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外集団への思いやりを高める「Kama Muta(カマ・ムタ)」の精神をメディアを通じて広げよう!

外集団への思いやりを高める「Kama Muta(カマ・ムタ)」の精神をメディアを通じて広げよう!

赤羽(Akabane)

今回は「『Kama Muta(カマ・ムタ)』の精神をメディアを活用して広めよう!」というお話です。

外集団への思いやりを高める「Kama Muta(カマ・ムタ)」の精神をメディアを通じて広げよう!

「Kama Muta(カマ・ムタ)」とは、サンスクリット語で「愛に心を突き動かされる」という意味の言葉である。[筆者訳](#1)

引用先の同サイトによると、日本語に言い換えれば「感動」に相当する言葉らしいです。

人は、自分が属する以外の所謂”外集団”に対して、敵意を抱いたり差別をしたりすることがあります。こうした風潮が世界的に浸透すると、戦争に発展したりするわけですが、この記事では「外集団への思いやりを高めるためにメディア発信で出来るコト」について見ていきます。

メディアを通して「Kama Muta(カマ・ムタ)」の精神を広めるべし!という研究結果

2020年にオスロ大学が発表した研究(#2)の見解によると、「Kama Muta(カマ・ムタ)」の精神をメディアを通じて広げれば外集団へのネガティブな先入観やイメージは払拭できるかもしれない!とのことです。

この研究では、大きく2つの実験を行っていまして、内容はザっと以下の通りです。

  • 実験①: 最終的に394名(平均37歳、18~74歳)を対象に、8つの感動的な映像の中からランダムで1つずつ観てもらう実験を行った。視聴後、参加者らに最も印象に残った登場人物を選んでもらったり、感動度や主人公への印象・共感度、カマムタ度合いなどについて聞いた
  • 実験②: 221名(平均35歳、18~74歳)を対象に、今度は、2回に渡って映像を見せる。一度目は映像の触りの部分だけで、二度目は一週間後に前編を視聴する。映像も2種類あって、一方は感動的なもの、もう一方は笑えるもの。調査項目は実験①とほぼ同様。

*映像の具体例…二人の孤児が生みの親を探し求めて旅をする話、自分の犠牲を顧みず他人を助け続ける男の話、レース中にケガをしたアスリートがゴールまで諦めずに奮闘する話など。主人公はいずれも黒人やインド・タイ人、ゲイの男性など参加者の外集団に当たる人物だった。

要は、ビデオクリップで参加者らに外集団に属する他人にまつわる「感動」的なストーリーに触れてもらって、その後の感動や、それに伴う登場人物に対する印象の変化を調べた、と。実験②では、視聴者の心にカマ・ムタが湧き起こるようなシーンを迎える前と後で、参加者らの主人公への印象がどう変化するのか?をチェックしています。

そして実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • ビデオ視聴後、カマ・ムタ度が高まり、映像の主人公をより同じ人間として身近に認識するようになった
  • 外集団の種類別に見ると、ゲイの男性の映像では視聴後のカマ・ムタが他のパターンより低かった。タイ人やインド人ではより同じ人間としての認識が強くなった
  • 面白い映像よりも、感動的な映像の後でカマ・ムタ度が高まっていて、それに伴い主人公をより同じ人間として身近に認識するようになった(面白い方では「楽しかった」という度合いが大きかった)

つまり、映像を通じて外集団の他人にまつわる感動的なストーリーを視聴するだけで、彼らをより人間味溢れるキャラクターとして認識したと。

また、映像の主人公のバックボーンによって、視聴者の心への響き具合も差があったようで、ゲイの男性が主人公の映像では何故かカマ・ムタ度が低かった様子。理由は分かりませんが、人種の違いと比べると、まだ同性愛への理解が世間的に薄いからなのかな?という可能性はありますね。

注意点・まとめ

ただし注意点として、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 因果関係は実証されない: 比較グループを用意していなかったり、実験デザイン上、カマ・ムタ→外集団への理解という因果関係を裏付けるものではない
  • 効果の持続性についてはわからない: 実験内で一度しか調べていないので、複数回にわたって映像を見せ続けた場合にどれだけ効果が続くか?は不明

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • サンスクリット語で「愛に心を突き動かされる」という意味の「Kama Muta(カマ・ムタ)」
  • 今回の実験では、参加者にとって外集団に所属する人たちのストーリーを視聴することで、カマ・ムタの精神が高まり、彼らへの「同じ人間としての認識」も高まった
  • 面白い映像と比べても、カマ・ムタの気持ちを沸き起こす映像を観た後で、その主人公に対する共感や彼らをより人間として見る気運が高まっていた

赤羽(Akabane)

メディアの影響力は活かせば物凄い推進力になりますが、使い方次第で誰かを傷つけることもできてしまいます。今回の知見のように、マイノリティや他集団への理解を深めるのに活かせれば、目に見えた大きな効果が見込めるのでは?と思います。

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参考文献&引用

#1 KAMA MUTA LAB. accessed on 11th Aug 2020.

#2 Johanna K. Blomster Lyshol, Lotte Thomsen and Beate Seibt. Moved by Observing the Love of Others: Kama Muta Evoked Through Media Fosters Humanization of Out-Groups. Front. Psychol., 24 June 2020.