【推奨摂取量超え】腎臓の機能にダメージを与えないたんぱく質の新しい摂取基準量は何グラム?

2019年5月9日栄養成分、物質, 筋力トレーニング, 考察編, 魚・肉類その他

プロテインが腎臓に悪い!と言われる理由

「プロテインばっか摂ってると腎臓に悪いよ!」とはよく聞く話。確かにこの説には一理ありまして、根拠となっている研究をザっと挙げてみても、
 

  • 腎臓病や腎臓機能が低下している人ではたんぱく質の制限で腎臓病の症状が改善した!(#1,#2)
  • 腎機能が低下している人でたんぱく質の多量摂取が慢性腎臓病の進行リスクを高めた(#3)

 
といった報告が上がっているんですね。確かにホエイプロテインなんかは乳たんぱく質を粉末状にして凝縮したものですし、何だか飲みすぎは良くなさそう。ただしこの問題には注意点もありまして、
 

  • こうした根拠となっている研究ではあくまで腎臓病患者や腎機能が低下している人のみを対象している

 
この点は把握しておいた方がよろしいかと思います。実際に上で挙げた研究(#3)の中でも、腎機能に問題がない人であればたんぱく質の摂取量は慢性腎臓病リスクに影響はない!と報告があったり。

「たんぱく質摂りすぎは腎臓に良くないよ!」
→腎臓病患者や腎機能が低下している人には当てはまる可能性大。
腎臓に問題がなければ当てはまらない、というのが現状の答え。

短期的になら高たんぱく質で腎機能にダメージがない「適正量」がわかった!

といったところで、今回は「高たんぱく質で腎機能に影響がない摂取量」が明らかになったので紹介したいと思います。参考になるのが2018年に発表された系統的レビュー(#4)で、これはたんぱく質の摂取量が腎臓機能や高血圧に影響を与える上限量について調べたもの。ザっと中身を覗いてみると、
 

  • 26件の研究(18件のRCTと8件の観察研究) から
  • 18歳以上の腎臓病や腎機能低下がない健康な成人を対象に
  • 主にたんぱく質摂取量と腎臓にまつわる数値、血圧との関係を調べた

 
こんな様子。ちなみにどうして血圧も調べたのか?というと、高血圧は腎臓にかなり負担をかけるし、腎臓の機能低下も高血圧に繋がるから。ザっと仕組みを説明しますと、
 

  • 高血圧は血管に負担をかけ、動脈硬化などを引き起こす
  • 腎臓の血管は特に細くて影響を受けやすい
  • やがて腎臓の機能が低下する
  • 血液中の老廃物をこし出す力がなくなる
  • 血圧が高まる

 
このような流れ。つまり腎機能と血圧の変化はお互い深い関係にあるんですね。一方で腎臓について具体的に測定されたのは、
 

  • 糸球体濾過量(GFR)
  • 尿酸値、尿中クレアチニン、アルブミン値

 
主にこれら。GFRで直接腎機能を調べつつ、尿酸値などを見て間接的に腎臓が老廃物をろ過できているか?を測定したんですね。すると全体をまとめた結果は、

 

  • 高たんぱく質な食事は高血圧改善に効果てき面だった
  • 高たんぱく質摂取はGFRの増加と相関があった
  • 高たんぱく質摂取が腎機能の血中マーカーに与える影響はほとんどなかった

 

どうやら、推奨量を超えた高たんぱく質は確かに腎臓の働きを高めたものの、高血圧改善が見込めるし、腎臓の血中マーカーへの影響も大したものではなかったみたい。更に言うと、特に炭水化物と置き換えた時にたんぱく質で高血圧改善が見込めるようです。
 
 
具体的には、一日当たり1.8~2.0g/kg程であればダメージの問題はなさそうで、これはハーバード大メディカルスクールが推奨する上限量(#5)とも見事に一致。
 
 
ただし少なからず注意点もありまして、

 

  • RCTの実験期間が最長6か月しかない(うち11件は一か月未満)
  • RCTのサンプル数(参加人数)が少ない
  • 高たんぱく質摂取が腎結石リスクに与える影響はハッキリしない

 

この辺りは押さえておいた方がよろしいかと。今回「高たんぱく質摂取は腎機能の血中マーカーに影響はほぼ与えない」とした根拠は主にRCTの実験からくるものでした。つまり、根拠のもとになる研究の調査期間が短くて質も低いので、長期的な影響についてはまだ断言できないんですね。
 
 
また他にも、短期的に見て腎機能低下への影響はなさそうであるものの、腎結石リスクへの影響に関しては、まだハッキリ言えない状況だったり。この点も注意したいですね。

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赤羽(Akabane)

まとめると、今回の結果から、~6か月という短期間であればひとまず~2.0g/kg/日くらいのたんぱく質摂取は腎臓にダメージを与えないことが分かりました。ただし長期(数年単位)での影響はまだわからないのと、腎結石のリスクについては現状ハッキリしていない点はマストで押さえておいた方が良さそうです。

たんぱく質は量より“質”を取れ!

筋トレの成果を最大限高めるたんぱく質の摂取量

参考文献&引用

#1 Mandayam S1, Mitch WE.”Dietary protein restriction benefits patients with chronic kidney disease.“,Nephrology (Carlton). 2006 Feb;11(1):53-7.

#2 De Santo N.G.;Perna A.;Cirillo M.”Low protein diets are mainstay for management of chronic kidney disease.“,Front. Biosci. 2011, 3, 1432–1442.

#3 Knight EL, Stampfer MJ, Hankinson SE, Spiegelman D, Curhan GC,”The impact of protein intake on renal function decline in women with normal renal function or mild renal insufficiency.“,Ann Intern Med. 2003 Mar 18;138(6):460-7.

#4 Van Elswyk,, Weatherford CA, McNeill SH,”A Systematic Review of Renal Health in Healthy Individuals Associated with Protein Intake above the US Recommended Daily Allowance in Randomized Controlled Trials and Observational Studies.“,Adv Nutr. 2018 Jul 1;9(4):404-418.

#5 Harvard Health Publishing,”When it comes to protein, how much is too much?“,accessed 23rd Apr 2019.