「ある脳科学的事実」を生徒に教えるだけでモチベーションや学業成績までアップする!というメタ分析

しなやかマインドセット

赤羽(Akabane)

今回は「生徒に教えるだけでモチベ&成績アップに繋がるかもしれない『ある脳科学的事実』とは?」というお話です。

「ある脳科学的事実」を生徒に教えるだけでモチベーションや学業成績までアップする!というメタ分析

当サイトでは過去に「マインドセット」について触れました。これはスタンフォード大学のキャロル・デュエク教授が提唱した概念で、簡潔に以下の2つのマインドセットに分かれます。

  • 硬直マインドセット..自分の能力は生まれ持った才能で決まっていて、練習ではどうにもならないというマインド
  • しなやかマインドセット..自分の能力は努力次第で伸ばすことができるというマインド

そして硬直マインドセットは失敗を恐れてなかなか成長できないのに対して、しなやかマインドセットを習得すると貪欲に学ぼうとする姿勢が身に付くんですね。これが目標達成や成功に近づくのに必要だ、と。

スタンフォード大学名教授が教える!成功する『マインドセット』とは?

「脳は新しい経験や学習で発達するんだよ」という脳科学的事実を生徒たちに教えるだけで..

といったところで、今回はその「マインドセット」に絡んだお話をば。これは2018年にケベック大学モントリオール校が発表したメタ分析(#1)からの引用でして、子どもたちに“ある科学的事実”を教えるだけでモチベーションがアップした!という面白いもの。ちなみにその結果はこんな様子。

結果
  • モチベーション、学業目標の達成、脳の活動レベルが高まった
  • 最も効果が出たのは数学の成績アップ(効果量g = 0.78)
  • 「硬直マインドセット」を持つ恐れがある生徒には特に効果てきめんだった

なかなかの結果ですね。こうした効果は、黒人の子供たちなどの硬直マインドセットを持ちやすい子供たちに特に効果が大きかった模様。(人種差別的な視線で見られてるかも、というステレオタイプ的な考えになってしまう)

では一体何を教えたのか?当メタ分析では10件の関連研究を精査、その中で被験者の子ども、青年たちにこんな“脳科学的事実”を教えたようです。

  • 脳の可塑性

これは簡単に言うと「脳は学習や経験によって枝を形成し、それが繋がることで私たちは脳を鍛えることができる」という事実です。例えば“慣れ”という現象が起こるのも、この可塑性によるところが大きかったり。こうした科学的な裏付けが「自分もしっかりやればできるようになるんだ!」という説得材料になるんですね。

赤羽(Akabane)

といったところで、子どもには難しいから..と敬遠せずに案外「脳の可塑性」について仕組みを教えてあげるのが子供のマインドセットにいいかもしれません。過去には脳の記憶を司る「海馬」は年齢に関係なく発達されられる!と書いてたりするので、併せてご覧いただくとよろしいかと思います。

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参考文献&引用

#1 Jérémie Blanchette Sarrasin,Lucian Nenciovici,Lorie-Marlène Brault Foisy,Geneviève Allaire-Duquette,Martin Riopel,Steve Masson,”Effects of teaching the concept of neuroplasticity to induce a growth mindset on motivation, achievement, and brain activity: A meta-analysis“,Trends in Neuroscience and Education,Volume 12, September 2018, Pages 22-31.