赤羽(Akabane)
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「冬のベッドは足が凍えて寝付けない..」そんな時は暖かい靴下を履いて寝るといいかも
冬のベッドは何と言っても寒い..足が冷えていると寝付けるまでにかかる時間も長くなってしまう(#1)ことも分かっていますし、足は出来るだけ温かくして眠りたいものです。
そこで真っ先に思い浮かぶのは「靴下」ですが、靴下を履いて布団に入っても大丈夫なの?という点は気になりますね。
靴下を履いて寝ると睡眠の質は高まるのか?を調べた実験
この問題については、2018年にソウル大学校が発表したクロスオーバー試験(#2)が参考になりましょう。
この研究では、6名の若い男性(平均22.7歳)を対象に二つの実験を行っていて、各参加者に次の2パターンをランダム順に経験してもらったようです。
- 足を温める:ラボ内の寝室で靴下を履いて寝る
- 足を温めない:ラボ内の寝室で何も履かずに寝る
睡眠時間は深夜0時~午前7時まで、睡眠中はアクチグラフィやサーミスタで体の温度変化や動き、睡眠のパラメータを測定しつつ、外の雑音の影響を取り払うために耳栓までしてもらった様子。これは徹底していますね。
でそれぞれの実験日の間には6日間ほど空けて、各晩の睡眠の質や入眠時間、睡眠効率などを改めてアンケート調査で調べたようです。
すると結果、こんなことが分かりました。
- 靴下を履いた場合、そうでない場合よりも入眠にかかる時間が7.5分ほど短縮された
- 睡眠効率も7.6%改善された
- トータル睡眠時間も32分ほど長くなった
- 中途覚醒の回数も半分くらい少なかった
まとめると、靴下を履いて足を温めた場合で、入眠にかかる時間だけでなく睡眠の質全体が高まる効果が見られたんですね。
ちなみにくるぶし周辺の体温を測定したところ、靴下を履いたほうが若干温度が高まるのが早くて、その晩を通して温度が保たれることも分かりました。こうした末端の温度調節が、深部体温が外に流出するのを抑えたりして、結果的に睡眠の質が高まったんではないか?と考えられています。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、ザっとこの辺りは押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズはかなり小さい:対象になった人数が少ないので、統計的なパワーは弱い
- どこまで一般化できるかはまだ分からない:対象者は若者で男性のみなので、冷え性な人や女性、高齢者など、別の条件だと結果は違うかも
- 睡眠のスケジュールによって結果が変わるかもしれない:今回の実験では7時間睡眠縛りがあったので、各自の好みの睡眠時間だとどうなるか?も分からない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 靴下を履いて寝た場合、そうでない場合よりも入眠時間が短縮、睡眠時間が延びて睡眠の質が高まった
- 末端の体温調節に一役買ってくれる形で全身の体温調節にも貢献、その結果として睡眠の質が高まったのかも..という感じ
- 睡眠の質を高めてぐっすり眠るのに靴下を履いて寝るのはアリ
こんな感じでしょうか。まだエビデンスは弱いですが、一度試してみてもいいんじゃないかな?と思います。国立睡眠財団も靴下で足を温めるのを推奨している(#3)ことですし..。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Kräuchi K, Cajochen C, Werth E, et al. Warm feet promote the rapid onset of sleep. Nature. 1999 Sep 2;401(6748):36-7.
#2 Yelin Ko and Joo-Young Lee. Effects of feet warming using bed socks on sleep quality and thermoregulatory responses in a cool environment. J Physiol Anthropol. 2018; 37: 13.
#3 National Sleep Foundation. Wearing Socks to Bed: Is it Normal? accessed on 7th Dec 2019.