赤羽(Akabane)
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瞑想の熟練者は顔つきから違う?初心者と比べた見た目の印象に与える効果は..
早速ですが、この件について面白い研究を覗いてみましょう。
瞑想をこなした時間で見た目の印象から変わる?熟練者と初心者との間にある差とは
これは2019年にウィスコンシン大学マディソン校が発表した研究(#1)で、99名の男女(瞑想経験者16名、初心者83名)を対象に、瞑想の実践歴で見た目の印象はどう変化するのか?を調査したもの。
この実験では、まず参加者らを次のようなグループに分けました。
- 瞑想熟練者(16名):3年以上の瞑想経験、一日30分以上実践していることが条件。平均して8774時間の瞑想経験があった
- 初心者MBSR(27名):8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を実践する
- 初心者HP(29名):MBSRに寄せた内容だが「マインドフルネス」に関する訓練は含まない8週間のプログラムを実践する
- 初心者WL(27名):実験期間中何もせず待つ
でそれぞれのグループで実験をする前後で彼らの写真を撮っておいて、実験後にその写真を25名の瞑想指導者と86名の大学生にオンラインで評価してもらったようです。
ちなみに評価基準は大きく5つのジャンルに分かれていて、ビッグ5性格診断の「誠実性(勤勉性)」「神経症性」「協調性」やマインドフルネス度などが評価された模様。
するとこの実験から、次のような結果が得られました。
瞑想熟練者は初心者より…
- 誠実性が高くて神経症性が低いと評価された
- マインドフルネス度が高くてありのままの姿に見える傾向があった
- 協調性に関しては有意な差が見られなかった
ここで言えるのは、長期の瞑想によって見た目の印象が色々な部分でポジティブになったのかも!ということ。こうしたメリットは、初心者が8週間のプログラムに参加するだけでは得られなかったんですね。
しかもこうした結果は、年齢や性別、人種、BMI、見た目の魅力、評価者の立場といった要素を調整しても変わらず得られたようです。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、研究チームは次のように仰っていました。
写真の印象は、普段の対人関係で与える印象とは完全に同じではない。私たちは普段他人と接する時、写真よりもずっと多くの情報へアクセスできる。[筆者訳]
つまり、今回の結果が直接対人関係での印象とイコールになるわけではないかも!ということですね。
また、瞑想熟練者グループにあてられた参加者数(16名)も統計的なパワーを発揮するのにちょっぴり足りなかったりして、もう少し効果は小さくなるかもしれません。
では以上も踏まえて今回のまとめです。
- 長期間の瞑想で見た目の印象がポジティブになるかもしれない
- 初心者は8週間くらいの集中訓練ではこの境地にはたどり着けなかった
- 長期間の瞑想で見た目の印象や内面の色々な部分に好影響がある、くらいの解釈になりそう
こんな感じになりましょうか。瞑想がフィジカル面、ひいてはメンタルにもメリットがあるのは間違いないんで、こうした内側からの変化が見た目の印象に表れた可能性は多いにありますね。
赤羽(Akabane)
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#1 Goldberg SB, Hirshberg M, Tello LY, et al. Still facial photographs of long-term meditators are perceived by naïve observers as less neurotic, more conscientious and more mindful than non-meditating controls. PLoS One. 2019 Aug 28;14(8):e0221782.