赤羽(Akabane)
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血管を広げて血行を善くする「ビートルートジュース」で高血圧も一網打尽!
ビートルートとは赤紫色のカブみたいな形をした根菜で、日本ではあまり流通していない野菜です。ビタミンCや鉄などミネラルが豊富ですが、特徴としてよく挙げられるのは血管を拡張して血流を盛んにする働きがある「硝酸塩」でしょうか。
過去には運動のパフォーマンスを高めるサプリとしても紹介しましたが、今回は血圧の改善効果を見ていきましょう。
ビートルートジュースで全身に血を巡らせて血圧も改善!ただしその効果は硝酸塩だけのおかげではなかった..?
参考になるのが、2017年に栄養内分泌研究センターが発表したメタ分析(#1)で、43件のRCTから1248名を対象に、ビートルートのジュースで血圧改善効果は得られるのか?を調べたものです。
この研究では、まず参加者らを次のようなグループに分けました。
- ビートルートジュースグループ(650名):ビートルートジュースを毎日70~500ml飲む
- プラセボグループ(598名):偽の効果がないジュースを飲む
実験期間は2~56日間と比較的短期で、参加者らは20~60歳くらいまで対象に含まれたようです。健康な人も慢性病の患者も含まれていて、この辺りは分けて分析されました。
するとこうした実験の結果、次のようなことがわかりました。
- ビートルートジュースで収縮期血圧が有意に低下した(−3.55 mm Hg; 95% CI: −4.55~−2.54 mm Hg; P < 0.001)
- 拡張期血圧も有意に低下した(−1.32 mm Hg; 95% CI: −1.97~−0.68 mm Hg; P < 0.001)
- こうした効果は実験が長期で、ジュースの量が少ないよりは多いほうで高く表れた
まとめると、ビートルートジュースを飲んだグループで上下の血圧に有意な改善が見られたんですね。そして長い期間、量も少ないよりは多く飲むに越したことはない様子。
しかも収縮期血圧のほうは、実験前後で−9.37 mmHgという結果になっていて、単一の治療として期待される10~15 mmHgという数値に迫るレベル、高血圧治療に特化した「DASHダイエット」の効果にも近いレベルでした。
ということで「ビートルートジュースで血圧改善!」と相成ったわけですが、もう一つ面白い報告が上がっていました。それは、プラセボグループで硝酸塩が入っていないビートルートジュースを飲ませた場合や、ビートルートグループで硝酸塩が多く含まれたジュースを飲ませた場合に、むしろ効果が下がったことです。
この報告は過去にも上がっていて、ビートルートの血圧改善効果には硝酸塩以外の成分も大きく関係しているということが言えるでしょう。ポリフェノール類などはそのいい例ですね。
注意点・まとめ
ただし今回の研究にも注意点があって、結果にばらつきがかなり見られます。これは、若者から高齢者、プラセボの内容、健康な人から慢性病の患者、という具合に対象研究の幅広さが原因と思われます。要は条件がガバガバで色々なタイプの研究が混ざってしまった、と。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ビートルートジュースで上下の血圧が有意に改善!
- 特に収縮期血圧は高血圧特化の食事と同レベルで改善幅が見られて、長期的に量は多めのほうがいいみたい
- こうした血圧改善効果は硝酸塩だけでなくて、ポリフェノールなど色々な成分が力を発揮している
こんな感じでしょうか。高血圧対策としてビートルートジュースを取り入れてみるのもアリでしょう。
赤羽(Akabane)
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#1 Zahra Bahadoran, Parvin Mirmiran, Ali Kabir, et al. The Nitrate-Independent Blood Pressure–Lowering Effect of Beetroot Juice: A Systematic Review and Meta-Analysis. Adv Nutr. 2017 Nov; 8(6): 830–838.