赤羽(Akabane)
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マインドフルネス瞑想は頭痛に効果があるのか?
早速ですが、この問題について最近出た大規模研究を見ていきましょう。
マインドフルネス瞑想で頭痛は善くなるのか?を調べたメタ分析によると..
これは2018年に浙江大学が発表したメタ分析(#1)で、10件のRCTから315名の頭痛持ちを対象にしたもの。
参加者らが訴えた頭痛は大きく「片頭痛」「緊張型頭痛」で、この両方が見られる患者を対象にした研究も幾つかありました。
で彼らを次のようなグループにランダムで分けます。
- マインドフルネス瞑想グループ:マインドフルネスストレス軽減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法などの一環で瞑想プログラムを行いつつ、自宅でも実践する
- 比較グループ:何もしないパターンが最多で、3件が通常の頭痛治療、1件がリラクゼーションを施した
そして各々グループで3~8週間を過ごしてもらって、頭痛の頻度やレベルなどがどのくらい改善するか?を見ていったようです。
すると結果、こんなことが分かりました。
マインドフルネス瞑想グループは比較グループよりも..
- 頭痛のレベルが改善していた(−0.89; 95% CI −1.63 ~ −0.15; P = 0.02)
- 頭痛の頻度が改善していた(−0.67; 95% CI −1.24 ~ −0.10; P = 0.02)
- 一方で頭痛の持続時間へは効果が見られなかった
まずマインドフルネス瞑想は頭痛にかなり効いた、と。ちなみに括弧内の数値は「標準化平均差」を表していて、頭痛のレベルへの効き目は「大」で、頻度への効き目は「中くらい」といった感じでしょうか。
こうした効果は瞑想プログラムが8週間続いた時に最も大きかったようで、やはり長く続けた方が効くみたい。
でもう少し詳しく調べると、どうやら「マインドフルネスストレス軽減法(MBSR)」が最も頭痛には効いた様子。これは1970年代にマサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバットジン教授が提唱したプログラムで、マインドフルネスが浸透するきっかけになったテクニックであります。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、
- 頭痛のレベルへの効き目はちょっと盛られて出ているかも:マインドフルネス瞑想の実践プログラムの違い(MBSR vs. MBCT)で効果の大きさが違った。MBSRを実践した実験が6件を占めていて、結果が高く出ている可能性がある
- 実験の期間は短期:長くても数か月くらいまでの実験しかないので、長期的な効果はハッキリと分からない
- 細かい部分の実験デザインが緩いものが多い:自宅での瞑想訓練をさせた研究では、各自でどのくらいやってきたか確認していないし、全体では実験の盲検(参加者らに実験の意図を隠す)も甘かったりと不安定な要素が多い
この辺りは押さえておくとよろしいかと思います。メタ分析ではあるものの、中身の材料の品質がそこまで高くないかも、と。
以上を踏まえて内容をまとめると、
- マインドフルネス瞑想は頭痛のレベルや頻度に効くかも
- 特にマインドフルネスストレス軽減法のプログラムが効果的かも
- なるべく長期的に実践したほうが効果は出やすいかも
こんな感じでしょうか。可能性としてはあり得ますし、副作用も特に報告されていないので、やってみる価値はあるかと。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Gu Q, Hou JC, Fang XM. Mindfulness Meditation for Primary Headache Pain: A Meta-Analysis. Chin Med J (Engl). 2018 Apr 5;131(7):829-838.