血糖値の上昇を抑える「食べる順番ダイエット」は本当に痩せるのか?

血糖値の上昇を抑える「食べる順番ダイエット」は本当に痩せるのか?

赤羽(Akabane)

今回は「食べる順番ダイエットの効果」についてのお話です。

血糖値の上昇を抑える「食べる順番ダイエット」は本当に痩せるのか?

野菜とか血糖値が上がりにくいものから先に食べた方が、インスリンの分泌が減って脂肪がつきにくいんだよ!

「食べる順番ダイエットが」掲げるメリットとしては、上記のようなものが挙げられます。インスリンは血中のブドウ糖を肝臓や脂肪、筋肉などに運ぶ役割があるので、理にはかなっています。

というわけで、この記事では、「食べる順番を最適化するだけで、ぶっちゃけどこまで痩せるの?」というデータについて見ていきます。

食べる順番によってダイエット効果は変わるのか?を検証した比較試験

2019年に関西電力医学研究所が発表したRCT(#1, #2)によると、食べる順番によって、栄養バランスを考慮するのと同じくらい痩せることが分かりました。

この研究は、糖尿病予備軍の患者42名を対象に、さまざまな食事指導によって彼らの体型にどんな変化があるのか?を調べています。まず、彼らを食事指導別に、以下の3グループにランダムで分けました。

  • 従来の健康食指導を受ける(11名)
  • 食べる順番の食事指導を受ける(18名): 下図参照。
  • 栄養バランスの食事指導を受ける(13名): 「スマート和食」の5か条に沿った食事を心がける

血糖値の上昇を抑える「食べる順番ダイエット」は本当に痩せるのか?

(#2)より引用。

スマート和食の5か条

  1. 【食卓の工夫】毎食ご飯を中心に、主菜 1 皿と副菜 2 皿をそろえる。
  2. 【主菜の工夫】魚と大豆製品は、それぞれ 1 日 1 回ずつ食べる。
  3. 【主菜の工夫】肉は低脂肪のものを選ぶ。
  4. 【副菜の工夫】旬の野菜、きのこ、海藻、芋、豆、果物などをまんべんなく食べる。
  5. 【調理方法】油脂を使った料理は 1 食 1 皿

*ドレッシングやマヨネーズ、揚げ物は極力控える。塩分の取り過ぎにも注意。

実験期間は6ヶ月で、ダイエットの目標を決めつつ、実験前後の体組成や血液サンプルなどを測定して、結果を比べていきました。月に1回、電子メールでの確認&報告もあったようですね。

そして実験の結果、こんなことが分かりました。

結果
  • 食べる順番、栄養バランスの食事指導を受けたグループは、従来のグループと比べて約1.5㎏の減量に成功していた
  • 一日当たり摂取カロリーについても、両グループは従来のグループと比べて約200kcal減っていた
  • 食事指導ガイドラインへの遵守(期間中にどれだけ守れたか?)については、栄養バランスのグループでのみ自己評価が低かった

<a href="https://everyday-evident.net/wp-content/uploads/2020/05/20191106-3.jpg"><img data-src="https://everyday-evident.net/wp-content/uploads/2020/05/20191106-3.jpg" alt="" width="590" height="381" class="lazy size-full wp-image-24896" /></a> (#2)より引用。

(#2)より引用。

まとめると、食べる順番を最適化するだけで、栄養バランスを整えるのと同じくらい減量効果があって、カロリー摂取量も同じくらい自然と減っていた!と。

一方で、空腹時血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)といった数値には有意な差は見られなかったようです。また、食べる順番グループでのみ、統計的に有意な効果が出ていますが、これについては、恐らく他の2グループに比べて太っている患者が多かったからだろう、と考えられています。

注意点・まとめ

ただし注意点もあって、ザっと以下の点は押さえておくと良さそうです。

注意
  • 対象は中年の糖尿病予備軍のみ: 40後半〜50前半くらいまでの中年&糖尿病予備軍患者のみが対象なので、他の特徴を持つ人たちでどこまで一般化できるかは分からない
  • 実験期間は短〜中期的: 半年の実験期間なので、年単位の長期的な結果はどうなるかわからない
  • サンプルサイズは小さい: 含まれた参加者が少ない分、統計的なパワーは弱くなってしまう

この手のダイエット系の実験は、特に1年以上のスパンで見ると効果が劇的に変わったりするので、今後は年単位での検証ができればベストですね。

では最後に今回のまとめを見ていきましょう。

ポイント
  • 食べる順番ダイエットは、糖質など血糖値が上がりやすいものを後にして、野菜などを先に食べることで、インスリンの分泌を減らす食事法
  • 今回の糖尿病予備軍患者を対象にした実験では、栄養バランスの指導をした場合と同等に減量効果があり、一日の摂取カロリーも200kcalちかく減っていた
  • 長期的な効果はどうなるかわからないが、従来の食べ方と比べて、多少はダイエット効果があるのかもしれない

赤羽(Akabane)

個人的には、食べる順番ダイエットでもう一つカギになってくるのは、時間の意識かと思います。なにせ「食事開始から5分は、野菜を重点的に食べましょう」みたいな指示があるので、その分ゆっくり時間をかけて味わう意識も身についたのでは?と思います。ゆっくり食べることはカロリーの過剰摂取を防ぐ効果もありますので、大事なポイントかと。

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参考文献&引用

#1 Daisuke Yabe, Hitoshi Kuwata, Yuuka Fujiwara, et al. Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial. Journal of Diabetes and its Complications, Volume 33, Issue 12, December 2019, 107450.

#2 関西電力病院/関西電力医学研究所『保健指導における「食べる順番」に重点をおいた食事指導の有効性を証明』2019年10月20日。

※当記事はメンテナンス済みですが、2020年6月22日に公開された時点での内容となっておりますので、情報が古くなっている場合もあります。