赤羽(Akabane)
目次
意外とやりがち?「IF THEN プランニング」の効果を下げてしまうやり方とは?
「IF THEN プランニング」とは、目標までに必要なステップを以下のシンプルなフォーマットに落とし込むテクニックです。
例): お菓子を食べたくなったら、代わりに冷凍庫のブルーベリーを取り出して食べる。
このように、予め目標に近づくアクションを計画しておくことで、目先の誘惑や妥協を戦略的に乗り越えよう!というアイデアであります。
詳しくは以下をご覧いただくとして、この記事では「IF THENを使うときに注意したいこと」についてみていきましょう。
IF THEN プランニングの効果が下がる計画のやり方はこれだ!という実験結果
参考は2011年にユトレヒト大学が発表した研究(#1)によると、悪しき習慣を断つためにIF THENを使う場合は、条件設定に注意しよう!という結論になっていました。
この研究では、IF THENにまつわる4つの実験を行っていて、大まかにこんな内容でした。
- 48名の太っていない若い女性を対象に、①通常のフォーマットでIF THENを行う、②「〜しない」のフォーマットでIF THENを行う、の2グループに分け、チョコレートを断つという目標に向けて頑張ってもらう。その後、チョコに関する言葉への反応速度をテストして、どれだけチョコの誘惑に注意を引かれやすいか?をチェック
- 97名の太っていない若い女性を対象に、①通常のフォーマットでIF THENを行う、②「〜しない」のフォーマットでIF THENを行う、③チョコの代わりに果物を食べると設定するグループ、の3グループに分け、 上記と同様の実験を行う
- 124名の太っていない若い女性を対象に、上記2つ目の実験と同じグループ分けで、今度はその後実際にチョコレートをどれくらい食べたか?を参加者に報告してもらった
- 61名の太っていない若い女性を対象に、上記2つ目の実験と同じグループ分けで、今度はお菓子などの間食全般をどれくらいの頻度でしていたか?を参加者に報告してもらった
そして全ての実験をまとめると、ざっと以下のようなことがわかりました。
- 全体的に、打ち消し型のIF THENを設定したグループで、チョコの誘惑に対して速い反応を見せたり、実際にチョコの摂取量が多い傾向が確認された
- 同様の結果はお菓子などの間食でも確認され、打ち消し型のIF THENでのみ逆効果となった(通常と代替アクションの場合では両者で差はなし)
- 打ち消し型のIF THENが逆効果になりやすいのは、その習慣が強力に染み付いてしまっているときだった
まとめると、間食などの習慣を止めようとするのに、「〜になったら、〇〇しない!」という風に打ち消し型のアクションでIF THENを組み立ててしまうと、かえって逆効果になってしまうことがわかったんですね。
ただし、心理的な動きまでは追えていないので、どうして打ち消し型だとダメなのか、という詳しいメカニズムは分かっていません。
注意点・まとめ
また注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。
- 対象は若い女性のみ: 男性や他の体型の人でどこまで一般化できるか?はわからない
- チョコや間食のデータは参加者によるセルフレポートだった: 参加者らの主観が混じるため、データとしては正確性に欠ける
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 「IF THEN プランニング」とは、目標までに必要なステップを以下のシンプルなフォーマットに落とし込むテクニック
- 今回の実験によると、IF THENでアクションを設定する際に、「〜しない」という否定文を使うことで効果が弱まってしまうことが判明した
- 悪い習慣を断ちたい時なども、「〜なったら、〇〇しない」というフォーマットではなく、「〜なったら、△△する」の形で間接的に目標を達成できるように工夫した方が良さそうだ
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ



参考文献&引用
#1 Adriaanse MA, van Oosten JM, de Ridder DT, de Wit JB, Evers C. Planning what not to eat: ironic effects of implementation intentions negating unhealthy habits. Pers Soc Psychol Bull. 2011;37(1):69-81. doi:10.1177/0146167210390523