赤羽(Akabane)
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ニュースは人を不幸にする?TVやSNS..情報をシャットダウンするのが困難な現代における問題
今やTVやラジオだけでなく、SNSを中心にいつどこにいても情報が飛び込んでくるような時代です。
しかし良いニュースばかりではありません。むしろTVをつけていると、ネガティブなニュースばかりに目がいってしまうことも..。そこでこの記事では、「ニュースは人を不幸にするのか?」というテーマについて見ていきましょう。
性格特性にかかわらず人はニュースを見ることで不幸になるかも..
2019年にオランダ公開大学が発表した研究(#1)によると、普段何気なく見ているニュースはネガティブな感情と相関があったようです。
この研究では、人々の幸福度を時間の経過の中で定期的に聞き取っていく調査手法を使っていて、結果的に63名(18~82歳)の回答者データを含んでいます。数回にわたってランダムに聞き取りを行うことで、回答にバイアスが混じらないようにするためですね。
聞き取り調査は10日間にわたって行われ、内容は大まかに以下の2つです。
- ニュース:前回の聞き取り調査からニュースに触れたか?どんなテーマのニュースか?どのくらい触れたか?
- 気持ち:どんな気分か?
そしてこの調査の結果、次のようなことが分かりました。
プライベート4.3%、仕事関連2.7%、戦争/テロ7.2%、病気/事故5.1%、スポーツ4.9%、経済4.9%、政治12%、その他9%、ニュースなし54.8%
- ニュースを見た時の方がそうでなかった時よりも気持ちがネガティブである傾向が見られた
- 戦争やテロに関するニュースで最もネガティブになり、スポーツや経済のニュースで最もポジティブだった
- 男性より女性の方がニュースによるネガティブな効果が高かった
まとめると、ニュースは全体的に高いネガティブ感情や低いポジティブ感情と相関が見られて、特に女性で、内容が戦争やテロのトピックだった時に強く見られました。こうした結果には、性格特性はあまり関係がなかったようです。
また他にも、関連性が高いニュースだった場合でもネガティブ感情と強い相関が見られたようで、どうやら自分と何かしら関係があるニュースだと悪影響が大きいみたい。
注意点・まとめ
ただし注意点として、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。
- サンプルサイズは小さい:回答者の数が少ない分、統計的なパワーは弱い
- どこまで一般化できるか?問題:回答者はオランダ人のみで高学歴な人が多かったようで、他の地域や文化圏の人でも同様の結果が得られるか?はハッキリしない
- 聞き取り調査の精度は低い:回答者の負担を減らすために質問数やカテゴリを減らしていたようで、回答データの精度は高いとは言えない
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- ニュースは人を不幸にするかもしれない
- 何らかのニュースを見た後にはネガティブな感情が高まる傾向が確認され、特に女性で、テロや戦争のニュースを見た時に強かった
- 自分に関係があるニュースを見た場合でも、この傾向は強く見られた
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 de Hoog, N., & Verboon, P. (2019). Is the news making us unhappy? The influence of daily news exposure on emotional states. British Journal of Psychology.