「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される!」は間違っていた?実は少量なら小腸でほとんど代謝されるみたい

「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される!」は間違っていた?実は少量なら小腸でほとんど代謝されるみたい

赤羽(Akabane)

今回は「果糖の代謝経路」についてのお話です。

「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される!」は間違っていた?実は少量なら小腸でほとんど代謝されるみたい

まずこれまでのハイライトですが、果糖はブドウ糖などとは違った経路で代謝される!というのが一般常識です。というのもブドウ糖はエネルギー源としてそのまま使えるのに対して、果糖は変換作業が必要だったり、毒性が強いからです。

で具体的には、肝臓がこの変換作業を担当していて、果糖は摂取後速やかに肝臓に運ばれてダイレクトに代謝される!という説明がよくされていました。

新事実!果糖の代謝は一定量までであれば小腸でほとんどされる

しかし2018年にプリンストン大学が発表した研究(#1)によると、果糖の代謝は肝臓でダイレクトにされる!というのは間違いであることが分かったようです。

この研究ではマウスを使って、同位元素を特定することで果糖やブドウ糖が体内に取り込まれてからの運命を追っていく実験を行っていました。分子の量を測るのには質量分析法を採用していて、測定の精度も高いと言えるでしょう。

ではこの実験の結果分かったことをザっと見ていきましょう。

結果
  • 果糖は小腸で吸収後そのまま代謝されてブドウ糖や有機酸に変換されていた
  • 少量の果糖なら90%ちかくが小腸で代謝、大量にもなると小腸だと容量オーバーで代謝は肝臓や腸内細菌に任された
  • 小腸での果糖代謝キャパは空腹時には小さかったが、食後や果糖を摂取した後であれば増えていた

ここから言える新事実は、少量の果糖であれば小腸で吸収されたのち、ほとんどが肝臓に行かずそのまま代謝される!ということ。

またこれまでの定説に重なる部分として、大量の果糖(体重1㎏あたり1g以上)を摂取した場合に限って、小腸ではキャパオーバーな分が肝臓で代謝されるということが分かりました。いずれにしても「肝臓でダイレクトに代謝!」の部分は間違っていましたが..。

ちなみにイラストで見てみると、こんなイメージになります。

「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される!」は間違っていた?実は少量なら小腸でほとんど代謝されるみたい

とはいえまだ動物実験の段階なので、今後の研究では、ヒトでの試験やその場合の具体的な果糖摂取量などのザックリした線引きが行われると良いですね。現時点で言えるのは、「果糖は肝臓でダイレクトに代謝される」というのは間違っていた!というくらいでしょうか。

赤羽(Akabane)

清涼飲料水やフルーツジュースなどは特に高濃度の果糖が含まれるので、気づかないうちに摂りすぎになっている恐れがあります。今回の実験の結果を踏まえると、食後にちょっとくらいなら大丈夫なんじゃない?とも捉えられますが、この辺りもまだ追試が必要な段階かと思います。この辺りのテーマについては、以下もあわせてご覧ください。

関連記事はこちらもどうぞ

「果糖ぶどう糖液糖(異性化糖)」とは?他の甘味との違いや製造方法、なぜ人気なのか?まで「果糖ぶどう糖液糖(異性化糖)」とは?他の甘味との違いや製造方法、なぜ人気なのか?までソフトドリンクを毎日飲んでいると非アルコール性脂肪性肝疾患リストがなんと〇〇%も…ソフトドリンクを毎日飲んでいると非アルコール性脂肪性肝疾患リスクがなんと〇〇%も…糖質制限の主張「インスリン分泌が多いと太る!」はどこまで本当なのか?糖質制限の主張「インスリン分泌が多いと太る!」はどこまで本当なのか?

参考文献&引用

#1 Jang C, Hui S, Lu W, et al. The Small Intestine Converts Dietary Fructose into Glucose and Organic Acids. Cell Metab. 2018 Feb 6;27(2):351-361.e3.