赤羽(Akabane)
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「人に教えることは自分自身の勉強にもなる!」のメカニズムには検索練習が大事みたいだ
人にものを教えると自分自身の勉強にもなる!というのは世間一般にも浸透している説ですね。この説を支持するエビデンスは科学的に見ても豊富で、優秀な学習法の一つだと言えましょう。
ということでここからは、人に教えるのがどうして学習に効果的なのか?を掘り下げたデータを見ていきましょう。
人に教えると学習効果が高まるのは、検索練習をしているからだ!という研究結果
2018年にシンガポール国立大学が発表した研究(#1)によると、人に教えることが学習法として優れているのは「検索練習」をするからだ、とのことです。
この研究では比較実験を行っていて、124名の大学生を対象に、彼らを以下の4つのグループに分けていました。
- ノートを見ながら人に教える(教えるのみ)
- ノートを見ないで人に教える(検索練習+教える)
- 人に教えないが検索練習だけする(検索練習)
- 何もしない
一応補足しておくと、ノートを見ないで人に教えるということは、人に教えながら過去の知識を記憶から取り出す「検索練習」をしていることになります。
で各グループで1週間を過ごしてもらって、その後扱った内容を含む数学のテストを実施、グループごとのスコアを比較していきました。すると結果、次のようなことが分かりました。
- 検索練習をしていたグループでは1週間後のテストでより高い学習効果が確認された
- ノートを見ながら教えていたグループや何もしなかったグループではこの効果は確認されなかった
まとめると、学習内容の定着は検索練習をしっかりしているかどうか?でクッキリ分かれたんですね。人に教えるといっても、カンペを見ながらのレクチャーだとあまり学習効果は見られなかったようです。
注意点・まとめ
ということで、今回の研究からは「学習効果を狙って人に教える時に大事なのは、記憶から知識を取り出そうとする検索練習ですよ」という知見が得られました。
ただし注意点として、今回の結果がどこまで一般化できるか?は不明です。というのも、対象者は大学生だけですし、学習効果を確認するのに使ったのは数学のテストだけ。この辺り、どこまで適用できるか?は今後の研究次第でしょうか。
では最後に今回のまとめです。
- 人に教える際に大事なのは「検索練習」
- 他人にものを説明するために記憶から知識を取り出す過程が学習効果にとっては大事
- 時間の無駄と思わずに友達やクラスメイトに教える機会も作ってみよう
こんな感じでしょうか。人にものを教える時は「検索練習はしっかりできてるか?」を基準に試してみてはどうでしょう?
赤羽(Akabane)
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#1 Aloysius Wei Lun Koh, et al. The learning benefits of teaching: A retrieval practice hypothesis. Applied Cognitive Psychology, Volume 32, Issue 3.