赤羽(Akabane)
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低GI値の食事は体内の炎症を抑えてくれるのか?
GI値とは、食べ物につけられる数値のことで、その食品を食べてから血糖値が上昇するスピードを表したものです。この数値が高いほど、食後の血糖値がグンと上がりやすい食品だということになります。
で血糖値が上がれば、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。これが「肥満の元だ!肥満ホルモン!」と世間では騒がれているという経緯もあって、食後血糖値が緩やかな低GIダイエットが流行っているんですね。
ではザックリ背景をおさらいしたところで、低GI値は体内の炎症には効果あるの?という点を最新の大規模な研究から見ていきましょう。
低GI値の食品は万病の元である炎症に効果があるのか?
これは2018年にイランの栄養科学栄養学スクールが発表したメタ分析(#1)で、28件のRCTやクロスオーバー試験から2961名の男女を対象に、低GIな食事が炎症反応を抑えるのか?を調べたもの。
今回含まれた研究は10日~最大48週間まであって、主にこんな比較実験を行っていました。
- 低GI値グループ:実際に低GIの食品を与えたり、指定した低GI食品リストから選んで食事をするように勧めたりした
- 比較グループ:高GI食や普段通りの食事、低脂肪ダイエットなど別の食事をしてもらう
そして比較するのは体内の炎症性サイトカインですが、一番多かったのが「高感度C反応性たんぱく質(CRP)」で、次に「腫瘍壊死因子(TNF-α)」「インターロイキン6(IL-6)」が続く様子でした。
で全体をまとめた結果、次のようなことが分かりました。
- 低GIは高感度CRPに有意な効果なし(高GIと比較した場合には有意な減少が確認された)
- TNF-αにも有意な効果なし
- IL-6やレプチンにも有意な効果なし
まとめると、低GI値は特に炎症への効果がなかったんですね。今回含まれた炎症のサインたちは定番の種類をバッチリ押さえているので、その点は参考になるかと思います。
注意点・まとめ
ただし幾つか注意点もあります。
- CRP以外の炎症サインの検証数は少ない:TNF-αやIL-6は5件でしか対象になっていない
- 研究間で結果にバラつきがある:研究によって高い効果が出ていたりそうでなかったりするケースが多くて、安定した結果は得られていない
- 実験期間はそれ程長くない:大半の研究は数週間~3ヵ月程度に収まる範囲なので、長期的にどうなっていくか?はハッキリしていない
この辺りは押さえておくと良さそうです。例えば高感度CRPに関しても、比較対象が高GIならば有意な差が出ていたり、長期だともっと効果が見込めるんではないか?といった疑問もありますね。
では最後に今回のまとめを見ていきましょう。
- 低GI値の食事は体内の炎症に目立った効果はなかった
- ただ高GIを比較対象にした場合など、条件によっては効果が出ている研究もあってバラつきは大きい
- 長期的に見たデータはまだあまり出ていない
こんな感じでしょうか。2013年のメタ分析(#2)でも、低GI vs. 高GI食の括りで見るとCRPが有意に減少していたとの報告がありますし、高GI食よりは少なからず効果があるのかな?とは思いますが。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Milajerdi A, Saneei P, Larijani B, et al. The effect of dietary glycemic index and glycemic load on inflammatory biomarkers: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Am J Clin Nutr. 2018 Apr 1;107(4):593-606.
#2 Schwingshackl L, Hoffmann G. Long-term effects of low glycemicindex/load vs. high glycemic index/load diets on parameters of obesityand obesity-associated risks: a systematic review and meta-analysis. Nutr Metab Cardiovasc Dis 2013;23:699–706.