落ち込んでいる人が本当に心に響く「慰めの言葉」の最適解とは?

落ち込んでいる人が本当に心に響く「慰めの言葉」の最適解とは?

赤羽(Akabane)

今回は「落ち込んでいる人の心に響く慰めの言葉とは?」というお話です。

落ち込んでいる人が本当に心に響く「慰めの言葉」の最適解とは?

友人や恋人、家族…身近な人が悩んでいたら、出来る限り力になってあげたいですよね。

しかし、どんな言葉をかければいいのか..?と考えた末に放った一言が、かえって雰囲気を悪くしてしまうなんていうケースもありましょう。人の心は難しいですね。

そこで今回は、悩んでいる人にかけると効果的な慰めの言葉について面白いデータを見ていきます。

慰めの言葉がかえって逆効果になってしまうケースを考えよう!という研究結果

2020年にペンシルベニア州立大学が発表した研究(#1)によると、悩んでいる他人への慰めの言葉は「他人視点重視」であるべき!実用的なアドバイスはあまり心には響かない!ということが分かったようです。

この研究では、過去にパートナーと揉めたことがある478名の既婚者を対象に、幾つかのアンケート調査を実施する実験を行っていました。内容はザっと以下の通りです。

  • パートナーとのことについて相談できる人を思い浮かべる
  • その人にパートナーとの揉め事について話すという状況を想像してもらう
  • その時に、かけられる言葉のバリエーションが6つ用意され、それぞれについて評価をつけてもらう

言葉のバリエーションは、主に「他人視点重視度」をベースに作られたようです。これは、慰めの言葉がどれだけ相手に寄り添っているか?共感を示せているか?ということでして、例えばこんな感じです。

memo
他人視点重視度が高い…「それって、〇〇ってことだよね」「一人で抱え込んでて辛かったんだね」
他人視点重視度が低い…「〇〇した方がいいよ」「落ち込んでてもしょうがないよ。前を向こう!」

こうしてみると、男性がよくしがちだと言われる「実用的なアドバイス」は他人視点重視度が低いと言えましょう。そして調査データを集計すると、最終的に325名分が分析に使われたようで、ここから以下のようなことが分かりました。

結果
  • 他人視点重視度が低い言葉は、役に立たない、説得力がないと判断されがちだった
  • また、怒りや反感を買いやすく、支配的だと受け取られがちだった
  • 逆に他人視点重視度が高い言葉は、相談相手に心を開きやすく、感情面の改善もあった

やはり「他人視点重視度」が低い言葉はもらっても心に響かないみたいですね。それどころか、アドバイスとしても役立たずで、もらう側の反感も買いやすかったようです。完全に地雷だ…。

一方で、相手の心に寄り添った言葉はかなり効果的な様子。誰かに悩みを相談されたら、一通りその人の話をしっかり聴いてあげて、その上で理解なり共感を示す言葉を返すというのが最適なのではないでしょうか。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • あくまでイメージ上の話: 実験では、特定の状況を想像してもらった上で調査データを集めており、現実の場面でどこまで同じ結果になるかは分からない
  • パターンは限定的: 既婚者に「パートナーと揉めた時のこと」について聞いているだけで、他のテーマだとまた結果が変わってくるかもしれない(悩みの深刻度や相談相手の立場など)

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 悩んでいる人に慰めの言葉をかける際は「他人視点重視度」を意識するべし
  • 「他人視点重視度」が高い言葉は、相手への理解・共感を示したり、相手に寄り添う姿勢を見せるような言葉
  • 「他人視点重視度」が高い言葉ほど、かけられる側は感情面が改善し、相談相手に心を開きやすくなったが、低い言葉では「役立たず」「説得力がない」「支配的だ」などと反感を買いやすかった

赤羽(Akabane)

実験デザイン面に課題はあるものの、これは何となく頷ける話だなぁと思いました。自分が本当に悩んでいる時、一人でも同じ気持ちを共有できる人が居るだけで、随分心が軽くなる気がします。私は話を聞く側になることが多いので、改めて「他人視点重視」の意識は大事にしようと思いました。

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参考文献&引用

#1 Xi Tian, Denise Haunani Solomon, Kellie St.Cyr Brisini, How the Comforting Process Fails: Psychological Reactance to Support Messages, Journal of Communication, Volume 70, Issue 1, February 2020, Pages 13–34, https://doi.org/10.1093/joc/jqz040

※当記事はメンテナンス済みですが、2020年10月19日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。