【お金と人間関係】お金持ちになりたいと思うほど周りから人が離れていくメカニズムとは?

【お金じゃ人間関係は買えない】執着すればするほど周りから人が離れていくメカニズムとは?

赤羽(Akabane)

今回は「お金と人間関係」についてのお話です。

【お金と人間関係】お金持ちになりたいと思うほど周りから人が離れていくメカニズムとは?

お金で人間関係を買う、というと浮世離れした表現ですが、最近でもお金を払って結婚式に出席してもらうサービスがありますし、SNSではフォロワーを買うという概念すら存在します。

ただ個人的にこうしたサービスを批判するわけでなく、この記事では「お金で万事どうにかなる」という考え方が、実際の人間関係にどんな影響をもたらすのでしょう?というテーマについてみていきます。

お金を追い求めるほど周りから人が離れていくメカニズムとは?

2020年にニューヨーク州立大学が発表した研究(#1)によると、お金に執着するほど、経済的な成功に自尊心や自分の価値判断を委ねてしまい、そのプレッシャーから周りの人と過ごす時間が減ってしまうことが分かりました。

この研究では、5つの調査を行ってお金への執着度と周りとの人間関係の関連を調べています。一応全体をザッとまとめておきます。

  • オンラインで幅広い人を対象に、物質主義の度合いや人間関係、自律性、時間の感覚、孤独感などをアンケート調査し、こうした要素がお互いにどう関係し合っているかを調べた
  • 心理学入門を専攻している学生283名を対象に、2週間のアンケート調査を行った。調査は毎晩メールで送られて、出来る限り寝るちょっと前にやるように指示された。最終的に246名が実験をやり遂げ、彼らのデータを参考に、自律性やその日の時間の使い方、物質主義度などの相関を調べた

自律性とは、自分の価値観や自尊心が外部的な要素(お金、学歴、モノ等)に左右されず、いかに自分の中に確かな軸があるかどうか?という性質のことです。つまりお金がなくなったら途端に自己効力感が低下するような人は自律性が低いと言えます。

そしてこうした調査や実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 自尊心や自己効力感がお金や経済的な成功に左右される人ほど、時間がないように感じていたり、それによって周りとの人間関係も疎遠になっていた
  • こうした相関には、低い自律性が影響していて、これによって家族や友達と過ごす時間が減って、結果的に人間関係が疎遠になっていた
  • 上記の相関は日ごとに見ても確認され、自尊心や自己効力感がお金に左右されると感じていた日ほど、同じ相関があった

まとめると、お金に固執することで時間に焦りが生まれたり、経済的な成功へのプレッシャーが強くなった結果、親しい人たちとの人間関係がおろそかになってしまうんだ、と。

ここまでは、今までのお金と人間関係に関する知見からもわかっていたことでしたが、今回の研究ではそのメカニズムにも迫っています。

お金に執着すればするほど周りから人が離れていくメカニズム

  • お金持ちになりたい!みたいな経済的なゴールに固執することで、自己効力感や自尊心がそういった経済的ステータスに左右されるようになる
  • こうなると、経済的に成功していない状況に焦りが生まれて、ゴールに近づこうとプレッシャーを感じるようになる。そしてお金に執着するようになる。
  • すると周りの友人や家族、恋人と過ごす時間が少なくなり、彼らに頼る事もしなくなる。次第に周囲から人が離れていって、孤独になってしまう

お金のことを考えすぎると、自分から周りの人間関係を遠ざけるようになる、というのは過去の知見からも判明しています。しかし今回は、それに加えて「経済的な成功に自分の価値や自尊心を委ねてしまう」という思考プロセスが問題なんだ!ということが分かったと。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザッと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。

注意
  • 研究デザインの性質上、因果関係は証明できない:あくまで調査結果から「Aが高いとBも高かった」といった相関関係を導き出しただけなので、今回の知見に因果関係があるとは断言できない
  • 今回の調査対象はアメリカのみ:国や文化によってお金に対する価値観も変わってくるので、どこまで一般化できる内容なのかは不明

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • お金を追い求めすぎると周りから人が離れていくことが分かっている
  • 今回の研究では、お金の追求は自尊心や自己効力感を経済的な成功に委ねることに繋がって、これが「早くお金を稼がなきゃ..!」という時間・精神的なプレッシャーになって、人間関係に割く時間が減ってしまうという仕組みが判明した
  • お金だけでなく、社会的な成功や学歴などの外部的要素に自己の価値判断を委ねてしまうと、その追求にばかり意識が向いてしまって、いつか大事な何かを見失ってしまうかもしれない

赤羽(Akabane)

なかなか他人事ではない話ですね。油断すれば、いつお金に魂を奪われてしまうか分かりません..(笑) この辺り、時々メタ認知やマインドフルネスのテクニックを使って普段から自問自答していくと良さそうですね。「今自分は金銭的な成功ばかり追い求めていないか..?」みたいな感じでしょうか。

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参考文献&引用

#1 Ward DE, Park LE, Naragon-Gainey K, Whillans AV, Jung HY. Can’t Buy Me Love (or Friendship): Social Consequences of Financially Contingent Self-Worth [published online ahead of print, 2020 Mar 19]. Pers Soc Psychol Bull. 2020;146167220910872.