赤羽(Akabane)
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プロテインに並ぶ筋トレ定番サプリ「BCAA」とは?筋肉回復効果のエビデンスを検証してみた結果…。
ではまず「BCAAって何よ?」というところから見ていきましょう。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは?
BCAA(分岐鎖アミノ酸)には、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸が含まれる。(#1)
たんぱく質は体で分解されると最終的にアミノ酸になるのですが、BCAAはそのまま“分枝をもつアミノ酸”のことを指しています。ザックリ図でまとめると、以下のようになります。
ではどうして彼らが重要なのかというと、
BCAAはヒトの筋肉中のたんぱく質における必須アミノ酸のうち35%を占め、ほ乳類で見ても40%程を占めている。
というのが理由です。当然筋トレ中、後は特に筋肉中のたんぱく質の入れ替わりが激しいですから、このBCAAは備えとくべし!という見解なんですね。そして中でもロイシンには強い筋肉合成効果があるようで、優先的に摂ろう!という風潮があったりします。
[itemlink post_id=”16519″]BCAAには巷で言われているほどの筋肉回復効果は本当にあるのか?を調べたメタ分析
ではここからが本題です。ジムへ行けば当たり前のように勧められるBCAAですが、「臨床実験でもちゃんと効果が出てるのか?」という部分は気になるところ。
そこで参考になるのが2017年に発表されたメタ分析(#2)で、これは8つのRCTを集めたもの。
具体的には、「BCAAサプリを筋トレ前後に摂るグループvsプラセボグループ(偽のサプリ)」で戦わせて、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素といった筋肉ダメージの指標になる酵素を測定したんですね。(24時間経過前、経過時)
するとこの結果、こんなことが分かりました。
- 24時間以内では筋肉ダメージの回復は早まった(クレアチンキナーゼ減)
- 主観的な筋肉痛のレベルも僅かに軽減した
- 乳酸脱水素酵素には変化なし
効果は出ているものの、どうやらそのレベルは「絶大!」とも言えないレベル。また筋肉ダメージの回復に関しても、クレアチンキナーゼには効果があったものの、乳酸脱水素酵素(別の筋肉ダメージ指標)には変化がなかったり。期間も24時間経過時点までしか追えてないので長期的な効果は実証されておりません。
また別のレビュー研究(#3)でも、BCAA単体では経口摂取だろうが、静脈内に注射しようが、筋肉合成アップには繋がらなかったとの報告が出ておりますし、むしろ静脈注射の場合は筋合成、分解率ともに落ちたとのこと。これは普通に食事から摂ったほうがよさそうですね。
鶏むね肉から25gのたんぱく質を摂れば、4gくらいのBCAAが摂取可能。
ということで、あえてBCAA単体をサプリなどで補給する必要はないかと思います。プロテインと比べてもお値段が張るみたいですし、余程のボディビルダーやアスリートのように体を酷使していない限りは必要なさそう。
もしそれでも「摂りたい!」という方があれば、サプリでなくて普通にプロテインからでいいんではないかなと思う次第です。プロテインには鶏肉以上の比率でBCAAが含まれていますので。
赤羽(Akabane)

参考文献&引用
#1 Yoshiharu Shimomura,Taro Murakami,Naoya Nakai,Masaru Nagasaki,Robert A. Harris,”Exercise Promotes BCAA Catabolism: Effects of BCAA Supplementation on Skeletal Muscle during Exercise“,The Journal of Nutrition, Volume 134, Issue 6, 1 June 2004, Pages 1583S–1587S.
#2 Rahimi MH, Shab-Bidar S, Mollahosseini M, Djafarian K,”Branched-chain amino acid supplementation and exercise-induced muscle damage in exercise recovery: A meta-analysis of randomized clinical trials.“,Nutrition. 2017 Oct;42:30-36.
#3 Robert R. Wolfe,”Branched-chain amino acids and muscle protein synthesis in humans: myth or reality?“,Journal of the International Society of Sports Nutrition,2017,14:30.