【おまけ付き】年間1500本論文を読むオタクが選ぶ【おすすめの心理学本5選】

年間1500本論文を読むオタクが選ぶ「おすすめの心理学本5選」

赤羽(Akabane)

今回は「おすすめの心理学本」についてのお話です。

年間1500本論文を読むオタクが選ぶ【おすすめの心理学本5選】

先日、こんなお便りをいただきました。

自己紹介に「本と論文を読み漁っている」ということですが、赤羽さんが読まれている過去の本について知りたいです。
(中略)
お気に入りの本や良書を10冊~20冊はご存知だと思います。教えていただければ幸いです(もしくは記事にしていただければ嬉しいです)。

応援のお言葉まで添えてあって嬉しかったので、初めてお便りを記事にするという感じでやっていこうと思います。(今までは普通にそのまま返事していました)

今回は一応「心理学本」と銘打ってありますが、厳密には行動経済学寄りかな..?みたいな本も混じっています。あと結構定番モノばかりで、質問してくださった方は本をかなり読まれるみたいなので、すでに読んだことがあるかもしれませんね

影響力の武器 第三版

まずは心理学・行動経済学の定番の一冊「影響力の武器」第三版です。

これはアリゾナ州立大学のロバート・チャルディーニ教授の名著で、その人気ぶりから今日まで何回も改訂され続けています。

中身の概要は、「返報性」から「プロスペクト理論」「一貫性」などなど、普段の人間関係からセールスの場まで、オールラウンドに使える心理テクニックが満載です。一貫して【人が他人につき動かされる条件】について書かれていますね。

これ一冊でここ数十年の心理学が結構カバーできますが、その分ガッツリ量はあります。ちょっとソフトタッチするくらいで良い!という方はコミック版が出ていたのでこちらをどうぞ。50ページくらいにまとめられているので、私は本屋で立ち読みしました。(しっかり学びたい方にはコミック版はおすすめしません)

PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間

またしてもチャルディーニ教授の一冊です。私は彼の本が好きなのかもしれません(笑)

「Persuasion(説得)」を文字って「Pre(前もって)-suasion(説得する)」というタイトルです。タイトル通り、説得は交渉中じゃなくてその前から始まっているんだ!という内容です。

中身は「影響力の武器」に近いですが、情報がアップデートされていたり、新しい知見も結構得られました。こちらは一貫して【人がつき動かされる条件】【人が注意を引き付けられる条件】【影響力の武器のおさらい】この辺りをテーマにしていました。

「影響力の武器は読んだ!」「古典的な内容に合わせて最新の知見が知りたい!」なんて方にはかなりおすすめの一冊かと思います。

選択の科学

これはどちらかというと行動経済学寄りの本ですね。

名門コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授による名著で、「選択のパラドックス」など有名どころを中心に、実際のストーリーを交えながら分かり易く書かれた一冊です。

例えば、スーパーの売り場でジャムの種類を6種類と24種類で比べた結果、たくさん売り上げたのは..?みたいな話に興味があれば読んでみる価値ありですね。この本に関しては、私は英語版の原著を読みました。

第一印象の科学-なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?-

おそらく、お便りをくださった方の興味があるテーマに一番近い本です。

中身は一貫して「観相学」の観点をとっていて、「人は世界で一番面白い地図「顔の地図」をいかにして作り出しているのか?」という疑問を解明していく内容になっています。ヒトの顔に対する認識のステレオタイプや「第一印象」の危うさなどなど、ここまで第一印象について細かく突き詰めた本はないんじゃなかろうか?と思いました。

顔のイラストや写真付きで見やすさもありますし、ちょっと高いですがオススメですよ。

マインドセット「やればできる!」の研究

今や教育心理学の定番中の定番「マインドセット」の本です。

スタンフォード大学のキャロル・デュエク教授が提唱した「硬直マインドセット・しなやかマインドセット」という2つのマインドセットが、いかに教育やスポーツなどの学習面に大きな影響を与えるか?に一貫して触れた一冊でした。

「自分はこの分野では硬直だけど、あっちではしなやかだな..」みたいに自己分析しながら読んでいくだけでも、その後の生き方自体が変わる可能性も秘めている一冊だ、と思っています。

おまけ:教養としての認知科学

ここからはおまけです。お便りをくださった方が、認知科学や心理学の実用本をよく読まれるということだったので、私が読んだ認知科学の実用本を一冊だけ紹介しておきます。

認知科学の枠組みについて基本的な部分が書かれているだけでなくて、「脳科学が発達してきてるし、脳科学で十分では?」とか「自分のことは自分でわかるし!」みたいな認知科学不要説にも、冒頭で丁寧にツッコミを入れています。その分ちょっと冗長に感じましたが、内容はかなり充実していたと思います。

おまけ:悪癖の科学

もう一つおまけです。これは最近読んで面白いな~と思った本で、人間の不思議な心理現象から18禁なテーマまで、堅苦しくない感じで書かれています。実用的とは言えないかもしれませんが..。

ヒトが車を運転するとかっ飛ばしたくなる心理だとか、みんなで集まって悪態をつくことには実は大事な意味があって..みたいな取っ付きやすいテーマが盛りだくさんでした。

まとめ

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

おすすめの心理学本5選

  • 影響力の武器 第三版
  • PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間
  • 選択の科学
  • 第一印象の科学
  • マインドセット「やればできる!」の研究
  • おまけ:教養としての認知科学
  • おまけ:悪癖の科学

割と定番どころばかりになりましたね。これには理由があって、個人的な心理学本への印象として「90年代かそれ以前の文献を中心に参照してまとめた本」が多い気がしているからです。

もちろんそれが悪い!というわけではなくて、ただ最新の研究を毎日チェックしている身としては、自分のリサーチの範囲外の研究がまとめられていると興奮しますし、真新しい知見があれば「読んでよかったな..」と思えます。こういった理由で、実は最近心理学の知見はほとんど論文のみでチェックしていました。

赤羽(Akabane)

お便りしてくれた方、ありがとうございました。「もうちょいコアなやつが知りたかったよ..」と思われてたらすみません(笑) 追加で何か気になることがあれば、どしどしお便りをください。

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