赤羽(Akabane)
目次
不眠症よりタチが悪い!寝つきが悪いと思いこむ「不眠症アイデンティティ」に潜む危険性
現代病の一つとされる「不眠症」ですが、自分でも気づかないうちに、思わぬところから患ってしまうかもしれません。
不眠症アイデンティティの恐怖
この問題について参考になるのが、2017年の睡眠研究(#1)です。
この研究では「睡眠アイデンティティ」というものについて詳しく調べてくれていて、簡単に要点をまとめると以下の通りになります。
- 不眠症アイデンティティとは、「自分はよく眠れていない」と思い込むこと
- この傾向があると、実際によく眠れていても、よく眠れていないが不眠症アイデンティティを持たない人よりも日中の活動が低下した
- 不眠症アイデンティティを持っていると、自虐やうつ病、自殺願望や不安症をかかえるリスクが高まるかもしれないとしている
まとめると、不眠の大きな原因の一つとして、「全然眠れないし、自分は不眠症なのでは?」という思い込みで本当に眠れなくなってしまったり、夜が来るのを恐れるようになってしまうということ。これは「ストレスが体に悪いという思い込みこそがストレスの害を大きくしている!」というのに似ています。どうやら人間の思い込みの力は想像以上に凄いみたいですね..。
そして同様の結果は2018年の研究(#2)からも出ていて、こちらでも以下のような結果になりました。
- 不眠症アイデンティティ持ちグループが最も病気の発症数、うつ病、不安症を多く抱えていた
- 次点で、実際に睡眠不足なグループ
どうやら「眠れてないなぁ」という思い込みのせいで、思わぬ睡眠の問題を抱えることになってしまうかも..と。こうした思い込みや先入観といった思考のクセには、当サイトでも一推しの「認知行動療法」のテクニックを使って改善していくのが効果的そうです。
そして他の方面からは、質の高い睡眠を心がけるのが宜しいかと思います。例えば、照明の切り替えや日中にしっかり日光を浴びるといった基本的なことですね。
参考文献&引用
#1 Kenneth L.Lichstein,”Insomnia identity“,Behavior Research and Therapy,Volume 97, October 2017, Pages 230-241.
#2 J Tutek,K Lichstein,D Taylor,B Riedel,A Bush,”0347 Discriminators of an Insomnia Identity“,Sleep, Volume 41, Issue suppl_1, 27 April 2018, Pages A133.