、ザっと次のような点は押さえておいた方が良さそうです。

 

  • 出資バイアスが確認された:食品産業から出資を受けている研究では「果糖によって特に中性脂肪が蓄積しやすいなんてことはない!」という結果を報告する傾向がハッキリ確認されていて、都合の良い結果になっている可能性が高い
  • 全体的に結果のバラつきが大きい:今回は色々な年齢層やコンディションの人を対象に含めていたからか、結果にもかなり差が出ている
  • 果糖の摂取量にもばらつきがある:50~182gと摂取量も研究間で標準化できるレベルではない

 

まとめると、このテーマについては現時点ではまだ不安定な要素が多くて、ハッキリとした結論を出すのは難しいといったところでしょうか。
 
 
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

 

ポイント
  • 果糖はブドウ糖など他の糖分より中性脂肪がつきやすい問題
  • 健康な人や太り気味/肥満体型の人では果糖で中性脂肪がつきやすい傾向が見られたが、糖尿病患者では見られなかった
  • 今回の平均である92.6gはかなり多い量なので、相当摂りすぎなければそこまで悪影響はないのかも
 

こんな感じでしょうか。果糖の摂取量の目安(#2)としては、コカ・コーラ500mlロング缶1本でだいたい30gくらいになるようなので、一日にジュースを何本も飲んでいる場合はまずいかもしれませんね。

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赤羽(Akabane)

結論、果物で果糖の中性脂肪問題が出てくるには相当な量を食べないといけなくなりますし、どちらかというとジュースなどの形で摂るほうが過多にはなりやすいのかなと思います。果物には他にも食物繊維などの栄養素も豊富ですし、果糖が含まれるからと言って悪者と決めつけるのは少し違うのかなと。糖質の科学については過去にも色々な記事を書いてきているので、興味のある方は以下もご覧いただくとよろしいかと思います。

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参考文献&引用

#1 Rodrigo C. O. Macedo, Alexandra F. Vieira, Cesar E. J. Moritz. Effects of fructose consumption on postprandial TAG: an update on systematic reviews with meta-analysis. British Journal of Nutrition, Volume 120, Issue 4 28 August 2018 , pp. 364-372.

#2 石黒 弘三, 伊達 洋司「市販飲料, 冷菓等の糖含有量 ガスクロマトグラフィーによるぶどう糖, 果糖, しょ糖の分析値」栄養学雑誌/38 巻 (1980) 1 号。