赤羽(Akabane)
目次
フェイスマスク14種類を比較!ウイルスの飛沫感染予防に効果がないものが判明。
2020年8月現在、新型コロナ(COVID-19)の影響でマスクの需要が爆上がりしています。一時期は入手困難な状態にもなって、今では代わりとしてネックフリースやバンダナタイプ、自作マスクなんかも広く浸透するようになりました。
そこで気になるのが、こうした従来のものとは違ったマスクに飛沫感染を防ぐ効果はあるのか?というところ。この記事では、上記テーマについて実用的なデータを紹介します。
新型コロナ感染予防に使われる様々なフェイスマスクの飛沫ブロック効果を検証したところ…
2020年にデューク大学が発表した研究(#1)によると、ネックフリースやバンダナタイプ、ニット素材のフェイスマスクは飛沫をブロックする効果が薄いことが分かりました。
この研究では、計14種類のフェイスマスクを集めて、以下のような実験を行ったようです。
- 黒い箱の中に直線のレーザー光線を通し、箱の穴から中へ向けて喋る様子をカメラで撮影するという実験
- 飛沫が飛び散れば、カメラを通してレーザーが黒い箱の中で飛沫状に飛び散って見える仕組みになっている
- 沈黙の10秒、次の20秒間で「Stay healthy, people(皆さん、どうか健康で)」という言葉を5回繰り返し、その後20秒間までをカメラに収める
こうした実験を、各マスクごとに10回繰り返すことで、信憑性を高めたようです。また、各マスクを着用する場合に加えて、マスクなしの場合も比較対象として検証したみたい。
すると実験の結果は、以下のようになりました。
- 全マスクを着用なしの場合と比較すると、密着型のN95マスク、不織布マスク、コットンやポリプロピレン素材で作ったホームメイドマスク、帯マスクの順で最も飛沫をブロックできていた
- 逆に、ネックフリース、バンダナ、ニット素材のマスクは飛沫をブロックできておらず、ネックフリースに関しては着用なしの場合とほとんど変わらなかった
なんと、マスクの代わりとして浸透しつつあった「ネックフリース」や「バンダナ」は内部からの飛沫をブロックするのには心許ない…という結果に。
一方で、定番の不織布マスクや医療用のN95マスク、その他ポリプロピレンやコットン素材で作ったホームメイドマスクなどはかなり飛沫をブロックできていた様子。オシャレさの欠片もないですが、感染予防に徹底するならやはり原点に立ち返るのが一番っぽいですね..(笑)
ちなみに、ネックフリースだけ着用なしのケースよりも飛沫数が多い件については、フリースに当たった大きな飛沫が細かく分散して放出されていることが要因では?との研究チームの見解でした。細かい飛沫の方が、空気中に滞空している時間が長くなる分、ネックフリースはむしろ逆効果かもしれませんね。
注意点・まとめ
ただし、注意点を強いて挙げるならば、話す言語の多様性はカバーできていないという点が課題でしょうか。実験では英語しか使われていませんが、発音の構造上、日本語は英語よりも飛沫が飛びにくいといった特徴があったりします。この辺りが、実験の結果に影響してきそうな感じはするんですよね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- COVID-19蔓延に伴うマスク不足に呼応して、代わりとなるバンダナやネックフリース、ホームメイドマスクなどが広まってきている
- ところが今回の実験によると、バンダナやネックフリース、ニット素材のマスクでは内部からの飛沫をブロックする効果が弱いことが判明した
- 一方で、飛沫を防ぐには従来の不織布マスクや医療用のN95、ホームメイドであればコットン・ポリプロピレン素材のマスクが効果的であることも分かった
赤羽(Akabane)
関連記事はこちらもどうぞ
「新型コロナウイルス(COVID-19)は空気感染する」の根拠となる研究結果をレビューしてみた隔離、学校閉鎖、リモートワーク…新型コロナウイルス(COVID-19)対策の効果をシミュレーションした結果新型コロナウイルス(COVID-19)の潜伏期間はどのくらい?統一的な見解を押さえておこう規制緩和や経済活動の再開…中国で新型コロナウイルス(COVID-19)感染の第二波が来る!という研究結果【COVID-19】人類が未知の感染症に過剰反応してしまう3つの要因参考文献&引用
#1 Emma P. Fischer, Martin C. Fischer, David Grass, Isaac Henrion, Warren S. Warren, Eric Westman. Low-cost measurement of facemask efficacy for filtering expelled droplets during speech. Science Advances, 07 Aug 2020: eabd3083 DOI: 10.1126/sciadv.abd3083