マインドフルネスの「今ココの意識」が片頭痛の痛みを食い止めるカギ?!

赤羽(Akabane)

今回は「マインドフルネスと頭痛」についてのお話です。

まずはマインドフルネスって何？というそもそもの部分からおさらいしておきましょう。

マインドフルネスとは、簡単に言うと「今ココの意識」のことで、いかに未来や過去でなく今に意識が向いているか？のことです。

マインドフルネスに関する2018年のレビュー研究(#1)では、こんな風に定義されております。

マインドフルネスは訓練やその過程、特徴を広義的に指して使われる言葉であり、多くは物事に注意を向ける力、気づき、記憶、受容の精神に関連している。この言葉は仏教にそのルーツを持っている一方で、心理学や精神医学、神経学やその他さまざまな分野で人気を博している。[筆者訳]

キーワードとしては「注意」「受容」あたりを押さえておくとよろしいかと思います。

とはいえ我々現代人はマインドフルネスな状態になれていないんじゃないかとも思うわけです。幾つか例を挙げて見ていきましょう。

こんな感じで、現代人は未来のスケジュールやタスクにばかり気を取られてしまっていて、今この瞬間に意識を向ける余裕がないんではないかと。

でこのマインドフルネスを高めることで、痛みまで客観視する習慣がつくので「頭痛や腰痛にも効果的なんじゃないか？」という研究結果が近年数々報告されています。ここからはこの点を踏まえたうえで、マインドフルネスがどのくらい頭痛の強度に関係しているのか？を見ていきましょう。

2018年にイスラムアザード大学カラジ支部が発表した研究(#2)では、85名の頭痛持ち男女(平均37歳)を対象に、マインドフルネスと頭痛の相関を調べてくれていました。

彼らはテヘランの病院やクリニックに通う患者たちで、慢性的な頭痛に悩まされていた様子。で頭痛には痛みへの対処の仕方が関わっているので、具体的に彼らの痛みの感じ方や、痛みを感じた時の思考プロセスなどを測定するテストを行っていました。

そしてマインドフルネス度を定番の「MAAS」で測定、両者がどう関係しているか？を見ていきました。

するとこの結果、次のようなことがわかりました。

結果

まとめると、普段から頭痛が強い人はマインドフルネス度が低かったり、痛みに対する思考プロセスが壊滅的だったんですね。逆に、マインドフルネス度が高いと痛みへの開放度も高くて、痛みをうまくいなすことができていた、と。

また詳しく見てみると、マインドフルネスの特性の中でも、「今ココや自身の感覚への意識」が特に今回の相関に関わっていることが分かりました。なんでも、この特性だけで頭痛の強度の違いの38%が説明できるとのこと。

他には痛みに対する認知プロセスは頭痛の強度の18%を説明できるようで、頭痛にはマインドフルネスを含めて、心理的な部分が多いに関係していることがよくわかりますね。

注意点としては、今回の研究はサンプルサイズが少ない点でしょうか。

これまでの研究(#3)を見ていると、マインドフルネスが頭痛の強度に関わっているのは間違いなさそうですが、どのくらいのウェイトを占めているか？という点はあくまで参考程度に留めておくとよろしいかと思います。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント

こんな感じでしょうか。頭痛に悩まされている方は、是非まずマインドフルネスを鍛えてみるのが良さそうです。

赤羽(Akabane)

マインドフルネスは、私も普段からかなり意識して心がけている人生の大事な要素です。特に現代は意識を逸らされる邪魔なモノが沢山あるので、頭痛以外の目的に備えても鍛えておいて損はないかと。興味のある方は以下の続きもご覧ください。

参考文献&引用

#1 Nicholas T. Van Dam, Marieke K. van Vugt, David R. Vago, et al. Mind The Hype: A Critical Evaluation and Prescriptive Agenda for Research on Mindfulness and Meditation. Perspect Psychol Sci. 2018 Jan; 13(1): 36–61.

#3 Gu Q, Hou JC, Fang XM. Mindfulness Meditation for Primary Headache Pain: A Meta-Analysis. Chin Med J (Engl). 2018 Apr 5;131(7):829-838.