食事中に気を逸らせば食べる量が減る!という実験結果

食事中に気を逸らせば食べる量が減る!という実験結果

赤羽(Akabane)

食事中は食事に集中しなさい!とはよく言われますが、テレビを観ながらの食事や、最近ではスマホをいじりながらの食事もよく見る光景です。こうした意識を逸らされた食事を「マインドレスイーティング」なんて言いまして、知らずに食べ過ぎる原因になるのでは?と考えられていました。しかし今回紹介するのは、むしろその逆があるかも…?という研究結果です。

食事中に気を逸らせば食べる量が減る!という実験結果

認知テストをしながらの食事で食べる量が減った?

2020年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校が発表したランダム化クロスオーバー試験(#1)によると、食事中に何らかの方法で気を逸らせば自然と食べる量が減るかもしれないようです。

この研究では、119名の健康な成人(平均20歳)を対象に以下2つの食事パターンを経験してもらう実験を行っていました。

  • 15分の認知タスクをこなしながら食事をするグループ(55名)
  • 普通に食事をするグループ(64名)

*認知タスク…画面に秒単位で出てくる数字を記憶していくタスク

参加者は入れ替わって最終的に全員両グループを経験しますが、それぞれの間には1週間の間隔が設けられました。グループ間で比べるのは食事中に食べた量でして、これが「ながら」の影響を受けてどうなるのか?というところですね。

果たして結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 認知タスクをやりながら食事をしたグループで食事量が13gほど減った(115 ± 60g vs. 128 ± 49g; p<0.001)
  • 30分後に聞き取りをした時、食べたものや量に関する記憶もあやふやだった
  • グループの順番によって影響が変わり、初回に認知タスクをやりつつ食事をしたグループで最も食べる量が減った

どうやら、食事中に気が散るタスクすると食べる量が減っていたみたいです。後から聞いたときに、食べたものや量もあまり覚えていなかったようで、食事に向ける意識がかなり逸らされていたことが分かりますね。

また実験後の出口調査によると、満腹感や満足感、空腹感などにはグループ間で有意差は見られなかった様子。実験後には待機時間もありまして、この間にはスナックなどが与えられたんですが、こちらの食事量も目立った差はありませんでした。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 今回はあくまで認知テストを用いているため、TVやスマホ、ゲームなどの日常生活でどうなるかは分からない
  • 結果は他の研究と一貫しておらず、マインドレスイーティングで逆に食べすぎるという報告もある
  • 実験前の空腹度などは調査しておらず、誤差が出ているかもしれない

これについて、研究チームは食事中に「気が散る」ことと「マインドレス」になることは厳密には違うのではないか?と主張していました。前者は意識をもって食事を始めるが、途中で何らかの理由で逸れてしまうことであって、後者はそもそも意識をもって食事をしておらず、目の前にあるものを食べているに過ぎないのだ!ということでした。今回の実験は完全に前者ですが、スマホを見ながらお菓子をつまむような状況は後者になるでしょうし、この辺の微妙な違いも結果に影響してそうです。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 食事中に気が散るタスクをしたグループで食事量が13gほど減り、食べたものや量に関する記憶もあやふやだった
  • 食後の空腹感や満足度などはそれほど変わらず、待機時間に食べたスナックの量も同じくらいだった
  • ただしマインドレスイーティングもあるように、結果は研究によって食い違いが大きい

赤羽(Akabane)

面白い知見ですが、現段階では研究によって結果の食い違いが目立ちます。今後は先述の”違い”も考慮しつつ「どんな条件下で効果が出るのか?」というところまで分かるといいですね。個人的には、今回の認知テストみたく思いっきり意識を逸らすモノじゃないと効果はでないのでは?と思っています。

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参考文献&引用

#1 Carli A Liguori, Cassandra J Nikolaus, Sharon M Nickols-Richardson, Cognitive Distraction at Mealtime Decreases Amount Consumed in Healthy Young Adults: A Randomized Crossover Exploratory Study, The Journal of Nutrition, Volume 150, Issue 5, May 2020, Pages 1324–1329, https://doi.org/10.1093/jn/nxaa022