赤羽(Akabane)
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GI(Glycemic Index)値とは?
巷では色んなダイエットが流行っていますが、中でもよく聞くのが「低GIダイエット」というもの。まず「GI値って何ぞや?」という点はザックリこんな説明になります。
GI値とは、食品中の炭水化物がどのくらい速く血糖値を上昇させるか?をランキング形式で並べたものである。これは対象食品の食後2時間以内の血糖値の上がり具合によって決められており、この値が55未満だと“低GI”だとされる。[筆者訳] (#1)
つまり食後の血糖値の上がり幅が大きい(速い)程GI値は高いとされるんですね。例えば、キャンディーや砂糖なんかはGI値90~100台なのでかなり高GI。一方で糖質が少ない野菜は大体20~30、果物は同時に食物繊維も豊富なんで30~50くらいに落ち着きます。
そしてこのGI値を主軸にしたダイエットが“低GIダイエット”というもの。このダイエットの根幹には、「GI値が高い食品は血糖値が急上昇、その分インスリンの分泌が激しくなるから太るんだ!」とする主張があります。この説を支える根拠となる一連の流れはザっとこんな感じです。
→高GI食品を食べる→食後血糖値が急上昇!→その分インスリンが大量分泌!→糖分が脂肪にも送り込まれる→太る!
低GIダイエットvs高GIダイエット!
ということで今回は正に「低GIダイエットって痩せるの?」という重要なポイントについて少々。参考になるのが2015年のメタ分析(#2)でして、ザっと以下のような研究を行ったんですね。
- 9件のRCT研究精査、低GIダイエットは痩せるのか?を調査
- 1065名の子ども、青年(18歳以下、太り気味/肥満)を対象にこんなグループに分けた
- 低GI食グループ vs 高GI食グループ
- 実験期間は平均26.8週間(10~96週間)
中にはただの低GI vs 高GIではなく“高たんぱくな”低GIと高GI食を戦わせた研究もあったり。ちなみにカロリーは若干の差こそあれど概ねピッタリ揃えられております。(つまりより正確にGI値の違いによるダイエット効果がわかる)
では結果はどうだったのでしょうか?
低GIダイエットvs高GIダイエット結果一覧(飛ばし読みOK)
- BMI(kg/m2)…−0.54(−1.19~0.12)
- ウエスト周り…−1.40cm(−5.46~2.66)
- ヒップ周り…−8.00cm(−23.5~7.50)
- ウエスト/ヒップ比…0.00(−0.05~0.05)
- 体脂肪量…0.44kg(−1.52~2.40)
- 除脂肪体重…0.81kg(−1.10, 2.72)
- 血圧(上)…1.63mmHg(−1.52~4.78)
- 血圧(下)…0.65mmHg(−2.11~3.41)
- HDLコレステロール…0.27mg/dl(−2.13~2.66)
- LDLコレステロール…−1.61mg/dl(−8.09~4.87)
- 総コレステロール…−3.72mg/dl(−11.71~4.27)
- HOMA-IR値(インスリン分泌が正常か確認)…−0.70(−1.37~−0.04)
- C反応性たんぱく質(炎症のサイン)…0.58mg/dl(−0.25~1.41)
- トリグリセライド(中性脂肪のサイン)…−15.14mg/dl(−26.26~−4.00)
- 空腹時血清インスリン…2.67μU/ml(−6.32~0.9)
- 空腹時血清血糖値…−0.13mg/dl(−2.25~1.98)
この結果を一言でまとめると、「HOMA-IRとトリグリセライドの数値のみ低GIで優位に改善!それ以外はなし!」だったんですね。つまり低GIダイエットは二型糖尿病のリスク回避には役立つ可能性があるけれど、ダイエットには大して効果はないという事。
しかし空腹時の血糖値やインスリン値に対しても、研究によっては効果が出ていたり出ていなかったりしたので、結果からみると対高血糖ダイエットとしても絶大な効果が出ているとは言えないですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Amanda R. Kirpitch,Melinda D. Maryniuk,”The 3 R’s of Glycemic Index: Recommendations, Research, and the Real World“,Clinical Diabetes 2011 Oct; 29(4): 155-159.
#2 Lukas Schwingshackl, Lisa Patricia Hobl, and Georg Hoffmann,”Effects of low glycaemic index/low glycaemic load vs. high glycaemic index/ high glycaemic load diets on overweight/obesity and associated risk factors in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis“,Nutr J. 2015; 14: 87.