赤羽(Akabane)
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仏教の「安那般那念(数息観)」を取り入れたマインドフルネス瞑想は不安を取り去ってくれるか?
「安那般那念(あんなはんなねん)」とは、仏教の瞑想の一種で、別名「数息観」などとも呼ばれます。
仏教のバーリ語で「ānāpāna-sati」という風に表記し、「ānā」が吸う、「pāna」が吐くを意味していて、要は呼吸や空気の出入りに意識を向けるタイプの瞑想なんですね。
と言うわけで、この記事では「安那般那念の瞑想は不安を取り去ってくれるのか?」というデータを見ていきます。
安那般那念は半年続けるだけでも不安を撃退してくれる?という比較実験
2019年にスヴィヤサ・ヨーガ大学が発表したRCT(#1)によると、半年の安那般那念(数息観)で不安が有意に改善したようです。
この研究では、112名の有志の参加者を対象に、彼らをランダムに2つのグループに分ける実験を行いました。
- 瞑想グループ(56名): 週6で一日1時間、瞑想の達人による「安那般那念」のレクチャーを受ける
- コントロールグループ(56名): いつも通り、瞑想はせずに過ごす
実験期間は6ヶ月、グループ間で比較する項目は「不安症状レベル」でした。この辺りは至ってシンプルですね。
そして実験の結果、こんなことがわかりました。
- 安那般那念を毎日行ったグループで、実験後の不安レベルが実験前よりも有意に改善していた
- コントロールグループでは、実験前後で有意な改善は見られず、むしろ少し悪化していた
- 年齢別に見ると、40歳以上の人でより高い不安改善効果があった
まとめると、安那般那念を取り入れた瞑想で半年後の不安レベルが有意に改善!という感じです。一方で、何もしなかったグループでは改善が見られず、逆に不安がやや増加していたり。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ざっと以下の点は押さえておくと宜しいかと。
- バイアスの恐れがある: 実験の参加者は有志なので、実験に興味があるor意識の高い人ばかり集まっていて、高い効果を報告しやすかった可能性が高い
- 若年層は少なかった: 40歳未満は7名しかおらず、年齢別の結果の信憑性は薄い
- 参加者らの元々の不安レベルはほとんど中くらいだった: ちょっとした不安や重度の不安を抱える人で、どこまで一般化できる内容なのか?は分からない
特にバイアスの影響を受けている可能性は高いように思われまして、少なからず参加者の先入観や期待が上乗せされた結果なのではなかろうか?と考えられます。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 「安那般那念(あんなはんなねん)」とは、仏教の瞑想の一種で、呼吸や空気の出入りに意識を向けるタイプの瞑想
- 今回の実験では、安那般那念の瞑想を行ったグループで、実験前後の不安レベルが有意に改善していた
- マインドフルネスの取り入れ方として、呼吸に全意識を向けるタイプの瞑想はシンプルで入り込みやすいかもしれない
赤羽(Akabane)
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#1 Sivaramappa B, Deshpande S, Kumar PVG, Nagendra HR. Effect of anapanasati meditation on anxiety: a randomized control trial. Ann Neurosci. 2019;26(1):32-36. doi:10.5214/ans.0972.7531.260107