【腎臓にも筋肉にも優しい】腎機能にダメージを与えない&筋トレの成果も最大に高めるたんぱく質摂取量は一日何グラム?

2019年6月12日栄養成分、物質, 筋力トレーニング, 考察編, 魚・肉類その他

プロテインが腎臓に悪い!と言われる理由

今回は「プロテインって腎臓に悪いの?」というお話です。
 
 
よく筋トレをしていてプロテインを飲んでいると、「プロテインは腎臓に悪いよ!」という話を聞きます。これはプロテインが普通じゃあり得ない量のたんぱく質を凝縮させているから、というのが根拠なんですが、実際一理ありまして、
 

  • 腎臓病や腎臓機能が低下している人ではたんぱく質の制限で腎臓病の症状が改善した!(#1,#2)
  • 腎機能が低下している人でたんぱく質の多量摂取が慢性腎臓病の進行リスクを高めた(#3)

 
といった報告がちらほら見られるんですね。そもそも、たんぱく質は腎臓でろ過する際にたくさん老廃物を出しますし、こうした結果も手伝って「高たんぱく質は腎臓に負荷をかけるからよくない!」という主張になる、と。納得のいく話であります。
 
 
ただしこの問題には注意点もありまして、
 

  • こうした根拠となっている研究ではあくまで腎臓病患者や腎機能が低下している人のみを対象している

 
この点も把握しておいた方がよろしいかと思います。実際に上で挙げた研究(#3)の中でも、腎機能に問題がない人であればたんぱく質の摂取量は慢性腎臓病リスクに影響はない!と報告があったり。

「たんぱく質摂りすぎは腎臓に良くないよ!」
→腎臓病患者や腎機能が低下している人には当てはまる可能性大。
腎臓に問題がなければ当てはまらない、というのが現状の答え。

高たんぱく質は思ったほど腎臓にダメージがない?

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といったところで、今回は高たんぱく質と腎臓にまつわる新しい強固なエビデンスが登場していたのでザっと共有したいと思います。
 
 
参考になるのが、2018年にウォータールー大学が発表したメタ分析(#4)。この研究では「高たんぱく質な食事は本当に腎臓にダメージを与えるのか?」を調べてくれておりまして、過去最高級の内容であります。ざっと中身を覗いてみると、
 

  • 28件のRCT(うち14件はクロスオーバー試験)から
  • 腎臓に問題がない太り気味~肥満体型の1358名(平均年齢49 ± 15歳)を対象に
  • 高たんぱく質 vs 中~低たんぱく質な食事で「高たんぱく質は腎機能にダメージを与えるのか?」を調査
  • 腎機能のメジャーは糸球体濾過量(GFR)を基準にした

 
こんな感じ。要は腎臓が健康な人で高たんぱく食は腎臓に負担をかけるのか?を調べたんですね。
 
 
クロスオーバー試験というのは、簡単に言うと実験中にちょっと時間を空けて、グループを入れ替える方法のこと。ちなみにたんぱく質の摂取量は具体的に、
 

  • 高たんぱく質.. 一日あたり1.81 ± 0.60g/kg
  • 中~低たんぱく質..一日あたり0.93 ± 0.51g/kg

 
それぞれこのくらいの量です。高たんぱく質は大体現行の推奨量の2倍くらいで、中~小たんぱく質のほうでも研究によってはこの推奨量を超えているものがあった模様。
 
 
そして結果の比べ方ですが、今回は2パターン用意されておりました。一つがグループごとの実験終了時の数値差を見る方法。もう一つがグループ内の実験前後の数値差を比べる方法です。

(#4)より引用&筆者作成。

ざっと図にするとこんな感じですね。以上を踏まえてどんな結果になったかというと、

 

  • 高たんぱく質な食事は中~低たんぱく質と比べても腎機能へのダメージは見られなかった
  • 高たんぱく質な食事の前後で比較しても、腎機能へのダメージは見られなかった
(#4)より引用&編集。
 

このように、高たんぱく質な食事は腎機能にダメージを与えないということがわかったんですね。こりゃ驚いた…
 
 
そして更に、この研究では質の低いクロスオーバー試験6件を除いた上で再分析したんですが、結果にはほとんど影響がなかったみたい。他にも、

 

  • 年齢、実験期間、糖尿病有無、摂取エネルギーのバランス

 

こうした要素についても調べてくれていて、やはりこれらも影響していなかった様子。糖尿病は腎臓病リスクが高まる大きな要素なんですが、ここも糸球体濾過量には影響しなかった、と。

(#4)より引用&筆者作成。

まとめると、「現行の推奨量の2倍かそれよりちょっと多い高たんぱく質摂取は腎機能にダメージを与えない」という結果になりました。今回の研究が強いのは、研究の質が最も高いRCT(詳しくはリンク先参照のこと)をたくさん集めている点。簡単に言うと、科学的にみて質の高いの研究デザインなんですね。
 
 
ただし一方で注意点も幾つかありまして、

 

  • 今回含まれた研究は4日~104週間までの期間しかみてないので、これより長期は分からない
  • 腎機能へのダメージはなかったが、腎結石リスクにも影響がないかは分かっていない

 

この辺りは把握しておいたほうが良さそう。つまり現状では、最長2年くらいまでの安全性しか担保されていなくて、それより長期になるとどうなるかわからない、と。ここは高たんぱく質で得られるメリットと天秤にかけて決めるしかないですね..。

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赤羽(Akabane)

まとめると、現状言えるのは一日1.8g/kgくらいのたんぱく質であれば最長2年ほどは腎臓へのダメージもなく大丈夫だ、くらいでしょうか。ちなみにこの量は最近発表された「筋トレの成果を最大限引き出すたんぱく質摂取量」ともほぼ一致しておりまして、まずは1.62~1.81g/kgあたりを目指して摂ってみるのも良さそうです。

たんぱく質は量より“質”を取れ!

筋トレの成果を最大限高めるたんぱく質の摂取量

前回のエビデンスと併せて読む

参考文献&引用

#1 Mandayam S1, Mitch WE.”Dietary protein restriction benefits patients with chronic kidney disease.“,Nephrology (Carlton). 2006 Feb;11(1):53-7.

#2 De Santo N.G.;Perna A.;Cirillo M.”Low protein diets are mainstay for management of chronic kidney disease.“,Front. Biosci. 2011, 3, 1432–1442.

#3 Knight EL, Stampfer MJ, Hankinson SE, Spiegelman D, Curhan GC,”The impact of protein intake on renal function decline in women with normal renal function or mild renal insufficiency.“,Ann Intern Med. 2003 Mar 18;138(6):460-7.

#4 Devries MC, Sithamparapillai A, Brimble KS, Banfield L, Morton RW, Phillips SM,”Changes in Kidney Function Do Not Differ between Healthy Adults Consuming Higher- Compared with Lower- or Normal-Protein Diets: A Systematic Review and Meta-Analysis“,The Journal of Nutrition, Volume 148, Issue 11, November 2018, Pages 1760–1775.