「筋トレは結局ボリュームが命」のメカニズムはこれだ!

「筋トレは結局ボリュームが命」のメカニズムはこれだ!

「筋トレは結局ボリュームが命」のメカニズムはこれだ!

今回は「筋トレはボリュームが命!のメカニズム」についてのお話です。

筋トレによる筋力アップや筋肥大効果には、結局ボリュームをこなすのが一番大事!というのが最近の科学の見解で、これは幾つかのメタ分析でも報告されています。

ではボリュームをこなすことで、体の中では一体どんな変化が起こっているのか?今回はこのテーマを見ていきましょう。

筋トレのボリュームが筋肉の成長に影響するのは筋繊維タイプとリボソーム生合成が関わっている

ポイント
ボリューム = 負荷 × レップ数 × セット数

2020年にノルウェー内陸ノルウェー応用科学大学が発表した研究(#1)によると、筋トレのボリュームを増やすことで筋力アップや筋肥大につながるのは、これに伴って筋繊維タイプの移行や筋細胞内のリボソーム生合成が盛んになっているからだ!ということでした。

この研究では、筋トレをしていない34名の男女(20〜25歳くらい)を対象に、全身の中強度のトレーニング(1RMの50%を10レップ)を3セットずつ、低強度のトレーニングを1セットずつ、という感じで週に2〜3日を12週間こなしてもらったようです。

足のトレーニングに関しては両足でボリュームを分けたらしく、それぞれ中強度、低強度でランダムに分けられたみたい。(中強度の2.3セットの間に逆脚の1セットを入れ込む) またトレーニングの強度は週をこなすごとに徐々につよくしていったみたいですね。(漸進的過負荷)

そして実験前後と途中の数回で筋力や筋肉量をチェック、生体検査も行ったところ、以下の結果になりました。

結果
  • 全体的に12週のトレーニングで筋力が25%、筋肉量が4.4%増加した
  • 中強度3セットと低強度1セットで比べると、ボリュームが多い前者で週をこなすごとに筋力、筋肉量がアップし、筋繊維タイプⅡx型はⅡa型へと変移していた
  • こうした筋肉の成長に伴って、筋トレ開始から2週目時点ですでに全体のRNA(リボ核酸)蓄積量が増していた

やはり中強度でボリュームをこなしたほうがやはり筋肉の成長にはいいみたいですね。また、筋トレのボリュームを増やすメリットには、筋繊維タイプの変化と筋たんぱく質を合成する体のメカニズムの活性化が関係していることも分かりました。

具体的には、RNA(リボ核酸)という体のDNAデータを転写した物質が、リポソームという器官に運ばれることで、そのデータを元に筋肉を合成する仕組みになっています。そして筋トレのボリュームを増やすことでこのRNAの蓄積が増える反応が確認されていて、これが結果的に筋肉の成長に繋がっているのだろう、と。現に今回の実験であまり中強度トレーニングの効果が見られなかった参加者だと、このRNAの蓄積量も僅かだったみたいです。

また筋繊維タイプについては、大きく3つのタイプがありますが、そのうちのタイプⅡx → Ⅱa への移行は筋肉を瞬発的かつ持久力が高い性質に変えるもの。つまり、トレーニング量の多さに順応するように筋繊維も変化していたということです。

注意点・まとめ

筋トレのボリュームに関するメカニズムは過去の研究でも明らかですが、今回の実験では「筋トレはボリュームが命!」という主張には筋繊維の順応も関係していることが分かりました。

ただし注意点として、この実験では参加者の食事のコントロールがあまりできていなかった点は押さえておきたいところ。また参加者数も少ないので、今後はもう少し大きな規模の実験も見てみたいですね。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 「筋トレは結局ボリュームが命」のメカニズムには筋繊維タイプの移行とリボソーム生合成の活性化が関係していた
  • 筋トレのボリュームを増やした場合、筋繊維タイプはそれに順応するように変化し、筋肉のDNAデータを転写したRNAの蓄積も増加していた
  • 筋トレのボリュームはやはり筋肉の成長にとって大事な指標の一つ!

こんな感じでしょうか。筋トレの効果を高めたいならボリュームを増やせ!とは何とも耳の痛い話ですが、ある程度は避けようのない事実..。

赤羽(Akabane)

筋トレのボリュームに関する研究を取り上げた記事は他にも結構ありますので、興味のある方は以下もあわせてご覧ください。さて、明日も朝から筋トレしよう…(笑)

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参考文献&引用

#1 Daniel Hammarström, et al. Benefits of higher resistance‐training volume are related to ribosome biogenesis. The journal of Physiology, Volume 598, Issue 3, 1 February 2020, Pages 543-565.