「育児ストレスを抱えてて…」そんな親子にはマインドフルネスが効果的みたいだ

「育児ストレスを抱えてて…」そんな親子にはマインドフルネスが効果的みたいだ

赤羽(Akabane)

今回は「育児ストレスにもマインドフルネスが効く?」というお話です。

「育児ストレスを抱えてて…」そんな親子にはマインドフルネスが効果的みたいだ

マインドフルネスは一言で表すと「今この瞬間に意識を向ける」という概念を指します。現代では我々の意識を逸らすもので溢れているので、尚更大切になってきている要素だと思います。
マインドフルネス人生の質を高める「マインドフルネス」を鍛える6つのテクニック

マインドフルネスによる育児ストレス軽減効果をまとめた系統的レビュー&メタ分析

2020年にシドニー大学が発表した系統的レビュー&メタ分析(#1)によると、マインドフルネスを鍛えることで育児ストレスを幾分か減らすことができるようです。

この研究は、25件の過去研究(うち6件RCT)を集めて、子育てに苦しむ親子を対象にマインドフルネス介入法(MBSRなど)による効果を検証したものです。

本来なら、マインドフルネス介入法にもいろいろ種類がありますが、ここでは雑多な方法を全部一緒くたにして「マインドフルネス」と定義していました。

含まれた研究の中身はざっとこんな感じでした。

  • 参加者は11〜180名で、主に子育て中の親を対象にしているが、9件の研究ではその子どもも対象にしている
  • 実験期間は6〜12週間で、1回の介入セッションは1.5〜3時間、合計9〜27時間のマインドフルネス介入法を行った
  • 分析項目は、介入前後の子育てへのストレス度やメンタルヘルスの変化(比較グループを用意している実験では、比較対象との差)

ちなみに、今回”親”として参加した大半は母親だったようです。子どもの年齢は0.86〜16.4歳まで幅広く、乳児から青年まででした。

それでは前置きはここまでにして、分析の結果を見てみます。

結果
  • 実験前後で見ると、マインドフルネスによる親たちの子育てへのストレス低減効果は小程度見られた (g = 0.34, p < 0.001, 95% CI [0.23–0.45], I2 = 70%)
  • 子どもたちのストレスに対しても小程度の効果が見られた (g = 0.27, p < 0.001, 95% CI [0.21–0.33], I2 = 26%)
  • マインドフルネス介入法を何もしないグループと比較すると、5件中2件でマインドフルネスの育児ストレス低減効果が確認された

ここから言えるのは、マインドフルネス介入法には幾分、親の子育てへのストレス、ひいてはその子のメンタル面も改善する効果が見込めるかもしれない!ということです。

また、実験後も参加者らを数ヶ月追跡した実験データをまとめると、どうやら実験から2ヶ月経過すると親に対しての育児ストレス低減効果が高くなっていた様子。(g = 0.53, p < 0.001, 95% CI [0.45–0.61], I2 = 0%) つまり、介入を行った後も最低数ヶ月間は効果が持続すると考えられ、直後よりも効果が上がっているかもしれないと。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 他の介入法と比べた時の優位性はどうか分からない: 6件含まれた比較試験も、全て「何もしないグループ」と比べていたので、マインドフルネス自体の優位性はハッキリしていない
  • マインドフルネス介入法は一緒くたにしてしまっている: MBSRやマインドフルネスベースド認知行動療法、マインドフルネス子育て法などのテクニックが含まれたが、方法別の効果はデータが少なくて検証できず
  • マインドフルネス介入以外の要素が結果に影響を与えている可能性が高い: 今回含まれた研究の大半は比較グループを持たない実験形式だったので、結果に対してマインドフルネスがどのくらいのウェイトを占めているのか?はわからない

最後の注意点をクリアするには、RCTという手法の実験が有効とされています。詳しくは「因果関係をハッキリさせる研究法「ランダム化比較試験(RCT)」とは?」をご覧ください。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • マインドフルネスを鍛えることで親の育児ストレス、ひいては子どものストレスも低減されることが判明
  • 効果の程度はわずかなものだったが、介入が終わってからも2ヶ月まではひとまず効果が持続していた
  • ただし、マインドフルネス介入法が他の介入法と比べてどれだけ優れているのか?という点は検証されておらず、親の育児ストレス解消法の筆頭となるかどうかは今後の追試次第になりそうだ

赤羽(Akabane)

近年ではマインドフルネスが多方面で活躍する可能性が浮上してきていますね。忙しない日々に圧倒されがちな現代では失われがちな概念ですし、心当たりのある方は実践してみても宜しいかと思います。

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参考文献&引用

#1 Burgdorf V, Szabó M, Abbott MJ. The Effect of Mindfulness Interventions for Parents on Parenting Stress and Youth Psychological Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Front Psychol. 2019;10:1336. Published 2019 Jun 6. doi:10.3389/fpsyg.2019.01336