赤羽(Akabane)
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コーヒーをよく飲む人は腸内細菌もイイ?
コーヒーは今やすっかり健康飲料の仲間入りを果たしました。クロロゲン酸などのポリフェノールが豊富で、強力な抗酸化作用も期待できますし、カフェインなどによる運動パフォーマンスアップ効果も有名です。
また、コーヒーの消費量は良い腸内環境とも相関があると言われていて、食物繊維やポリフェノール、カフェインなどがこれに関係していると考えられています。そこで、この記事では「コーヒーと腸内細菌の関係性」について詳しく見ていきます。
コーヒーをよく飲む人では或る腸内細菌が多かった!
2020年にオビエド大学が発表した研究(#1)によると、コーヒーをよく飲む人で特定の腸内細菌が多く、改めてそこにはカフェインやポリフェノールが関与していることが分かりました。
この研究では、健康な147名(19~95歳)を対象に年間の食事のアンケート調査を行い、そこからコーヒーの消費量別に彼らを以下3グループに分類しました。
- コーヒーを全く飲まない(0–3 mL/日)
- コーヒーをまあまあ飲む(3–45 mL/日)
- コーヒーをたくさん飲む(45–500 mL/日)
他にも、腸内環境を調べるための糞便サンプルや、ホルモンや血糖値などを知るための血液サンプルも採取して、これらを上記のグループ毎に比較して見ていく、というシンプルな分析です。
すると結果的に、こんなことが分かりました。
- コーヒーをたくさん飲むグループで、「Bacteroides–Prevotella–Porphyromonas」という腸内細菌が多い傾向があったが、短鎖脂肪酸には差は見られなかった
- 体内の脂質過酸化(マロンジアルデヒド)も抑えられており、中性脂肪も少なかった
- 食事の面では、野菜の摂取が他よりわずかに多かったり、砂糖やソフトドリンクはかなり摂取量が多かった(コーヒーに入れる砂糖などが影響してそう)
まとめると、コーヒーを普段からたくさん飲む人で特定の腸内細菌量が多かった!と。他にも、食生活で野菜を多く摂っているかと思いきや、逆に砂糖やソフトドリンクをたくさん摂るジャンキーな面もあったり…。
ちなみに、上記の「バクテロイデス門・プレボテラ属」にあたる腸内細菌は、食物繊維を分解する力が強いという報告があり、糖代謝に重要だとされています。また、今回この腸内細菌が多かった要因を分析すると、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノール全体が大きく関与していることも判明しました。
注意点・まとめ
ただし注意点として、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい: 百名程度とやや少なめなので、その分統計的なパワーは弱い
- 食事データは主観が混じりやすく精度は高くない: 年間の食事内容を回答してもらう大規模な調査だったが、範囲が広い分、参加者の主観が混じりやすい可能性がある
- コーヒーの種類や飲み方までは分からない: 種類や淹れ方によって成分比などが変わってくるが、この辺りの細かい部分は考慮されていない
特に、コーヒーに関するデータがザックリし過ぎているのは課題ですね。例えば、量は少なくとも、エスプレッソであればかなりのカフェインを摂取できますし…。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- コーヒーをよく飲む人は腸内環境もイイかもしれない
- 今回の調査結果によると、コーヒーを一日45–500 mL以上飲む人は、それより少ない人よりも食物繊維の分解に役立つ腸内細菌が多いことがわかった
- コーヒーのこうした相関には、カフェインやポリフェノール全体が大きく関与している可能性も示唆された
赤羽(Akabane)
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#1 González, S.; Salazar, N.; Ruiz-Saavedra, S.; Gómez-Martín, M.; de los Reyes-Gavilán, C.G.; Gueimonde, M. Long-Term Coffee Consumption is Associated with Fecal Microbial Composition in Humans. Nutrients 2020, 12, 1287.