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脳に良い油「オメガ3脂肪酸」サプリはアルツハイマー病の治療に効果的って本当?
今回は「オメガ3脂肪酸のサプリって本当に脳に良いの?」というお話です。
まずはオメガ3って何?というところザっとおさらいしておきましょう。
オメガ3脂肪酸とは?
「オメガ3脂肪酸(ω-3)」は、多価不飽和脂肪酸の仲間で、世間一般では「体に良い油」みたいに認識されています。
牛脂やバターみたいに常温で固形っぽい油じゃなくて、魚の油みたいに液体っぽくなるイメージです。魚の缶詰の煮汁に油が浮いてますが、あれですね。
魚や亜麻仁油、クルミなどに多く含まれていて、「魚が脳に良い!」とされる筆頭の要因として挙げられることが多い栄養素です。近年ではこのω-3を使ったサプリがかなり出回っていて、この前たまたま見かけたCMでは、根拠として「ω-3をマウスに与えたところ脳の機能が改善していた」というのを売りにしていましたね。
魚は苦手な人も多そうですし、きっとサプリで摂れたほうがずっと楽なんでしょう。ただし、その効果は「あまりパッとしない」ようですが..。
オメガ3脂肪酸サプリは認知症の治療に効果があるのか?
2016年にコクランレビューで発表されたメタ分析(#1)では、3件のRCTから632名の軽度~中程度のアルツハイマー病患者を対象にω-3の治療効果を調べています。
各実験では、患者を①ω-3サプリグループ、②プラセボ(偽薬)グループという風に分けて、それぞれ6~18か月の期間で効果を見ていったみたい。
すると結果は、こんな感じになりました。
- ω-3サプリを飲んでもアルツハイマー病の改善は見られなかった
- 主観的なメンタルの改善も見られなかった
- 重大な副作用は報告されなかった
ここから言えるのは、ω-3サプリではアルツハイマー病や脳の機能は改善しなかったということです。寂しい結果に終わってしまいました..。
しかもこうした結果は、3件という少ない研究数ながらも質が高い実験から報告されています。
一応2018年にリオグランデ・ド・スル大学が発表した系統的レビュー(#2)を見てみると、7件の研究をまとめたところ、発症したばかりで超軽度のアルツハイマー病の患者であれば、一部効果が確認されたようです。
ただ全体でまとめると、やはり目覚ましい効果はなさそうです。割と中くらいの期間まで調べているので、参考になる結果かと思います。
注意点・まとめ
注意点として押さえておきたいのは、
- 他の認知症への効果はまだハッキリしていない:アルツハイマー病治療としては役に立たなそうだけれど、他の認知症への効果はまだそんなにまとまっていない。
- 症状の重さによっては効果が得られる人が出てくるのかも:今回だと発症したばかりであれば一部効果が出ていたりした。
- 数年単位の期間での効果は実証されていない:今のところ分かっているのは1年くらいの効果で、これ以上の期間ではどうなるか分からない
ザっとこの辺りでしょうか。この結果だけで、「ω-3サプリ、認知症に効果なし」みたいに一般化しすぎてしまわないように気を付けたいですね。
では最後に全体のまとめを見ていきましょう。
- オメガ3脂肪酸は魚や亜麻仁油、クルミなどに多く含まれる「良い油」
- サプリの流通もすごいが、アルツハイマー病治療への効果はパッとせず
- 脳の健康を保ちたいなら魚、亜麻仁油、クルミなどを食べたほうが良い
こんな感じでしょうか。「ω-3サプリで脳の健康を!」は全体的に効果がパッとしないので、個人的にはちゃんと魚や亜麻仁油、ナッツ類辺りから摂るのをお勧めします。
赤羽(Akabane)
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参考文献&引用
#1 Burckhardt M, Herke M, Wustmann T, et al. Omega-3 fatty acids for the treatment of dementia. Cochrane Database Syst Rev. 2016 Apr 11;4:CD009002.
#2 Canhada S, Castro K, Perry IS, et al. Omega-3 fatty acids’ supplementation in Alzheimer’s disease: A systematic review. Nutr Neurosci. 2018 Oct;21(8):529-538.