赤羽(Akabane)
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お尻の筋肉「大臀筋」に最も効く筋トレ種目とは?
この記事では、上記のテーマについて、参考になる研究データを見ていきます。
スクワットやヒップスラストを含む全24種類の種目を比較した系統的レビューによると…
2020年にサン・ジュダス – ウニダーデ・ブタンタ大学が発表した系統的レビュー(#1)によると、大臀筋を最も刺激するのはステップ・アップ系統のエクササイズであることが分かりました。(但し注意点あり)
この研究は、2002~2019年の間に発表された16件の関連研究から、231名(女性91名)分のデータを集めて、計10種類のトレーニング種目の大臀筋への刺激を筋電図(EMG)で測定した結果をまとめたものです。
トレーニング種目一覧
- バックスクワット(フル、パラレル、ハーフ)…10件
- ヒップスラスト(伝統的スタイル、足幅を変えたものなど)…5件
- デッドリフト(伝統的スタイル、ヘックスバー使用、相撲スタイルなど)…3件
- フロントスクワット…2件
- オーバーヘッドスクワット…1件
- スプリットスクワット…1件
- シングルレッグスクワット…1件
- ベルトスクワット…1件
- ランジ(インライン、伝統的スタイル)…1件
- ステップ・アップ(ラテラル、ダイアゴナル、クロスオーバー)…1件
*各種目のバリエーションを含めると全24種類
トレーニングの強度は、大きく「1RM~%」と「〇〇RM」で表されていて、1RM40%~1RMまで負荷はバラバラでした。この点は、別々の実験をかき集めたものなので、示し合わせる訳にもいかないですし、仕方ないかと思います。
*RM..ギリギリ挙げられる重量のこと。1RMだと1回挙上できる重量を指す。
ちなみに、今回測定に使われた手法は「等尺性最大随意収縮(MVIC)」というものでした。「等尺性」とは、外から見て体は動いていないけれど、筋力は発揮されている状態のことでして、負荷の重さと筋力が等しい時にこうなります。(例…壁を両手で押してる時) そしてMVICは、こうした等尺性の時に動員されている筋肉を測定するもので、他の測定法と比べて、動作の前後のフォームや開始地点などの違いによる結果の誤差を減らすことができるのがメリットです。
以上を踏まえて、全種目を実証研究全体で横断的に比較していったところ、以下のようなことが分かりました。
- 大臀筋を最も刺激していたのは、ステップ・アップだった
- 次いでスクワットやデッドリフト、ヒップスラストなども大臀筋に高い刺激を与えていた
- 全体で最も大臀筋への刺激が少なかったのは、フルレンジのバックスクワットだった
まとめると、全種目をまとめたら「ステップ・アップ」系統の種目が最も大臀筋を刺激していることが分かったんですね。引用のグラフを見ても、ステップアップ系が上位を総なめしているのが分かります。
一方で、下半身のトレーニングのド定番であるバックスクワット系統の種目では、軒並み筋電図の刺激が小さいという結果も出ました。「どうしてこうなった…?」という詳しい原因は特定できませんが、実証研究数が他と比べて断トツで多い分、より正確な測定値に落ち着いているのかもしれません。(1、2件だと結果が極端にインフレしたりしやすい)
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- 種目ごとに研究数に偏りがある: 今回、最も効くとされたステップ・アップも実証研究数1に基づいているので、あまり当てになる結果とは言えない
- サンプルサイズは小さい: 全体の実証研究数の割にサンプルサイズは小さいので、その分統計的なパワーは弱くなる(筋トレ研究では往々にして散見される問題点)
- 細かい筋トレ変数は考慮していない: 強度やセット、レップ数、インターバルなど、他の筋トレに関する大事な要素は考慮されてない
また、ステップ・アップの研究を覗いてみると、参加者が全員女性という問題もあります。筋トレの効果には男女差が影響するので、この辺りの違いも結果に影響しているのではないかと思われ..。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 下半身の筋肉の大部分を占める重要なお尻の筋肉「大殿筋」
- スクワットやデッドリフト、ヒップスラストなど定番の種目を、全24種類のバリエーションで比較したところ、ステップ・アップ系の種目が最も大殿筋に効くことが分かった。一方で、ド定番のバックスクワット系の種目は刺激が比較的小さかった
- 各種目の実証研究数やトレーニング強度などのバラつきもあるため、今回の結果の正確性にはまだ怪しいところがある(ステップ・アップを調べた実験は1件&参加者は女性しか含まれていない等)
赤羽(Akabane)
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#1 Neto WK, Soares EG, Vieira TL, et al. Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review. J Sports Sci Med. 2020;19(1):195‐203. Published 2020 Feb 24.