赤羽(Akabane)
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セルフコンパッションで若者のメンタルヘルスは健全になるのか?
セルフコンパッションとは、「自分のことを今よりちょっと労ってあげよう」という概念のこと。主に、自殺願望がある人や完璧主義度が高い人、メンタルに問題を抱える人で高いメンタル改善効果があるとされています。
そこでこの記事では、セルフコンパッションは青少年たちのメンタル改善にも効くのか?というデータを見ていきます。
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セルフコンパッションは青少年のストレスも緩和する…?メタ分析
2018年にエディンバラ大学が発表したメタ分析(#1)によると、セルフコンパッションが高いほど、青少年のメンタルヘルスも健全だったことがわかりました。
この研究は、2009〜2016年の間に出版された19件の過去研究から7049名の青少年(10〜19歳)を対象に、セルフコンパッションのスコアの高さとうつ症状、不安症状、心理的ストレスといったメンタルヘルスの問題との相関の強さをまとめています。
セルフコンパッションのスコア測定には、全ての研究で「SCS」や「SCS-SF」の定番スケールが使われていて、最終的にうつや不安に関する研究数が少なかったため、心理的ストレスとの相関のみ分析が行われたようです。
すると上記の分析の結果、こんなことが分かりました。
- セルフコンパッションは心理的ストレスと逆の相関が大きく見られた (r = − 0.55 (95% CI = − 0.61 ~ − 0.47, Z = −1 2.78; p =
- 結果には出版バイアスの恐れがあったが、その可能性も調整した上で、上記と変わらない効果が確認された
出版バイアス…見映えもあって、いい結果が出た研究ばかりが出版されてしまう、されやすいという偏りのこと
まとめると、セルフコンパッションが高ければ心理的ストレスの度合いが低いことが分かったんですね。しかもこうした結果は、バラつきこそ大きいですが、全体的に一貫して確認されたみたい。
とは言え、やっぱり気になるのが「I2 = 91.6%」という数値です。この数値は、結果のばらつきの大きさを示していて、今回のコレはかなり大きめかと。
今回のメタ分析では、この点についても詳しい分析を行ってくれていて、どうやら年齢が大きく関係していそうです。なんでも、年齢が大きくなるほど、セルフコンパッションと心理的ストレスの相関は弱くなっていったのだとか。この結果については、子供たちの思春期のタイミングを踏まえると納得のいく結果かと思います。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- セルフコンパッションは「自分のことを今よりちょっと労ってあげよう」という概念
- 今回のメタ分析では、10〜19歳の青少年を対象に、セルフコンパッション度が高いほど心理的ストレスが低い傾向が大きく見られた
- こうした相関は、思春期やその前の若い段階でより強く見られ、20歳に近くにつれて弱まっていった
赤羽(Akabane)
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#1 Marsh IC, Chan SWY, MacBeth A. Self-compassion and Psychological Distress in Adolescents-a Meta-analysis. Mindfulness (N Y). 2018;9(4):1011‐1027. doi:10.1007/s12671-017-0850-7