脳科学で判明!「睡眠不足で太るのは食欲が暴走して食べ過ぎちゃうから」のメカニズムは空腹ホルモンではなくアレのせいだった?

脳科学で判明!「睡眠不足で太るのは食欲が暴走して食べ過ぎちゃうから」のメカニズムは空腹ホルモンではなくアレのせいだった?

赤羽(Akabane)

今回は「睡眠不足で食べ過ぎて太っちゃうメカニズム」についてのお話です。

脳科学で判明!「睡眠不足で太るのは食欲が暴走して食べ過ぎちゃうから」のメカニズムは空腹ホルモンではなくアレのせいだった?

早速ですが、この問題について参考になる研究データを見ていきましょう。

睡眠不足で太るのは食べ過ぎによるカロリー過剰。では食べ過ぎちゃうのはどうしてなの?

これは2019年にハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターが発表した研究(#1)で、32名の絞れた体型の健康な男性(19~33歳)を対象に、昨晩の睡眠時間によって次の日の脳やホルモンの状態はどうなるのか?食欲に変わりはあるのか?を調べたものです。

具体的な実験内容は、彼らに計2日間の夜を過ごしてもらい、①家で通常通りの時間バッチリ寝る②夜通しオールしてもらう、という感じで間に一週間空けて2パターンに分けられました。オールのほうはカードゲームをやったり何やら楽しそうな様子でしたね。

で各晩を何も食べずに過ごした翌朝に血液サンプルを採った後、fMRIを着けながらお菓子やその他報酬に関する意思決定のタスクをやってもらったり、空腹度を調べたりという流れでした。

意思決定のタスクは、お菓子や帽子などにそれぞれ3ユーロずつ入札できる持ち金をもらって、どれにどのくらいお金を払ってもいいと思える?というのを入札額で表すオークションゲームです。でフェーズごとに入札額の中央値が表示されて、その額に対して改めて買うか?拒否するか?を決めていく流れ。最終的にゲーム中何も買わなかった場合は、その後30分は空腹のままという残酷な内容でした(笑)

そしてこうした実験から血中のホルモンや脳のデータを取ってみると、次のような結果になったようです。

結果
  • 翌朝の空腹感は、睡眠のパターンによって差がなかった
  • タスクでの食べ物への欲求は睡眠不足のパターンで高くて、よりカロリー密度の高い食品(お菓子など)を選ぶ傾向が見られた
  • 睡眠不足で翌朝の空腹ホルモン「デスアシルグレリン」が増えていたり、脳の視床下部や偏桃体のシグナルも応じて変化していた

まとめると、昨晩にオールして睡眠不足な時に明らかに高カロリーな食品を欲しがる傾向が見られて、これを裏付けるように脳の報酬にまつわる部位でも変化が見られたんですね。

しかしこうした結果は、意思決定と脳データの間では繋がりが確認できたものの、グレリンやレプチンなど食欲に関係するホルモンの数値とは関係がなかった様子。つまり、睡眠不足で食べ過ぎちゃうのは、ホルモンの暴走というよりは脳の報酬系にまつわる部位の暴走が原因かもしれないぞ、ということ。

注意点・まとめ

今回の研究は、サンプルサイズが小さいながらも、脳や血液サンプルなど客観的なデータが色々あって結構参考になるかと思います。ただ、睡眠の質はあまり考慮されていなかったり、この辺りは今後の課題かと。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント

  • 「睡眠不足で太るのは食欲が暴走して食べ過ぎちゃうから」はホルモンというより脳の報酬系の暴走が原因かも
  • 現に睡眠不足状態で、高カロリーな食べ物を選ぶ傾向が強まって、脳のデータもこれに呼応する結果となっていた
  • 一方でグレリンやレプチンなど食欲にまつわるホルモンはこの傾向に呼応しておらず、関係性は見られなかった

こんな感じでしょうか。睡眠不足による食欲の暴走は意外にも食欲ホルモンの代表格レプチン・グレリンというより、脳の報酬系の暴走が原因かもしれないよ!と。

赤羽(Akabane)

睡眠不足の弊害については過去にもたくさん触れています。睡眠は健康のために真っ先に対策すべき重要事項で、それでいて対策はそんなに難しくありません。睡眠に悩みを抱えている方は、当サイトの「睡眠」カテゴリもご覧ください。

関連記事はこちらをどうぞ

睡眠不足 孤独 【悪循環】睡眠不足は人を孤独にさせ、孤独は更に人を不眠へと誘う睡眠 魅力 【悲報】睡眠不足だと見た目の魅力が落ちることが判明。【モテるためにしっかり眠ろう】寝不足 寝だめ 週末睡眠不足は太る!では週末に寝だめをすれば解決するのか?

参考文献&引用

#1 Julia S. Rihm, Mareike M. Menz, Heidrun Schultz, et al. Sleep Deprivation Selectively Upregulates an Amygdala–Hypothalamic Circuit Involved in Food Reward. Journal of Neuroscience 30 January 2019, 39 (5) 888-899.