赤羽(Akabane)
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7万人以上を調査した研究結果「楽観主義は長生きするかもしれない」
早速ですが、このテーマについて最近出たデータを見ていきましょう。
ハーバードT.H.チャンの大規模な調査で判明!楽観主義レベルが高いほど…
これは2019年にハーバード大学公衆衛生学部が発表した研究(#1)で、2件の大規模な調査データから、それぞれ69,744名の女性と1,429名の男性を対象にして楽観主義と長寿の相関関係を調べたものです。
中身はシンプルで、まず調査開始時点の楽観主義・悲観主義度を測る診断テストをやってもらって、その後の彼らの人生を追っていく感じ。そして85歳以上生きた場合に、その人は「長生きした」と定義したようです。
ただ、それぞれの追跡期間がかなり長くて、10年と30年ずつその後の動向を追っています。この点ではかなり参考になるデータかと思いますね。
ではこの調査で何が分かったんでしょう?結果を見ていきましょう。
- 男女ともに楽観主義であるほど長生きする割合が高かった
- 楽観主義度が最も高い vs. 低い女性だと、85歳まで生きる人が1.5倍多かった
- 楽観主義度が最も高い vs. 低い男性だと、85歳まで生きる人が1.7倍多かった
まとめると、楽観主義度が高い人ほど長生きする傾向が見られたんですね。しかもこうした結果は、高血圧やコレステロールなどの健康状態や喫煙・アルコール、年齢、学歴などの影響を調整してもまだ見られたんだとか。
ではどうしてこんなことが起こったんでしょう?この研究からはハッキリとしたことは断言できないんですが、研究チームは「楽観主義には遺伝的要素もあるけど、環境的要素で変わる部分もある」とにらんでいました。
もちろん他にも経路はあるんでしょうが、ストレス対策は健康のためにも欠かせない要素なんで、ままあり得る話かと思います。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、今回の研究では①因果関係を特定できない点、②対象者はほとんど白人だった点、③楽観主義度は最初の1回しか測定されていない点、は押さえておくとよろしいかと思います。
つまり、一般化できる内容なのか?はまだハッキリしていなかったり、どんな経路で影響しているのか?も分かっていなかったり、楽観主義度も長い調査の間で変わる可能性もあるんじゃない?という問題があったりした、と。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 楽観主義傾向が高いほど85歳まで長生きする傾向が見られた
- 最も高い vs. 低い群で比較すると、女性で50%増、男性で70%増だった
- 詳しいメカニズムは分からないものの、楽観主義は長生きに繋がるかもしれない
こんな感じでしょうか。楽観主義と悲観主義だと、日頃感じるストレスのレベルも違うでしょうし、何となく納得はいく話かと。
赤羽(Akabane)
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#1 Lee LO, James P, Zevon ES, et al. Optimism is associated with exceptional longevity in 2 epidemiologic cohorts of men and women. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Sep 10;116(37):18357-18362.