赤羽(Akabane)
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朝ご飯の前に運動をすればインスリンの感受性が高まるという研究結果
早速ですが、最新の研究データを見ていきましょう。
朝ご飯の前にひと汗かけばインスリンの感受性が高まって二型糖尿病予防になるかも!という実験
これは2019年にバース大学が発表したRCT(#1)で、太り気味か肥満体験の男性を対象に、大きく2つの実験を行ったものです。
一つは食事と運動の順番を前後させた場合の直後の代謝の変化を調べた実験、もう一つは6週間の期間で長く見ていく実験といった感じで、結果を測定する期間でパターン分けしていました。
最初はイギリスのバーミンガムに住む12名の太った男性を対象に、【朝食→90分休憩→運動】【運動→90分休憩→朝食】の両パターンを、間に期間を空けて行ってもらったようです。運動は60分のサイクリングを最大酸素摂取量65%の強度で、朝食はシリアルやトーストなどでした。
そして食前食後、運動前後など色々なタイミングで血液サンプルや筋肉中の中性脂肪やグリコーゲン(糖質)などを測定していったところ、こんな結果になったようです。
- 朝ご飯前に運動した場合の方が食後の血糖値が一時的に上昇し、インスリンの反応が善くなっていた
- 運動中の血中の脂肪酸、グリセロールの濃度も高まっていた(≒ 活用効率が高い)
- 逆に朝ご飯を食べてから運動した場合は糖質の活用が高まって脂肪の活用は下がっていた
まとめると、朝ご飯の前に運動をしたほうがインスリン感受性も改善して脂肪も燃えやすいかもしれないよ!ということです。一方で体重の減量に対しては、両者で大差なかったみたいですが。
こうした結果は6週間の実験のほうでも報告されていて、なんと全期間を通して脂肪の活用率は朝飯前の運動で2倍以上だった(799kcal vs 1666kcal)のだとか。これはすごいですね。
ちなみにこの結果は、前日の夜ご飯を20時に切り上げて、朝ご飯まで空腹を長く保った場合のものなので、夜食などダラダラ食べた場合には効果が減るかもしれません。
注意点・まとめ
またこの研究にも注意点が幾つかあります。
- サンプルサイズは少なめ:研究自体の対象人数は少ない分、統計的なパワーも小さい
- 与えられた朝食は炭水化物の割合が多め:朝食の栄養価の割合は65%が炭水化物、20%が脂肪、15%がたんぱく質だった。内容によっては結果の一部が変わってくる可能性がある
- 実験期間は短い:最長6週間の結果になっていて、もっと続けた時にどうなるか?まではハッキリしない
他の研究結果と併せて考えれば、朝飯前の運動で代謝や脂肪燃焼のメリットが得られるのは間違いなさそうですが、一応今回の研究の注意点ということでおひとつ。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 朝ご飯前の運動でインスリンの感受性が高まったり脂肪が燃えやすくなっていた
- 6週間の実験では、体重の減量幅は朝ご飯と運動の順番を入れ替えた場合で両者に大差なかった
- 肥満気味で代謝がよくない人は朝飯前の運動が効果的かも
こんな感じでしょうか。脂肪燃焼とインスリン感受性の両方からメタボにアプローチできますし、かなり良さげです。
赤羽(Akabane)
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#1 R M Edinburgh, H E Bradley, N-F Abdullah, et al. Lipid metabolism links nutrient-exercise timing to insulin sensitivity in men classified as overweight or obese. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, dgz104, 2019.