赤羽(Akabane)
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アシュワガンダは男性ホルモンの分泌を盛んにしてくれるかもしれない
インドに古くから伝わる、「アーユルヴェーダ」という伝統医学があります。詳しいところは今回省きますが、その中で強壮剤として注目されているのが「アシュワガンダ」というハーブです。
そこでこの記事では、アシュワガンダが疲れた体に活力を与えてくれるかも…?なデータを見ていきます。
アシュワガンダが男性ホルモンの分泌を高めてくれる!
2020年にマードック大学が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)によると、アシュワガンダを摂ることでテストステロンなどの男性ホルモン分泌が盛んになったということです。
この研究では、57名の太り気味・疲労度の高い男性(40〜70歳)を対象に、彼らに以下2つのグループを経験してもらう実験を行ったようです。
- アシュワガンダ: 300mgのアシュワガンダサプリをなるべく夕食後2時間後に2錠飲む
- プラセボ: アシュワガンダに似た米粉入りの錠剤を同じ量・タイミングで飲む
実験期間はそれぞれ8週間で、グループの間にはウォッシュアウト期間は設けられなかった様子。これには、アシュワガンダのサプリを摂らなくなった後の経過も見たいという意図があったようです。
そして実験前とそれぞれのグループでの実験後に、参加者らの疲労度や気分などの調査を行い、唾液中のホルモンレベル(テストステロンやDEHA-S、コルチゾールなど)も測定・比較していきました。
*ウォッシュアウト期間…クロスオーバー試験では、同じ参加者に複数のグループを経験してもらうため、前のグループでの影響を消すために間には期間を設けるケースが多い
- アシュワガンダグループ後で有意にテストステロンとDEHA-Sが増加していた
- 疲労感や活力に関する調査結果には有意な差は見られず、両方のグループで実験前後に有意な効果が見られた
- コルチゾールやエストラディオールの分泌量には有意な差は見られなかった
まとめると、アシュワガンダを摂ったグループで男性ホルモンの分泌が盛んになった!という感じでしょうか。一方で、ストレスホルモンや女性ホルモンの類には有意な影響はなかった様子。
また、実験後にアシュワガンダ摂取をやめた後のホルモンレベルも追跡したところ、やはりテストステロンとDEHA-Sは減少する傾向が確認されました。(DEHA-Sのみ有意な減少) このことからも、アシュワガンダの影響が大きかったと考えられそうですね。
ただ一つ不可解なのは、プラセボでも実験後に疲労感や活力が改善していることです。これについては、ざっと以下のような可能性が考えられます。
- 参加者が有志による募集だったため、実験に意欲的な人が集まったのではないか?という可能性
- 参加者らの疲労度が元々些細なものだったため、そもそも改善の余地が小さかったからではないか?という可能性
注意点・まとめ
注意点としては、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さく、サンプルに偏りもある: 参加者数が少ない分、統計的なパワーは弱く、太り気味・疲労感が高い男性しか対象に含まれていないので、ほかの特徴を持つ人でどこまで適用できるか?もわからない
- 実験後の追跡データはかなり少ない: 実験終了後の結果に関しては、19名分のデータしか残っておらず、統計的なパワーはかなり弱い
- 参加者はSNSで集めた有志だった: 無作為に選出するよりも意欲のある人が集まりやすく、結果にバイアスがかかってしまう恐れあり
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」で強壮剤として親しまれているハーブ「アシュワガンダ」
- 疲労感の高い太り気味男性を対象にした実験によると、アシュワガンダサプリを8週間とり続けることで男性ホルモンの分泌が増加した
- 一方で、ストレスホルモンや女性ホルモンには効果が見られず、上記の効果を持続させるにはアシュワガンダを取り続ける必要があることも分かった
赤羽(Akabane)
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#1 Lopresti AL, Drummond PD, Smith SJ. A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study Examining the Hormonal and Vitality Effects of Ashwagandha ( Withania somnifera) in Aging, Overweight Males. Am J Mens Health. 2019;13(2):1557988319835985. doi:10.1177/1557988319835985