赤羽(Akabane)
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アーユルヴェーダの人気ハーブ「アシュワガンダ」が不安を解消してくれる?
インドに古くから伝わる、「アーユルヴェーダ」という伝統医学があります。詳しいところは今回省きますが、その中で強壮剤として注目されているのが「アシュワガンダ」というハーブです。
そんなアシュワガンダですが、不安やストレスの緩和効果があることでも有名です。そこで、この記事では「アシュワガンダの不安解消効果ってどれ程のもの?」というところを見ていきます。
アシュワガンダの不安解消効果をまとめた系統的レビュー
現段階でまとまった見解を出しているのは、2014年にSUNY アップステート・メディカル大学が発表した系統的レビュー(#1)でして、結論から言うと、アシュワガンダは不安やストレスを改善する効果が見込めそうだというものです。
この研究は、5件のRCTから400名分のデータをまとめたもので、それぞれの実験では、以下のような比較でアシュワガンダの効果を比べていました。
- アシュワガンダサプリ vs. プラセボ(偽薬)サプリ…3件。不安レベルを測定。
- 自然療法&アシュワガンダサプリ vs. 心理療法…1件。不安レベルを測定。
- アシュワガンダサプリ vs. プラセボ(偽薬)サプリ…1件。主観的なストレス度を測定。
実験期間は42~82日間で、アシュワガンダの一日当たり摂取量は125~12,000mgまでかなりバラバラでした。12,000mgって、摂りすぎじゃないか..?と心配になりますね。
そして上記の実験をまとめると、以下のようなことが分かりました。
- アシュワガンダで、プラセボと比べて不安感や主観的なストレス、健康度が有意に高まった
- アシュワガンダの摂取量別に参加者をグループ分けした実験では、アシュワガンダの不安解消効果は高用量になるほど高かった
- 12,000mgの高用量を扱った実験では、プラセボと比べても特に有意な効果は見られなかった(副作用の報告は特になし)
まとめると、アシュワガンダはプラセボと比べると不安やストレスなどを改善する効果が確認された!という感じです。超高用量では逆に効果が出ていない不思議..。
また、アシュワガンダ&自然療法を心理療法と戦わせた実験では、アシュワガンダグループに軍配が上がりました。具体的には、不安のスコアが前者で-13.31だったのに対し、後者では-7.15だった模様。結構な差が出ましたね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。
- 実験期間はかなり短い: 最長で数週間くらいまでの効果しか分からないので、長期的にどうなるか?は不明
- 各実験のサンプルサイズが小さい: 参加者の数が少ない分、統計的なパワーは弱くなる
- 大半の実験でバイアスの恐れがある: ある実験では、使用したアシュワガンダサプリの製造元企業による出資が行われていたり(出資バイアス)、またある実験では、ケアを行う側に参加者のグループ分けの意図が知られていた(実行バイアス)
バイアスに関しては、実験のデザインとは関係のないところで、研究者やその周りの人たちの思惑や先入観などが実験の結果を歪曲させてしまう可能性があります。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- インドに古くから伝わる「アーユルヴェーダ」という伝統医学で強壮剤として人気のあるハーブ「アシュワガンダ」
- 不安解消効果も有名で、今回の系統的レビューでは5件中3件で有意な不安・ストレス解消効果が確認された
- 現時点では実験の量・質ともに不足している感があるが、少なくとも数週間の期間では目立った副作用も報告されていないので、試す価値はあるかもしれない
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Pratte MA, Nanavati KB, Young V, Morley CP. An alternative treatment for anxiety: a systematic review of human trial results reported for the Ayurvedic herb ashwagandha (Withania somnifera). J Altern Complement Med. 2014;20(12):901–908. doi:10.1089/acm.2014.0177