赤羽(Akabane)
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目標達成にはモニタリング(進捗確認)が必要不可欠?
参考になるのが2017年にシェフィールド大学が発表したメタ分析(#1)で、過去の138件ものRCTから19951名を対象に「ゴールまでの進捗確認は目標達成率を上げてくれるのか?」を調べてくれています。
対象になった研究はどれも比較実験を行っていて、やはり一番多い目標はダイエットでしたね。他には血圧や血糖値の改善、運動の習慣をつける、などなど。
では早速ですが、全体の結果を見てみましょう。
- 全体の実験結果で、目標達成効果は小~中くらい(d=0.40 95%CI:0.32 to 0.48)
dの値は効果量といって、効果の大きさをそのまま表す数字。一般的にこの結果は小~中くらいです。今回集めた研究では進捗を確認する頻度がかなり高まっていて、ひとまず進捗確認の頻度アップに伴って目標達成率もまあまあ上がる、と。
ただ研究間で結果にバラつきがあって、これは100を超える研究を集めている上に、ジャンルも実験手法もそれぞれかなり違うので致し方ないでしょう..。
ということで、もう少し詳しくみてみると、今度は進捗確認が目標達成をより近づける条件が分かりました。それは以下の2つです。
- 進捗が紙などに物理的に記録されていた場合
- 目標達成が公表されていた場合
つまり、ウエストは測るだけじゃなくてしっかり記録!ダイエットはこっそりやるより周りに公言しよう!みたいな感じですね。これはいわゆる「パブリックコミットメント」というもので、周りが自分を見ているというプレッシャーを上手く使うテクニックです。
ちなみに進捗を記録したほうが良いのはどうして?という点については、確認だけじゃ不十分!という主張があります。これには「ダチョウ効果(#2)」という人間心理が関係していて、人が大事な局面で取るべきアクションから目を逸らしてしまうというもの。例えば進捗が悪いモノだった時、人は現実を見たくなくて十分にチェックせず目を逸らしてしまうかもしれません。がそこに客観的な記録があれば、しっかり向き合うことができますね。
ただ、やはり研究の質が高かったり、特定の患者を対象にした実験では効果が小さかったみたい。つまり実験の質が低いから効果が高く出ているかもしれない、と。このことから、進捗の確認は目標達成に効果があるけれど小さいものだ、と見たほうが良さそうです。
まとめ
では最後に今回の内容をまとめます。
- 進捗をこまめに確認すれば目標達成がちょっと近くなる
- 目標は周りに公言したりすると良さそう
- 進捗はしっかり記録しよう
この辺りを押さえておくとよろしいかと思います。
赤羽(Akabane)
参考文献&引用
#1 Harkin B, Webb TL, Chang BP, et al. Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence. Psychol Bull. 2016;142(2):198–229.