【50ヶ国18万人の調査結果】1日1個の卵は循環器疾患や死亡リスクを高めない！

赤羽(Akabane)

今回は「1日1個の卵なら循環器疾患や死亡リスクを高めないかもよ！」というお話です。

1日1個の卵は循環器疾患や死亡リスクを高めない？

「卵は1日何個まで？」という論争は今も続いていますね。

過去には色々なまとまった見解を比較して紹介したりしましたが、今回は50ヶ国の人を対象にした大規模なデータを見ていきます。

50ヶ国18万人の卵の消費と循環器疾患のリスクを調査した結果…

2020年にマクマスター大学の研究所が発表した研究(#1)によると、1日1個までの卵は循環器疾患や死亡リスクを高めないようです。

この研究は、3つの調査データを集めて、6大陸50ヶ国の177,555名を対象に、卵の消費と循環器疾患、死亡リスクの相関を調べたもの。対象には、循環器疾患や糖尿病などの既往歴がある患者から、そういった既往歴のない人まで幅広く含まれています。

ザッと各調査内容をまとめると、こんな感じでした。

PURE Study: 21ヶ国から146,011名を対象に、2003年の開始時から今までで分かっている循環器疾患・死亡リスクを追跡調査
ONTARGET Study: 既往歴ありの25,618名を対象に、その治療薬を投与する実験を2002〜2003年に行った
TRANSCEND Study: 既往歴ありの5,926名を対象に、その治療薬を投与する実験を2001〜2004年に行った

上記3つの調査データには、食事のセルフレポートも含まれていて、このデータから卵と調査期間中のリスクの関係性を見ていく流れですね。

すると結果、12,701名が亡くなり、13,658名が循環器疾患を発症し、ここから以下のようなことが分かりました。

卵を1日1個食べる vs. 卵を週に1個未満しか食べない

PURE Study:
- 循環器疾患&死亡リスクとの有意な相関なし (HR: 0.96; 95% CI: 0.89, 1.04; P-trend = 0.74)
- 死亡リスクとの有意な相関なし (HR: 1.04; 95% CI: 0.94, 1.15; P-trend = 0.38)
- 循環器疾患リスクとの有意な相関なし (HR: 0.92; 95% CI: 0.83, 1.01; P-trend = 0.20)
ONTARGET&TRANSCEND Study:
- 循環器疾患&死亡リスクとの有意な相関なし (HR 0.97; 95% CI: 0.76, 1.25; P-trend = 0.09)
- 死亡リスクとの有意な相関なし (HR: 0.88; 95% CI: 0.62, 1.24; P-trend = 0.55)
- 循環器疾患リスクとの有意な相関なし (HR: 0.97; 95% CI: 0.73, 1.29; P-trend = 0.12)

まとめると、既往歴のない人もある人も関係なく、1日1個の卵で全般的に循環器疾患や死亡リスクが上がることはなかったんですね。しかも上記は、年齢や性別、学歴、住まい、喫煙、運動習慣、食事内容といった他の要素を調整した上での結果だったようです。

ただ、一部でイレギュラーな結果も出ていて、PURE Studyでは卵の摂取量が1日1個以上の人は、週に1個未満の人よりも心筋梗塞リスクが16%低かったり、ONTARGET&TRANSCEND Studyでは、逆に心不全リスクが25%高かったりしました。この辺りの要因はよくわかっていません。

ちなみに、「1日1個以上の卵はどうなるの？」という点は、卵を沢山食べていた人のデータが少なかったので分からなかったみたいですね。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意

因果関係は特定できない：RCTなどの研究デザインではないため、卵を1日1個食べていたお陰でリスクが上がらなかったのかどうか？は分からない
他の要素を調整しきれていなかった：これは言い出したらキリがないが、今回の調査でも一部カロリー摂取量が考慮されていなかったりして、こうした部分が結果に影響を与えているかも
調査は全てセルフレポートだった：回答者がその場で過去数か月分の食事を思い出して答えるので、主観やバイアスが混じっている可能性がある

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント