赤羽(Akabane)
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低GIダイエットは糖尿病患者が体幹のぜい肉を減らすのに効果的かもしれない
低GIダイエットとはGI(Glycemic Index)値が低い食品を中心に食べるダイエットで、食後の血糖値上昇を緩やかにしてインスリンの分泌を抑えるのを狙った食事法であります。
前回は2015年のメタ分析(#1)を取り上げて、低GIダイエットには大した減量効果はなし!二型糖尿病患者が関係する数値を改善するには効果があるかも!という報告をしました。
ということで今回は、糖尿病患者がぜい肉を減らすのに効果はあるのか?という点に焦点を当てて見ていきましょう。
低GIダイエットは糖尿病患者がぜい肉を落とすのに効果ありらしい
2020年にアムリータ・インスティテュート・オブ・メディカル・サイエンスが発表したRCT(#2)では、やや太り気味な36名の糖尿病患者(35~65歳)を対象に、低GIダイエットで体脂肪は落ちるのか?糖尿病の数値に効果はあるのか?を比較検証する実験を行っていました。
まずこの実験では参加者を以下の2つのグループへとランダムで分けました。
- 低GIダイエット(18名):インドのケーララの伝統的な食事(赤米ピットゥ、全粒粉、マッタ米、ウプマ等の低GI食)を続ける
- 通常食(18名):普段通りの食事をするように指示を受ける
実験は24週間で実施されて、その間6回にわたって参加者が食事の内容をちゃんと守って食べているか?をチェックしつつ、X線で体組成測定を行ったり、血液サンプルを採取したりしました。
するとこの実験の結果、こんなことが分かったようです。
- 低GIダイエットで有意に体幹周りの脂肪が減っていた(−6.55 ± 5.10 vs. −0.75 ± 4.93)
- 体重も実験前後で2kgちかく減っていたが、ウエスト周りの減少にはグループ間で差が見られなかった
- HbA1cも0.8%改善し、コレステロール値もHDL(善玉)を除いて改善が見られた
まとめると、低GIでやや減量効果が確認されて、体幹全体のお肉が落ちていた!といった感じです。また糖尿病の重要な数値「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」も通常食に比べて有意に改善していました。
しかも今回の結果はグループ間でカロリーが同じくらいに揃っていたようで、これを踏まえても上記の効果は「低GI」のおかげなんじゃないかと考えられるわけですね。
注意点・まとめ
ただし注意点もあって、ザッとこの辺りは押さえておくとよろしいかと思います。
- 参加者はインド人のみ:同様のレベルの効果が他の地域・人種でも確認されるかはこの結果だけではわからない
- サンプルサイズは小さい:参加者の数が少ない分統計的なパワーは弱くなる
- 食事内容の調査はアンケート式:各グループの食事調査はその日1日分の食事を思いだして記録する形式なので主観や思い込みが混じる可能性がある
とはいえ同じテーマの他研究でも、低GIダイエットの糖尿病への効果はある程度確認されてはいます。なので効果はあるにはあるんでしょうが、具体的にどれ程のメリットがあるの?と聞かれると目覚ましい効果があるようには見えません。
では最後に今回のまとめといきましょう。
- 低GIダイエットで糖尿病患者の体幹のぜい肉が落ちたり、減量効果も見られた
- 他にもHbA1cなど糖尿病と関わりが深い数値が改善していたり、コレステロール値全般にも改善が見られた
- 太り気味の糖尿病患者に低GIダイエットは効果的だった
赤羽(Akabane)
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#1 Lukas Schwingshackl, et al. Effects of low glycaemic index/low glycaemic load vs. high glycaemic index/ high glycaemic load diets on overweight/obesity and associated risk factors in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis. Nutr J. 2015; 14: 87.
#2 Nivedita Pavithran, et al. The Effect of a Low GI Diet on Truncal Fat Mass and Glycated Hemoglobin in South Indians with Type 2 Diabetes—A Single Centre Randomized Prospective Study. Nutrients 2020, 12(1), 179.