赤羽(Akabane)
目次
スクワットの膝を曲げる深さで筋肉への効果や怪我のリスクはどう変わるのか?
早速ですが、この問題について参考になりそうな研究が出ていたので中身を覗いてみましょう。
スクワットのしゃがむ深さ別!筋力アップや怪我リスクへの影響の違いとは?
これは2019年にムルシア大学が発表した研究(#1)で、スクワットのしゃがみ込む深さで筋力や運動パフォーマンスへの効果はどのくらい変わるのか?を調べたもの。
具体的には、53名の筋トレ経験者男性を対象に、次の4つのグループに分かれてトレーニングをしてもらうという流れでした。
- フルスクワット(FS):もも裏がピタッと付くまでしゃがむ…12名
- パラレルスクワット(PS):股関節が膝の上部と同じ高さで並行になるようしゃがむ…13名
- ハーフスクワット(HS):膝が90度になるまでしゃがむ…11名
- 比較グループ(CON):何もしない…14名
でこうした実験を10週間で行なって、実験前後とグループ間での筋力アップや運動パフォーマンス、怪我などの指標をチェックしました。
筋力は各スクワットの1RM(1回ギリギリ挙げられる重量)を基準に、運動パフォは反動有垂直跳びや20mスプリント、全力ペダリング、怪我は実際の主観的な痛みや体の硬さで測定していました。
するとこの実験の結果、次のようなことがわかりました。
筋力アップ効果(1RM)
- どの深さのスクワットでもFSが最も効果が高かった
- PSも軒並み効果が高かったがFSには及ばなかった
- HSは全体的に効果が小さかった
- CONは実験前より効果が低下した
運動パフォーマンス
- FSが全体的に最も効果が高かった
- PSも軒並み効果が高かったがFSには及ばなかった
- HSは全体的に効果が小さかった
- CONは実験前より効果が低下した
怪我のリスク
- 実験後はスクワットをした全グループで痛みや硬さなどの感覚が増していた
- 特にHSでこの傾向が強かった
- FSとPSでは全体通して同じ増加レベル
ここから言えるのは、筋力&運動パフォ、怪我リスク、総合的に見てベストなのは「フルスクワット」だった!ということ。
筋力アップではどの深さのスクワットでもFSが高い効果を叩き出していますし、スプリントや跳躍力といった運動パフォも同様な結果になっていました。
逆に今回残念な結果になったのが「ハーフスクワット」で、筋力アップ&運動パフォアップにあまり効果がなかったばかりか、怪我のリスク全般も高まっていました。
注意点・まとめ
ただし今回の研究にも注意点があって、
- 参加者はガチの筋トレ経験者ではなさそう:研究では参加者らを「経験者」と表現しているが、実際はフルスクワットで1RMの重量が体重の1.2倍くらいであまり筋力は強くない(体重60kgの人で72kgを1回挙げられる程度)
- 通常のバーベルスクワットにも当てはまるかは不明:実験ではフォームを均一にする為にスミスマシンが使われていたので、普通のバーベルスクワットでは違う結果になるかもしれない
- 対象は男性のみ:女性にも同じことが当てはまるか?はわからないし、研究も小規模なのでまだ一般化はできない
この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。つまりガチな筋トレ経験者や初心者、性別でも同じ結果が得られるか?はわからないし、そもそも普通のバーベルスクワットだともう少し違う結果になるんじゃないか?と。
また全体的に怪我リスクが上がっていたのも気になるところ。フリーウエイトは特にフォーム次第で怪我も目立つので、ちゃんとしたフォームだったのかな?など疑問も残ります。
では最後に今回のまとめといきましょう。
- フルスクワットは最も筋力&運動パフォアップ効果があった
- 次点でパラレルスクワットもなかなかの筋力&運動パフォアップ効果があった
- ハーフスクワットは最も怪我リスクが高くて、効果も小さかった
フルスクワットは言われている程ケガのリスクも高くないし、むしろ浅めのしゃがみ込みより安全かもよ!筋力アップにも効果的かもよ!という感じですね。
赤羽(Akabane)
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#1 Pallarés JG, Cava AM, Courel-Ibáñez J, González-Badillo JJ, Morán-Navarro R. Full squat produces greater neuromuscular and functional adaptations and lower pain than partial squats after prolonged resistance training. Eur J Sport Sci. 2019 May 15:1-10.