赤羽(Akabane)
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筋トレ中のクレアチンで筋肉は発達するのか?
クレアチンとは、ザックリ言うと「アルギニン」「グリシン」「メチオニン」の3つのアミノ酸が腎臓や肝臓で組み合わさってできる物質の事です。
筋トレではかなり重宝されていますが、意外に「筋トレ中に摂ったらどうなるの?」といった点はあまり研究されていませんでした。今回見ていくデータは、まさにそんな疑問にアプローチしています。
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筋トレ中にクレアチンサプリを摂ると筋肉の発達に有利なのか?
2020年にリジャイナ大学が発表したRCT(#1)によると、筋トレ中のクレアチンによって筋力・筋持久力アップ効率が上がることが分かったようです。
この研究では、日頃から筋トレをしている22名の若者(平均26歳、女性9名)を対象に、彼らを以下の2つのグループにランダムで振り分ける実験を行いました。
- クレアチン(13名): 一日当たり0.1g/体重kgの分量で、筋トレの日のみサプリを摂取する
- プラセボ(9名):クレアチンサプリに似た効果のないサプリを同じ分量・同じ日に摂取する
*期間中は筋トレプログラムも行う。スプリットルーティンで上半身・下半身を交互に鍛えていく日程、週5回。各種目は3セットずつで、オールアウト気味、インターバルは2分間に設定。
実験期間は6週間で、調査項目として筋肉量や筋力、パワー、筋持久力を測定しつつ、最初と最後の週の3日間の食事内容(2日筋トレ日、1日オフ日)までチェックしたようです。全体的に、他のところで結果に影響が出ないように配慮はバッチリでした。
そして実験の結果、こんなことが分かりました。
- 両グループで、実験後に筋肉の分厚さ・垂直跳びやメディスンボール投げなどのパワーに有意な発達が見られたが、グループ間で有意な差はなかった
- クレアチンを摂ったグループでのみ、レッグプレスやベンチプレスなどの筋力が有意にアップしており、この効果は男性でのみ表れていた
- クレアチンを摂ったグループでのみ、下半身の筋持久力が有意にアップしており、上半身に関しては両グループで同じくらい有意にアップしていた
ここから言えるのは、筋トレ中にクレアチンサプリを飲むことで筋力や筋持久力の発達効率がアップするかも!ということです。一方で筋肥大やパワーの項目に関しては、プラセボと大した差がありませんでした。
またクレアチンの副作用に関しては、実験中に1件だけ消化器官不良を訴えましたが、その後実験をやり遂げています。サプリによる消化器官不良はよくあるケースですし、深刻な副作用は今のところ確認されていません。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さく、サンプルに偏りがある: 参加者数がかなり少ない分、統計的なパワーは弱くなる。また、参加者は若者のみなので、中年・高齢者にどこまで適用できるか?は分からない
- 実験期間がやや短い: 数週間までの結果しか分からないので、年単位の効果がどれほどなのか?までは分からない
- 食事の記録データは全体を把握するにはちょっと足りないかも: 最初と最後の週の3日分の食事が、期間全体の食事をどこまで反映できているのか?は謎。一応、実験期間中は同じようなルーティン・食事内容を心がけてください!とは指示したようだが…
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 「アルギニン」「グリシン」「メチオニン」の3つのアミノ酸が腎臓や肝臓で組み合わさってできる物質「クレアチン」
- 今回の実験では、筋トレ中に摂るクレアチンの効果を検証したところ、プラセボと比較して筋力や筋持久力の発達効率が有意にアップすることが分かった
- 一方で、筋肥大やパワーに関する項目には大した優位性は見られず、クレアチンによる追加効果はあまり期待できないかもしれない
赤羽(Akabane)
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#1 Mills, S.; Candow, D.G.; Forbes, S.C.; Neary, J.P.; Ormsbee, M.J.; Antonio, J. Effects of Creatine Supplementation during Resistance Training Sessions in Physically Active Young Adults. Nutrients 2020, 12, 1880.