【脳科学で判明】腰痛が悪化する原因の一つは「痛みに対するネガティブな予測」だった

【脳科学で判明】腰痛が悪化する原因の一つは「痛みに対するネガティブな予測」だった

赤羽(Akabane)

今回は「腰痛はどうして悪化する人とそうでない人が居るの?」というお話です。

【脳科学で判明】腰痛が悪化する原因の一つは「痛みに対するネガティブな予測」だった

腰痛の原因は頭痛と並んでいまだに特定が難しいもので、慢性病に起因する場合もあれば、心理的な影響で起こる場合もあります。

ここからは、腰痛の症状を自分自身で悪化させてしまうかもしれないケースについて見ていきましょう。

脳科学で判明?! 腰痛はネガティブに予測すると痛みが悪化する

これは2016年にリバプール大学の教授らが発表した研究(#1)で、29名の腰痛持ち患者(21~67歳)を対象に、腰の痛みに連動して脳はどんな風になっているのか?というテーマを調べたものです。

実験の流れは、まず彼らに2人のお医者さんから診断を受けてもらって、腰痛の深刻度をチェックします。それから腰痛やメンタルに関するアンケートにも幾つか答えてもらって、腰痛のレベルや痛みへの心理的な反応といった質問への回答も集計したようです。

そしてストレートレッグレイズ(仰向けで垂直に脚を上げ下げするやつ)をできる範囲でやってもらって、その時の脳の変化を脚の角度別でfMRIスキャンしていく流れですね。

するとこの実験の結果、こんなことがわかったようです。

結果
  • 痛みへの心理的ストレスが最も大きい人で予測可能な痛みのレベルが激しくなった
  • それに伴って不安や破局的思考に関係する脳の部位も変化していた
  • 普段から強い痛みを訴える人は、脚の角度が痛みを発生させると考えにくい場合でも不安感や破局的思考に繋がる脳の部位がより大きく活性化していた

ここから言えるのは、腰痛に対して不安感や「こうすると絶対めちゃくちゃ痛いよな..」みたいに破局的な予測思考が強い人ほど、実際に痛みが激しくなっていたということ。

しかも今回の結果は、その瞬間の脳のスキャンデータもあって、実際に不安感や破局的思考と関係する部位が活性化していたという裏付けも報告されています。具体的には、島皮質や前帯状皮質などが不安感と、前頭前皮質や頭頂葉、海馬あたりが反芻思考(クヨクヨ)と、それぞれ関係していたようです。

注意点・まとめ

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 痛みに対するストレスやネガティブな予測がかえって人を痛みに敏感にさせる
  • 実際に腰痛レベルが高い人で不安感や破局的思考が高い傾向にあって、痛みも感じやすかった
  • 腰痛には心理的な影響もかなり関係していると言える

こんな感じでしょうか。もちろん「腰痛に対するネガティブな心理的反応」ですべて片付くわけではないですが、一つの要因として押さえておくとよろしいかと思います。

赤羽(Akabane)

腰痛は原因の特定が難しいので厄介ですね。私も小学生高学年から腰痛に悩まされてましたが、その後大きな病院へ行ったことで正式な病名が分かったりしました。ただほとんどの腰痛持ちの方は原因がわかっていないと思うので、その場合は心理的影響もあり得るという点は知っておくと良いと思います。

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参考文献&引用

#1 Lloyd DM, Helbig T, Findlay G, et al. Brain Areas Involved in Anticipation of Clinically Relevant Pain in Low Back Pain Populations With High Levels of Pain Behavior. J Pain. 2016 May;17(5):577-87.