筋トレ種目「バーベルヒップスラスト」を徹底解剖!活動する筋肉やトレーニング効果の転移まで

筋トレ種目「バーベルヒップスラスト」を徹底解剖!活動する筋肉やトレーニング効果の転移まで

赤羽(Akabane)

お尻の引き締めに人気な筋トレ種目として「バーベルヒップスラスト」というものがありますが、スクワットやデッドリフトなどと比べるとややマイナーかもしれません。そこでこの記事では、バーベルヒップスラストで稼働する筋肉や期待できる効果についてみていきます。

筋トレ種目「バーベルヒップスラスト」を徹底解剖!活動する筋肉やトレーニング効果の転移まで

バーベルヒップスラストの筋活動からパフォーマンス向上効果までをまとめた系統的レビュー

2019年にサン・ジュダス – ウニダーデ・ブタンタ大学が発表した系統的レビュー(#1)では、このバーベルヒップスラストについて徹底解剖してくれていました。

この研究では、条件にヒットした過去12件の関連研究を集めて、バーベルヒップスラストの以下のようなところを調べています。

  • 活動する筋肉とその順番
  • 短期・長期的に見たトレーニング効果の転移

それでは早速、レビューの結果分かったことをまとめていきます。

結果
  • 筋活動: スクワットと比べて、大殿筋と大腿二頭筋の活動が強かった。逆にデッドリフトと比べると、大腿二頭筋の活動が弱かった
  • 筋活動の順番: 大殿筋→脊柱起立筋群→大腿二頭筋→半腱様筋→外側広筋→中殿筋→内側広筋→大腿直筋
  • 短期・長期的なトレーニング効果: 4件の研究で短期的に、2件の研究で長期的なスプリント力向上が確認された。長期的な効果を検証したほか2件では有意な効果は見られず

こうした知見をまとめると、バーベルヒップスラストは特にお尻の筋肉(大殿筋など)を刺激するのに効果的で、現段階ではスプリント能力の向上に役立つ種目であると考えられます。

また細かく見てみると、大殿筋に限って言えば、バーベルヒップスラストは通常のデッドリフトやヘックスバーデッドリフトなんかよりも強い刺激が得られていた!といった結果も。ただしこうした結果はそれぞれ1件の研究から報告されたもので、データとして不十分かもしれません。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 各研究の参加者は筋トレ経験者のみ: 今回のレビューの条件として、より適当な結果を出すために参加者が経験者であることが盛り込まれていた。トレーニングに慣れていない初心者では違った結果になるかもしれない
  • 筋肥大や筋力アップなどの効果は検証外: スプリント力以外の項目への効果を調べた研究はまだヒットせず

特に、筋電図で筋活動を測定した実験だけでは、実際の筋肥大や筋力アップの程度は分かりませんので、その点は把握しておいた方がよろしいかと。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • バーベルヒップスラストはお尻の筋肉を重点的に鍛えるのに効果的な種目
  • また短期・長期的にスプリント力の向上効果が見込めそうだ
  • 筋力アップ・筋肥大などへの効果を検証した研究はヒットせず、今後の追試に期待

赤羽(Akabane)

個人的に、ヒップスラストは割と中級~上級者向けだと思います。プレートの大きさいかんではスタートポジションに持っていくのも難しいですし、案外お尻を使ってバーを挙げるという感覚が掴みにくいことも。慣れない間は、自重やバーのみでフォームと感覚を安定させるのが先決かもしれません。

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参考文献&引用

#1 Neto WK, Vieira TL, Gama EF. Barbell Hip Thrust, Muscular Activation and Performance: A Systematic Review. J Sports Sci Med. 2019 Jun 1;18(2):198-206. PMID: 31191088; PMCID: PMC6544005.