メンタルヘルスに重要な良い栄養と悪い栄養まとめ5選

赤羽(Akabane)

今回は「メンタルヘルスに重要な栄養素と悪い栄養素」についてのお話です。

メンタルヘルスに重要な栄養成分5選

メンタルヘルスに大事なポイントで言うと、意外と盲点なのは「食事」です。健康な食事はがんや心疾患、糖尿病といった生活習慣病のリスクを下げるだけでなくて、メンタルの健康にも非常に重要。精神疾患を抱えている方も、治療の一環として食事から見直してみる意義は大いにあるかと思います。

といったところで、今回は栄養素とメンタルヘルスについてのザックリしたまとめをしたいと思います。参考は2016年にソウル女子大学が発表したレビュー研究(#1)でして、脳の健康ひいてはメンタルヘルスに重要な5つの栄養成分をピックアップしてくれております。早速見ていきますと、

  • オメガ3脂肪酸
  • リン脂質、コレステロール
  • ビタミンB群(B3、6、9、12)
  • 抗酸化物質
  • 飽和脂肪酸、砂糖

以上が選ばれた5つ。一つずつザっと内容を共有していきます。

オメガ3脂肪酸

まずは昨今の魚缶ブームで何かと取り上げられるコレ。魚や植物、ナッツにも豊富ですが、細かく見ると、

  • DHA、EPA..魚、フィッシュオイルに豊富
  • αリノレン酸..亜麻仁油や大豆油に豊富

というふうに食物源によって微妙に中身が違います。その大まかな効能はというと、

  • 脳の炎症を抑えて認知機能を若く保ってくれる!
  • 血液をサラサラにして、血管を若く保ってくれる!

まとめると体全体の老化、それに伴う慢性病を予防してくれる効果があるんですね。ちなみにオメガ3とメンタルとの関係はと言いますと、

  • 認知症レベルと精神疾患の発症との相関が報告されていて
  • 認知症が進んでいるほど、血中のオメガ3濃度が低い傾向がある
  • ではオメガ3の摂取量を増やせばメンタルに効くのでは?

といった流れ。確かに近年では「うつ病の大きな原因って脳の炎症では?」という主張も強かったりするんでココの結びつきは強いかと思います。

とはいえサプリはフィッシュオイルの酸化問題がある上に効果も現状微妙なので、なるべく魚を定期的に食べたほうがよろしいかと。一日にサバ缶一缶で十分ですね。

リン脂質、コレステロール

卵 一日何個 糖尿病

お次は意外なところ。これらは中性脂肪なんかと一緒に血液中に存在する脂質でして、メンタルヘルスの血中マーカーとして重要。他にも、

  • リン脂質とコレステロールは脳の神経細胞膜を作ったりシグナルを調整したりするのに欠かせない

というのも大事なポイント。つまり脳の健康維持、発達に必要不可欠ということで、現に神経伝達系に異常が見られるアルツハイマー病患者では、リン脂質が少なくなっている(#2)ことが分かっていたり。

食べ物だと卵や大豆製品、魚、肉類を日頃から適度に摂っていれば問題ないかと思います。

ビタミンB群(B3、6、9、12)

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お次はビタミンB群が選出。前提として今回例に挙がっているものは、

  • B3..ナイアシン
  • B6..ピリドキシン
  • B9..葉酸
  • B12..コバラミン

こんな風に呼ばれることも。特に葉酸あたりは妊婦さん必携のサプリとして聞いたことがあるかと思います。

そんな彼らは体のエネルギー代謝に深く関わっていまして、不足すると不要な老廃物なんかがどんどん溜まってしまいます。例えば「ホモシステイン仮説」という説がありまして、

  • ホモシステインは特にビタミン6、9、12によって代謝される
  • 体内のビタミンB濃度が低い、ホモシステインが多いほど認知症や軽度認知障害、うつ病発症率が高かった(#3)
  • ホモシステインが精神疾患リスクを上げているんでは?

ざっくりこんな内容。ホモシステインとは、必須アミノ酸「メチオニン」の代謝途中でできる物質でして、これが溜まると、

  • 脳が炎症を起こす
  • 脳が酸化ストレスに晒される

と脳が非常にダメージを受けるんですね。そしてこれをしっかり代謝するのにビタミンB群が不可欠だと考えられる、と。食事からだと、肉やレバー、魚、葉物野菜、大豆製品あたりを食べておけば問題なしです。中でもレバーは最強。

抗酸化物質

野菜 ダイエット カロリー 質 健康

お次はポリフェノールや抗酸化ビタミンなど抗酸化物質。文字通り体内の酸化ストレスを抑えてくれる効果がありまして、特に脳は酸化ストレスに弱いのでメンタルヘルスに抗酸化物質はかなり効果的。実際に、

結果
  • うつ病患者はそうでない人より血中の抗酸化能力が低く、酸化ストレスレベルが高かった(#4)
  • 抗酸化ビタミンが認知機能の衰えや不安障害、ADHD、自閉症、双極性障害、うつ病、統合失調症といった精神疾患に効く(#5)

といった傾向が見られるので、ここに抗酸化物質が効く可能性は大。とりあえず野菜、果物を満遍なく食べておけば、抗酸化ビタミンやポリフェノール類から大いなる抗酸化パワーが得られるかと思います。

飽和脂肪酸、砂糖

最後は悪名高いお二つが選出。これらはアメリカンな食事スタイルに豊富で、心疾患や二型糖尿病などあらゆる生活習慣病のリスクを高めます。

でここに来て今更ですが、心疾患のリスクをあげるような食品は大抵脳やメンタルにもよろしくなかったり。実際に、血糖値が高い、HbA1c(糖と結合したヘモグロビン)の数値が高いほど脳の記憶領域(海馬とか)が小さかったという報告もあがっているんですね。これについては過去に動物&ヒト対象の実験ともに紹介していました。
精製砂糖 飽和脂肪 BDNF 脳精製砂糖と飽和脂肪の摂りすぎで認知機能が低下するかも!BDNF(脳由来神経栄養因子)や海馬への悪影響

赤羽(Akabane)

以上、メンタルヘルスに重要な栄養素でした。結論は脳やメンタルに良い/悪い食事は他の心疾患やがん、糖尿病リスクを考える時と基本は変わらないので、上に載せたインフォグラフィックか、以下のような食事を心がけるとよろしいかと。特に地中海式ダイエットによる脳機能改善効果は堅いですね。

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参考文献&引用

#1 So Young Lim, Eun Jin Kim, Arang Kim, Hee Jae Lee, Hyun Jin Choi, and Soo Jin Yang,”Nutritional Factors Affecting Mental Health“,Clin Nutr Res. 2016 Jul; 5(3): 143–152.

#2 Orešič M, Hyötyläinen T, Herukka SK, Sysi-Aho M, Mattila I, Seppänan-Laakso T, Julkunen V, Gopalacharyulu PV, Hallikainen M, Koikkalainen J, Kivipelto M, Helisalmi S, Lötjönen J, Soininen H. ,”Metabolome in progression to Alzheimer’s disease.“,Transl Psychiatry. 2011;1:e57.

#3 Hainsworth AH, Yeo NE, Weekman EM, Wilcock DM.,”Homocysteine, hyperhomocysteinemia and vascular contributions to cognitive impairment and dementia (VCID)“,Biochim Biophys Acta. 2016;1862:1008–1017.

#4 Liu T, Zhong S, Liao X, Chen J, He T, Lai S, Jia Y,”A Meta-Analysis of Oxidative Stress Markers in Depression.“,PLoS One. 2015 Oct 7;10(10):e0138904.

#5 Lakhan SE, Vieira KF.,”Nutritional therapies for mental disorders.“,Nutr J. 2008;7:2.