赤羽(Akabane)
目次
ボルダリングはうつ病にも効果てき面?! 目の前の壁を登ってメンタルを改善!
早速ですがこのテーマについて参考になるデータを見ていきましょう。
ボルダリング治療でうつ病が大幅改善?!
2020年にフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクが発表した研究(#1)によると、ボルダリングはうつ病を改善するしその効果は長続きする!とのことでした。
この研究では病院に入院している108名のうつ病患者(平均45歳)を対象に、まず8週間で彼らを以下のグループに分けて比較しています。
- ボルダリング治療:週に1度、10~13時の3時間でマインドフルネスのトレーニングも含めたボルダリングのセッションを行う
- コントロールグループ:この間何もせず治療の順番を待っている
ここでは実験前後のうつ症状診断スコアで比較しました。そして実験が終了したら、今度はコントロールグループがボルダリング治療を受けて、ボルダリングをしていたグループは普段通りの治療に戻ります。こうして開始から16週間、12ヶ月時点でのスコアも比べて、その後も効果は長続きしているのか?をチェックしたみたいです。
するとここから、以下のような興味深いことがわかりました。
- 8週間のボルダリングで何もしない場合よりもうつ症状スコアが7.21も下がっていた(効果量d =0.59, vs. コントロール: -2.14)
- 実験後16週間、12ヵ月時点でもこの改善効果は維持していた(元に戻らず保たれていた)
- 実験開始から追跡期間終了までの全体で比べると、最初にボルダリング治療をしたグループは効果量d = 0.37、コントロールグループは効果量d = 0.43だった
まとめると、8週間のボルダリングでうつ症状が善くなって、しかもその効果はその後最長1年間はキープされていたんですね。
また治療の全体を通して見ると、ボルダリング治療の効果は中くらいだったみたいです。効果の移り変わりについては、やはり8週間のボルダリングの期間で最も改善しています。
注意点・まとめ
今回の研究では実験後も長期で効果を追っている点が良いですね。ボルダリングのメンタルヘルス改善効果に可能性を感じさせてくれる内容でした。
ただ注意点としては、今回の研究で対象になった参加者らは自発的に実験に参加しています。となると当然、参加者には治療に意識が高い人が集まることになるので、こういった背景が実験の結果をインフレさせてしまう可能性もあるかと。
またボルダリングのグループでは瞑想などマインドフルネスを鍛える他のトレーニングもセットになっていました。つまり今回の結果をボルダリング単体の効果としてみることはできない、ということです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ボルダリングは兼ねてから自信や達成感、高揚感などを通してメンタルヘルスに良いことが分かっていた
- 今回の実験では、最長1年の長期的な効果の持続も確認されて、ボルダリング治療の可能性が広がった
- ただボルダリング単体での効果はどれ程なのかよくわからない
こんな感じでしょうか。今後はRCTなどの質の高い研究がどんどん出てくると良いですね~。
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ


参考文献&引用
#1 Laura Schwarz, et al. Long-term effects of bouldering psychotherapy on depression: benefits can be maintained across a 12-month follow-up. Heliyon, Volume 5, Issue 12, December 2019, e02929.