120万人以上を調査して分かったメンタル改善に最も効果的な運動量と運動の種類とは?

赤羽(Akabane)

今回は「メンタルを改善するための運動」についてのお話です。

運動はメンタルに良い!がどのくらいの時間やればいいのか?

まず前提ですが、運動は不安からうつまで幅広くメンタル改善効果に定評があります。種類はウォーキングから筋トレまで何でもよいみたいで、とにかくメンタルに不安がある場合は運動を始めてみるのが良さそうです。

医学雑誌『ランセット』の姉妹雑誌に掲載された注目の論文研究

ではこれを踏まえて本題です。運動でメンタルを改善したい時に、一体どのくらいの運動をどのくらいの強度でやればいいのか?といった疑問に答えてくれる研究が発表されていました。

これは2018年に発表された横断研究(#1)で、2011~2015年にかけてアメリカの120万人以上を調査した大規模な内容になっております。

具体的には、調査対象は1237194名(18歳以上)で、参加者らはセルフレポートにて「ここ一か月でメンタルがよろしくなかった日はどのくらいあったか?」を報告するという流れ。自己申告なので主観やバイアスが混じりそうですが、それは一旦置いておき。

そしてこの調査では、ノンパラメトリック検定という手法で年齢、性別、既婚、BMI、うつ病の既往歴、人種、収入、教育レベル、フィジカル面での体調などの要素が調整されたようです。

ノンパラメトリック検定というのは、研究対象になるグループの間で基準になる前提の値を設定しない統計手法のことで、例えば“青山で今人気な美容院ランキング”みたいに結果が全く予測できないモノに有効な方法だとされています。

では以上を踏まえて結果を見ていくと、

結果
  • 運動する人としない人では全体で過去1ヵ月のメンタル落ち込み日が1.5日少なかった(43.2%↓)
  • 運動は全種類バッチリ効果アリ(チームスポーツ、サイクリング、有酸素、ジムトレが特に効果的)
  • 過去にうつ病の既往歴がある人には効果てきめん、運動でメンタル落ち込み日が平均3.75日も減った
  • 運動は一日45分、週に3~5回の頻度で最もメンタル改善効果があった

このようになっていました。今回の大事なポイントは、「どんな運動でもメンタル改善効果があった」というところ。何でも、運動の中には家事やウォーキング、ウィンタースポーツなんかも含まれていたようで、とりあえず体を動かすことはメンタルに良いみたい。

他には、「運動は長くやればいいというものではない」ところも重要ですね。何でも一日3時間を超えると逆効果になってしまうのだとか。

そして最後に、今回の調査でわかった“運動とメンタル改善効果”の関係がどの位強いモノなのか?この部分をザっと表にして締めくくりです。

メンタル落ち込み日割合比較一覧
  • 大卒はそれ以下の学歴の人と比べて17.8%↓
  • 正常なBMIの人は肥満体系の人と比べて4%↓
  • 米ドルで年収50000$以上の人は15000$の人と比べて17%↓

ここからわかるのは、収入や学歴など強力な要素を差し置いて、運動はメンタルに大きな影響を与えるということ。何せ運動する人はしない人よりもメンタル落ち込み日が43.2%↓ですから、なかなか大きい影響です。

赤羽(Akabane)

ということで結論。「何だか気分が優れない」「メンタルがもろい..」という方はまず適度な運動をしてみるとよさそうです。一日30~60分程度で、できればサッカーやバスケなどのチームスポーツがベストですね。チームスポーツは孤独対策にも良さそうですし、定期的に参加しましょう!

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参考文献&引用

#1 Chekroud SR, Gueorguieva R, Zheutlin AB, Paulus M, Krumholz HM, Krystal JH, Chekroud AM,”Association between physical exercise and mental health in 1・2 million individuals in the USA between 2011 and 2015: a cross-sectional study“,Lancet Psychiatry. 2018 Sep;5(9):739-746.