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2022年まで続く?新型コロナウイルス(COVID-19)対策の社会的距離政策が必要な期間をシミュレーションした研究結果

2022年まで続くかも?新型コロナウイルス(COVID-19)対策の社会的距離政策

赤羽(Akabane)

今回は「新型コロナ対策として社会的距離政策が必要な期間は2022年まで..?」というお話です。

2022年まで続くかも?新型コロナウイルス(COVID-19)対策の社会的距離政策

新型コロナウイルス(COVID-19)による社会的距離政策(ソーシャルディスタンシング)は2022年まで続くかもしれない…?

最近ではこんな話が出てきましたが、一体どこまで信用できる情報何でしょうか?この記事では、上記の情報の元データを隅々まで詳しく見ていきます。

出典は2020年4月『Science誌』掲載の予測モデル研究

出典は、2020年4月14日にハーバード大学公衆衛生大学院によって『Science誌』に掲載された研究(#1)です。

大まかに言うと、この研究では「2025年までにCOVID-19感染拡大がどうなってゆくのか?」という予測を行っています。そして、以下のような変数によって、私たちがどのくらいの期間、社会的距離政策を続けなければならないのか?という疑問にアプローチしていました。

  • ウイルス感染の季節性:インフルエンザは冬に流行る、みたいなこと
  • 免疫保持の期間:一度免疫を獲得してから効果が持続する期間
  • ウイルス間の免疫効果:あるウイルスへの免疫が別の同種ウイルスにも効くかどうか

この予測モデルは、COVID-19と同じベータコロナウイルスに分類される、「OC43」「HKU1」というウイルスのアメリカでの感染推移データに基づいていて、COVID-19がこれらのウイルスと似通った感染パターンを見せると仮定しています。

memo
「OC43」や「HKU1」は風邪の原因の一つとしても知られる(#2)

そして上記2種類のウイルス感染推移を、「*SEIRモデル」という感染症の数理モデルに当てはめていくと、まず以下のような前提が成り立ちます。

  • ウイルス感染の季節性: 感染力は冬にピークを迎え、*基本再生産数(R0)は「R0 = 2.2」となるが、夏には「R0 = 1.7」まで落ち込む
  • 免疫保持の期間: 両方のウイルスで大体45週間くらい
  • ウイルス間の免疫効果: 別のベータコロナウイルスへの免疫はCOVID-19への免疫にもなり得る(例..OC43に一度感染して免疫がつけば、それがHKU1に対する免疫にもなる)
memo
  • *SEIRモデル…人口を「Susceptible(未感染でこれからかかる疑いのある人)」「Exposed(感染症が潜伏期間中の人)」「Infected(感染している人)」「Recovered(既に回復して免疫を持っている人)」の4つに分けて、S→Rに人が移っていくほど、免疫獲得者の割合が増えるから、ウイルスの感染力(R0)は減っていくよね…という前提で、今後の感染の見通しを推測する方法
  • *基本再生産数(R0)…「R0 = 〇〇」で表されるウイルスの感染力に関する数値で、例えば「R0 = 2.5」の場合、そのウイルスは1人の感染者から新しく2.5人に伝染する程の感染力を持っていることになる

そして上記の前提に基づいて、まずCOVID-19に対して何もしなかった場合のシミュレーションしていくと、以下のようなことが分かりました。

結果
  • COVID-19は一年を通してどの時期にでも感染拡大する
  • もしもCOVID-19に対する免疫がずっと続くものではなかったら、感染は周期的に起こっていってしまう(一度かかってもしばらくしてまた感染するかもしれないから)
  • 季節によって感染力に差がある場合、最初の感染爆発(パンデミック)の間はピーク時でも感染者数は抑えられるものの、続く冬季に感染が爆発する恐れがある(例: インフルエンザ)
  • もしもCOVID-19に対する免疫がずっと続くならば、大規模な感染拡大が起こってから5年かそれ以上の間でウイルス感染は消滅する
  • 他のベータコロナウイルスへの免疫が少しでもCOVID-19に効くならば、COVID-19は2024年までの数年間で消滅する

やっぱり、COVID-19に対する免疫がずっと続くものなのかどうか?がかなりカギになってくるみたいですね。

では次に、何かしらの対策を講じた場合です。こちらでも、他のベータコロナウイルスの免疫がCOVID-19に効かない、という最悪のシナリオや、社会的距離政策や救急救命の病床数の追加などの措置によって減らせる感染拡大の割合など、あらゆるパターンでシミュレーションしています。

そして、「救急救命が必要になるCOVID-19症例数が、調査時点でのアメリカの病床数を超えないように維持する(医療崩壊のボーダーラインを超えないようにする)」という条件で見ていくと、こんな結果になりました。

結果
  • 現時点のアメリカにおける救急救命の病床数がそのままだと仮定すると、COVID-19の感染拡大は2022年まで続く可能性があり、その間は断続的に社会的距離政策を取り続けることになる
  • もしもCOVID-19が冬に感染力を強めるとすれば、一時的な社会的距離政策はむしろピークを秋~冬へと遅らせてしまい、爆発的感染を招いて医療崩壊を引き起こす恐れがある
  • もしもCOVID-19の感染力が季節性で、夏に冬の40%まで減少し、現時点のアメリカにおける救急救命の病床数がそのままだと仮定すると、感染力を60%減少させるレベルの社会的距離政策をこのまま5月末まで続け、8月~9月、10月下旬~12月末、2021年1月末~4月上旬、6月~7月上旬、そしてその後も同じ間隔で2022年7月くらいまで断続的にやっていく必要がある
  • もしもCOVID-19の感染力が季節性で、夏に冬の40%まで減少し、救急救命の病床数が増えると仮定すると、感染力を60%減少させるレベルの社会的距離政策をこのまま5月末まで続け、8月中旬~9月中旬、11月上旬~2021年1月上旬、2月上旬~3月末、そして間隔を空けて12月上旬から2022年1月中旬までにかけてやっていく必要がある

まとめると、上記の結果は以下のような可能性を示唆しています。

今回の結果から見て取れる知見

  • 社会的距離政策は一時的ならず断続的におこなったほうがいい!
  • 感染のサイクルが落ち着くまでの期間は、COVID-19の感染力が季節性かどうかによって左右される!
  • 救急救命の病床数を今より増やすことが出来れば、早い段階で感染が落ち着く!

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 調査データはアメリカのものなので、他国にどこまで一般化できる内容なのか?は分からない
  • 感染予測の数理モデルがちょっと単純:詳しくはこちらの記事の「注意点・まとめ」欄に書いています

こうした点を踏まえると、今回の「2022年まで」という数字はあくまで大まかな試算として捉えて、引き続き職場・学校閉鎖や都市封鎖といった社会的距離政策を世界規模で継続しつつ、各国で救急救命の病床数を増やす試みをしていくのみ…でしょうか。

赤羽(Akabane)

この研究に関しては、記事を書く前に色々なニュースをチェックしてみましたが、若干数字が一人歩きしている感が否めませんでした。だからこそ、私の記事も完璧とは言えないですが、なるべく他のニュース記事よりも詳細なデータを書こう、という意識をしてみました。何か参考になれば幸いです。

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参考文献&引用

#1 Stephen M. Kissler, et al. Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period. Science 14 Apr 2020:eabb5793.

#2 Centers for Diseases Cotrol and Prevention. Common Human Coronavirus. accessed on 23rd Apr 2020.