赤羽(Akabane)
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忍び寄る【スリーパー効果】の脅威!ニュース記事のコメント欄にある批判コメが逆に説得力を与えてしまう?
スリーパー効果とは、最初は信用できない情報でも、時間が経つにつれて真実味が増してきたりする不思議な心理現象です。
詳しくは【こちら】をご覧いただくとして、一旦本題へ移りましょう。
何気ないニュース記事でスリーパー効果が働く例
2019年にハインリッヒ・ハイネ大学が発表した研究(#1)では、ドイツの大学に通う181名の学生(8割女性、平均21.76歳)を対象に、ニュース記事の説得力はコメント欄の批判によってどう変わるのか?を調べたものです。
まず最初のセッションで、「スーパーフード」などネット上での健康食品についての問題を調査すると参加者の学生らに銘打っておいて、その後彼らを次の5つのグループに分けたそう。
- 信頼性高 & ポジティブコメント:情報源として信頼性の高いメディアを出典として出して、記事の主張に肯定的なコメントを残す
- 信頼性高 & ネガティブコメント:情報源として信頼性の高いメディアを出典として出して、記事の主張に批判的なコメントを残す
- 信頼性低 & ポジティブコメント:情報源として信頼性の低いメディアを出典として出して、記事の主張に肯定的なコメントを残す
- 信頼性低 & ネガティブコメント:情報源として信頼性の低いメディアを出典として出して、記事の主張に批判的なコメントを残す
- 比較グループ:何の記事も読まずに他のグループと同じ時間をアンケートで埋め合わせする
つまり、この実験では①情報の信頼性(情報源のメディア)と②ニュース記事へのコメント(ポジティブ or ネガティブ)の2つをいじって、その説得力がどう変わるかを見ているんですね。
そして最初のセッションの直後と2週間経過後に、読んだニュース記事の説得力についてと「中身を把握しているか?」を確認するためのアンケートに答えてもらいました。
するとこの結果、こんなことが分かったようです。
- 最初のセッション直後には、情報の信頼性と批判コメントによってニュース記事は「信憑性がない」と評価された
- ただ2週間経過すると、批判コメント付きのニュース記事は説得力が高まった
- 一方で肯定的なコメント付きのニュース記事では説得力が下がっていった
ここから言えるのは、批判コメント付きのニュース記事のほうが時間の経過とともに参加者の中で信憑性が増していた!ということ。
また細かく見ていくと、①元々トピックに関して予備知識がある、②元々批判コメントへの評価が高いといった場合、時間が経っても説得されにくいことも分かりました。
注意点・まとめ
ただし注意点も幾つかあって、ザっと次のような点は今後の課題でしょうか。
- どこまで一般化できる内容なのか分からない:参加者は学歴が軒なみ高くて、女性が多い。サンプルサイズも少なめなので、同じような結果が他のサンプルでも得られるか?は現時点でハッキリしない
- コメントの数などで結果が変わるかもしれない:コメントはそれぞれ一つずつだったので、これが複数あった場合に効果が大きくなるのか?は分からない
- 一つのトピックでしか検証されていない:健康食品「スーパーフード」についての記事でしか確認されていないので、政治や経済など他のテーマでどうなるかも分からない
他にもありますが、要は細かい部分はまだまだこれから追試が必要だということですね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- スリーパー効果とは、最初は信用できない情報でも、時間が経つにつれて真実味が増してきたりする不思議な心理現象
- ニュース記事の信ぴょう性が時間の経過でどう変わるか?を調べた実験では、最初に批判コメントや情報源の信頼性が低いとわかった場合でも、その後記事内容に説得される傾向が見られた
- テーマやネガティブ要素の数など、細かい部分の違いによって効果がどう変わるか?はまだよくわかっていない
こんな感じでしょうか。こうした人間の心理は流行りの「フェイクニュース」なんかにも少なからず影響してしまっているんじゃないかな?と思います。
赤羽(Akabane)
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#1 Dominique Heinbach, Marc Ziegele, Oliver Quiring. Sleeper effect from below: Long-term effects of source credibility and user comments on the persuasiveness of news articles. Volume: 20 issue: 12, page(s): 4765-4786.