赤羽(Akabane)
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果糖ブドウ糖液糖がたっぷり入ったジュース類は喘息のリスクを高めるかも?
果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)とは、文字通り「果糖」と「ブドウ糖」で構成された甘味料で、製造が簡単でお金もかからないため、砂糖の代用品としてここ数十年で一気に台頭してきました。今日スーパーに並んでいる多くのジュースやお菓子には、この果糖ブドウ糖液糖が使われています。
ただ近年ではこの果糖ブドウ糖液糖に「健康面で問題があるんじゃないか?」という声が上がってきています。そこで今回は、果糖ブドウ糖液糖の摂りすぎが喘息と関係している?!というデータを見てみましょう。
高果糖なジュース類は全般的に喘息のリスクと関係あり?
2018年にマサチューセッツ・ローエル大学が発表した研究(#1)によると、果糖ブドウ糖液糖の多いジュース類をたくさん飲む人ほど、喘息のリスクが高かったことが分かりました。
この研究は心臓研究データとして有名な「フラミンガム研究」に参加した子孫5013名分(平均47.9歳)の調査データを活用して、果糖ブドウ糖液糖が豊富なジュース類の摂取量と調査中の喘息リスクの相関を調べたものです。
調査期間は約17年間で、この間に4年おきのペースで食事内容やその他の生活習慣について聞きとり調査を行っています。ジュースにはフルーツジュースや炭酸系、ダイエットソーダなどが含まれたようです。
するとこの調査から、以下のようなことが分かりました。
- 週に5~7回ジュースを飲む人は、全く飲まない人と比べて喘息の発症リスクが91%高かった
- 果糖ブドウ糖液糖が多い炭酸飲料を毎日飲む人だと49%、週に2~4回リンゴジュースを飲む人だと61%、フルーツジュースだと58%喘息リスクが高かった
- ダイエットソーダとオレンジジュースについては喘息リスクと相関は確認されなかった
まとめると、果糖ブドウ糖液糖など高果糖なジュースを普段からたくさん飲んでいた人は、飲まない人よりも喘息のリスクが2倍近く高かったんですね。しかもこうした結果は、性別や年齢、BMI、喫煙歴、学歴、一日の総エネルギー摂取量などの潜在的な交絡因子を考慮しても一貫して見られたみたいで、果糖ブドウ糖液糖が割とデカい割合で影響している可能性があると考えられます。
では果糖ブドウ糖液糖はどうして喘息と関係があるのか?これはジュースに濃縮されて大量に含まれる果糖が問題だと睨まれていて、ヒトの体は一度に大量の果糖を処理するようにできておらず、代謝のキャパオーバーになってしまいます。すると処理されず小腸で残った果糖によってカルボキシメチルリジン(CML)などの終末糖化産物(AGEs)が生成されてしまうんですね。AGEsは体内のこげとも呼ばれる物質で、慢性的な炎症を引き起こすので、これが喘息リスクに繋がっているんではないか?と。
アンチエイジングの大敵で毒性が強い「AGEs(終末糖化産物)」とは?AGEsを含む食品ランキングも!
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくとよろしいかと思います。
- 人種に偏りがあった:ヒスパニック系ではないアメリカの白人が半分近くを占めていた
- 他の食品群に考慮されていないものがあった:シリアルやパン、スナック菓子など、他の影響がありそうな食品については考慮されていなかった
- 因果関係は証明できない:観察研究の性質上、果糖ブドウ糖液糖やジュースが喘息を引き起こしたという因果関係を裏付けるデータにはならない(あくまで相関関係)
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 果糖ブドウ糖液糖は安価で簡単に作れるため、砂糖に代わる甘味料として現代では広く浸透している
- 果糖ブドウ糖液糖が豊富なジュース類では、ダイエットソーダやオレンジジュースを除いて喘息リスクと相関が見られた
- 高果糖な食事は体内で慢性的な炎症を招いて、結果として喘息やあらゆる生活習慣病のリスクを引き上げるかもしれない
こんな感じでしょうか。果糖がたっぷり含まれるジュース類はやはり優先して減らしたほうがいい対象みたいですね。
果糖ブドウ糖液糖やジュース類の健康リスクについては以下でも取り上げています。色々文献を読んできましたが、ジュース類はタバコに近いレベルで控えた方が良い印象がありますね..。
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#1 DeChristopher LR, et al. Excess free fructose, high-fructose corn syrup and adult asthma: the Framingham Offspring Cohort. Br J Nutr. 2018 May;119(10):1157-1167.