新型コロナウイルス(COVID-19)の潜伏期間はどのくらい？統一的な見解を押さえておこう

赤羽(Akabane)

今回は「新型コロナウイルスの一般的な潜伏期間」についてのお話です。

新型コロナウイルス(COVID-19)の一般的な潜伏期間を押さえておこう

2019年12月末、中国の武漢で初の感染者が確認されてから、数か月で瞬く間に世界中に感染が拡大した「新型コロナウイルス(COVID-19)」

当初の見込みを上回る感染拡大と死者数に、さすがに世界規模で危機感が募ってきていますが、こうした感染拡大に図らずも寄与してしまっているのが、無症状患者や症状が出る前の感染患者だと考えられています。

そこでこの記事では、COVID-19の一般的な潜伏期間を、これまで発表されている色々な文献をもとに見ていきます。

現段階で分かっているCOVID-19の一般的な潜伏期間

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潜伏期間の定義…ウイルス接触してから、最初に症状が表れるまでの期間

2020年3月上旬にマサチューセッツ大学アマースト校が発表した研究(#1)によると、COVID-19の潜伏期間は中央値で約5日間であることが分かりました。

この研究は、武漢を除く中国の他地域で確認された感染ケース181件を対象に、ウイルスに接触してから感染、症状が表れるまでの期間に関するデータを見積もったものです。

そしてこの結果は、以下の通りです。

結果

COVID-19の潜伏期間は中央値で5.1日間だった(95% CI 4.5~5.8日間)
後に症状が出た患者のうち97.5%は、ウイルス接触から11.5日以内の間で症状が表れていた(95% CI 8.2~15.6日間)
今回の結果に基づいて算出された予測によると、10000件の感染ケースに対してうち101件は隔離&検疫期間として設けられている2週間よりも後に症状が表れるようだ

ここから言えるのは、COVID-19の潜伏期間は大体5日間くらいで、症状が表れるとすればウイルスに接触してから11~12日以内くらい！ということです。

他の研究結果と照合してみる

上記の結果を他の研究結果と照らし合わせると、ザっとこんな感じです。

中国の病院にCOVID-19感染で入院していた16名の感染ケースを調べた研究によると、潜伏期間は中央値で5日間(1~6日間)(#2)
COVID-19感染拡大初期に確認された88件の感染ケースを調べた研究によると、潜伏期間は平均6.4日間(95% CI 5.6~7.7日間)(#3)
COVID-19感染拡大初期に中国の武漢内外で確認された158件の感染ケースを調べた研究によると、潜伏期間は中央値で5.0日間(95% CI 4.4~5.6日間)(#4)
中国の武漢で確認された最初の425件の感染ケースを調べた研究によると、潜伏期間は平均5.2日間(95% CI 4.1~7.0日間)(#5)

他の報告を踏まえても、やはりCOVID-19の潜伏期間の目安は5日間前後だとみて間違いなさそうですね。これは2003年に感染拡大が広まった「SARSコロナウイルス」の潜伏期間ともほぼ一致していて(#6)、現段階ではこの数字を信頼しておいて問題ないかと思います。

注意点・まとめ

ただし今回の研究には注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意

症状の始まりやウイルスに接触した時期などの情報が一部欠けているデータも含まれていた：このような不確かなケースは、一般的なウイルス感染から症状が起こるまでの定型枠にはめてからデータとして使われていたため、データは不正確かもしれない
対象に含まれた患者は偏っているかもしれない：感染が正式に診断されて報道されているケースのみをデータとして使用したため、症状が比較的重い患者に偏っているかもしれない

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

潜伏期間	参照データ
中央値で5.1日間	#1
中央値で5日間	#2
平均6.4日間	#3
中央値で5.0日間	#4
平均5.2日間	#5

赤羽(Akabane)

COVID-19は「無症状患者が厄介だ！」とよく報道されている印象ですが、色々と文献を読んでみると、どちらかと言えば症状が出る前の患者の割合が大半みたいです。ただ今回紹介した研究でも、ほんの一部ですが、検疫&隔離期間の2週間を超えた後で症状が表れるケースも散見されるなど、感染拡大を完全に食い止めるのは難しいだろうな…という感じはします。